「精進料理」というと、どのようなイメージを持たれるでしょう?
「何やら味気なく、辛気くさい病人食みたいなもの」と思われた方は、メタボまっしぐらの肉食男子ではありませんか? 正直いって、こうしたイメージはもはや時代遅れになりつつあります。
いまや精進料理のみならず、「お寺」「お坊さん」「仏教」は、妙齢女子の心をくすぐる萌えワード。肉食男子的な単純思考は、絶滅した恐竜のように急速に化石化しているのです!
…なる仮説を実証するため、何やら草食モテ臭ただようイベント「お寺レストラン」に潜入してきました。
「草食=僧職」のダブルミーニングにもなっている本イベント、MBA資格も持つ浄土真宗の「料理僧」こと青江覚峰住職が、自著「お寺ごはん」の出版記念として、神谷町・光明寺に期間限定(~12/6まで)オープンした精進料理レストランが、その正体。
精進料理の芳香みならず、「草食=僧職男子」萌えの女子の香りも嗅ぎ付け、境内に迷い込んだところ…いるわいるわ、妙齢の「ひとり女子」または「カップル女子」がおごそかに食事中!
いささか恐縮しながら席に着いたところ、まず目を見張ったのは僧職男子の執事顔負けのホスピタリティー! うやうやしく「こちらはお肉の代わりにお麩を使った『お麩じゃが』でございます」「お寒くはございませんか?」と、端正な面持ちでのもてなし攻勢。これは女子のハートも胃袋も鷲づかみでしょう。
若い僧侶たちはかすかにオタクっぽい方が多く、境内は「女子部員ばかりの文化部で、まめまめしく働く男子部員」といった風情が漂っていました。もちろん、男性である筆者にもいっさいの差別のない、心暖まるおもてなし。ああ、食す前から「ご馳走さま」の気分です。
料理一品一品も「おいしゅうございました」というほかないクオリティーで、全身の血液がほんのり浄化されるのを実感できます。これで物足りないという方は、本気で食習慣を見直したほうがいいかも。
お坊さんのホスピタリティーにあてられ、まるで「現世でないような」不思議な居心地が味わえました。昔のお寺的な敷居の高さは微塵もなく、「お坊さんはサービス業」として全うされている感じ。サービス業全盛時代らしいお寺の在り方ですね。
「ただ『丁寧に』を心がけ、一つひとつの工程に気持ちを込めてつくっております」「身近で毎日体験する『食事』を通じて、仏教を感じて頂ければ」と語る青江住職。精進料理の精神を堪能しながら、身も心も養生できるという、贅を尽くしたリトリート・スポットでした。