日本のインスタントラーメンは なぜ アメリカに 持ち込めないのか?

  by あおぞら  Tags :  

 もう20年近く前になると思うが、マンハッタンのミッドタウンにある『サンライズマート』でエースコックのワンタンメンの5食入りパックが売られていた。本当は一袋単位で売ってくれれば便利なのだけど、そういうわけにもいかないのだろうと、普段は避けているインスタントラーメンを5食分一気に買うことになった。

 懐かしいその味は郷愁を誘い、健康面と体重面の心配もあったが、たま~に買うようになっていた。パッケージ左下の子豚の絵柄を丁寧に切り抜いて、厚手の透明テープでラミネートして、子どものように嬉しく眺めていた。こうなると、もう子豚の熱狂的ファンである。

 さて、ところで、そのエースコックのワンタンメンは突如、サンライズマートの棚から姿を消した。当時は”やぐら”という日系スーパーもあり、そちらの店舗にもなく、今も営業している古参の日系スーパーの片桐でも売られていなかった。

 イーストリバーを隔ててクイーンズにも日系スーパーはいくつかある。その店のオーナーと知り合いだったので気になっていた ”エースコックのワンタンメン突然姿を消す問題” を問うてみた。流石、日系スーパーのオーナーは情報通だ。明確な解答をくれた。

 要はエースコックのワンタンメンは日本から輸入禁止になったというのだ。理由はアメリカでは認められていない肉エキスを使用しているからだと言う。オーナーは「日系スーパーでチキンラーメンが売られているのを見たことがないでしょ? でもワンタンメンまで規制がかかるとは厳しくなっている」と、チキンラーメンが輸入禁止であることも教えてくれた。

 農林水産省の 第1章 輸出事前確認 にも記されている。(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_enkatu/manual_2006/pdf/usa_01.pdf)

 『外国為替及び外国貿易法』や『輸出貿易管理令』で規制されている品目を輸出する商品に、インスタントラーメンが含まれ、製品に肉エキススープが含まれていうのものは輸出禁止で、これは何もビジネスの輸出でなく、個人旅行でチキンラーメンをお土産に持って行っても、プロ中のプロの手荷物検査官に当たってしまえば没収されてしまうのだろう。

 念の為、確認で『アメリカ 持ち込み禁止 食品』で検索すると、しっかり出てきたぞっ!

 中井貴一主演の『燃ゆるとき』は、カップラーメンを主力とする食品会社のアメリカ支社が経営難に陥り、中井貴一扮する本社社員が単身渡米し、アメリカの現地法人社長と共に奮闘するストーリーだが、映画のようにアメリカには日清食品とマルちゃんでお馴染みの東洋水産が現地法人のアメリカの工場で生産している為、アメリカ製品のインスタント麺は全米のスーパーマーケットで売られている。言うまでもなく肉エキス不使用の商品だ。

 ところで今、検索して驚いたこと発見👀! ベビースターラーメン、例のおやつカンパニーの商品がアメリカのコストコで売られていると言うのだ。これはアメリカの農林水産省にあたるFDA(Food and Drug Administration)、アメリカ食品医薬品局認可されているので店頭にお目見えだ。肉エキス不使用はアメリカではOKである。

 たいした情報ではないかもしれないが、日本からアメリカへの小包に肉エキス入りのインスタントラーメンを入れたり、アメリカ訪問の際に、スーツケースにそれらのラーメンを入れると問題が生じるかもしれないことを、記憶のどこかに留めて頂ければと思う。

 

ニューヨークから発信しています