3月の後半は春めいてもいい頃なのに、ニューヨークの三寒四温は激しくて、半袖で街を闊歩する若者がいたり、また急に気温が下がりダウンコートが必要だったり住人泣かせであるので。特に旅行者には気温の変化で参ってしまう人がいるかもしれない。
さて、そんな3月後半に約2年ぶりにスタテン島行きのフェリーに乗った。これは気分転換には良い乗り物で、なんとタダなのである。イマドキ、タダの乗り物がどこにあるだろうか? ニューヨークシティーにあったのだ!
このフェリーはマンハッタンの最南端から、ニューヨークシティーの五つの行政区のひとつであるスタテン島を往復するフェリーで乗船時間は20分程で、基本的に30分毎に運航している。
乗船客はスタテン島に住む人たちが殆どだろうが、毎度、乗船するたびに見る船上の人々は自由の女神が近づくとカメラを向けて、一緒に写真におさまったりの人々がかなり多いので、観光客が事前にこのフェリーを調べて乗船しているのではないだろうか。
丁度よい距離感で自由の女神が見られる。観光スポットとしては最高だ。スタテン島に到着してもあまり目新しいものはないが、スタテン島から小さく見えるマンハッタンの風景は美しく、写真の構図としては誰が撮ってもプロ級の写真に仕上がるような地の利がある。
フェリー乗り場とほぼ直結しているくらいの距離には、エンパイアー・アウトレットがある。アウトレットと名付けられているが、相当小規模なアウトレットではあるが、目の前の海、その向こうのマンハッタンの摩天楼や、隣の州のニュージャージーのジャージーシティーというオフィス街の摩天楼群も同時に見られるので、風景をおさめる場所としても価値はある。
アウトレットではあるので、GAPにしてもアウトレット価格で売られているし、店舗数は少なくてもバーゲン品はきっと見つかるはずだ。
3月の風はまだ寒く、フェリーの風に吹かれるのには体調を崩しそうだが、夏には解放される大きなガラス窓がきちんとこの時期ははめ込まれており、フェリーからの光景はパノラマビューになるので、椅子に座りつつフェリーが動くにつれての変わりゆく風景を楽しめる。
『只より高い物はない』と言われてはいるが、本当のタダがニューヨークには実在しているだ。
(Photo:Scarlet Sappho-https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Spirit_of_America_-_Staten_Island_Ferry.jpg)