「マッツ・ミケルセンは世界で素晴らしい俳優のひとり」 予測不可能な復讐劇!映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』監督が“北欧の至宝”との仕事を語る

  by ときたたかし  Tags :  

“北欧の至宝”と称され、『ファンタスティック・ビースト』『インディ・ジョーンズ』シリーズ最新作への出演も決まり、ハリウッドの第一線で活躍する国際派俳優のマッツ・ミケルセン主演の映画、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』が公開中です。

マッツ・ミケルセンは、列車事故で妻を亡くしたマークス役に挑み、復讐の炎を燃やす軍人役をハードなアクションや重厚な演技で熱演しています。

今回、マッツ・ミケルセンと本作で5度目のタッグとなった盟友、アナス・トマス・イェンセン監督に、作品のこと、マッツ・ミケルセンのことなどをうかがいました。

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●さまざまな要素が絡み合い、最後まで楽しく拝見しました。制作当初、本作を監督するにあたり、まず考えたことは何でしょうか?

コメディとドラマのバランスです。これは脚本を書いている時から重要視していて、俳優たちとも話し合いました。おっしゃるようにたくさんの要素が入っている作品で、復讐モノ、アクションモノであり、また父と娘のドラマでもあり、家族の物語でもあり、それにクリスマス・ムービーでもあるからね(笑)。

●そんななか、注目してほしいポイントはありますか?

映画のディテールに注目してほしいけれど、「ここ!」と決めつけるよりは、全体を観てほしいですね。ひとつのシーンの中でシリアスな空気が一気にコメディに変わったりすることが今回はたくさんあるけれど、それはキャラクターたちのやり取りを通してすごく上手くいっているのではないかと思っています。そこはぜひ観てほしいです。

●主演は盟友関係でもあるマッツ・ミケルセンさんですが、ほかの俳優さんにはないような彼だけの魅力についてはいかがですか?

彼はひとつの作品全体の責任を取ろうとする男です。自分の演じる役柄だけを考えているのではなくて、チームプレイなのです。ほかの人が上手くいっていなければ、いい作品を作り上げるためにアイデアを出して助けようとする。そういうタイプではない俳優もいるのですが、彼はそうじゃないんです。

あと、これもなかなか難しいことなのですが、どんな役柄でも演じることができるんです。彼にはそういう能力がある。ドラマでもコメディでも感情面の表現に優れ、そのシーンの理解もセリフの伝え方も素晴らしい。彼は元ダンサーだから、肉体的にも素晴らしい才能がある。なんだかすごくホメてしまったけれども(笑)、世界の中でもっとも素晴らしい俳優のひとりだと思っています。

●また、マッツ・ミケルセンが世界的な大スターになった当時、彼の活躍をどういう想いで受け止めていましたか?

それはうれしかったです。ただ。さっきも言ったように本当に素晴らしい役者だと思っていたので、そういう風に国際的なスターになることは時間の問題だと思っていたから、正直なところサプライズではなかった。今でも活躍しているのはうれしいし、今でもデンマーク、ヨーロッパの作品に出続けているところも素晴らしいと思う。彼のもっとも素晴らしい演技はこれらの作品で見せてくれていると思っているので、デンマークやヨーロッパの作品に出続けてくれていることはうれしいことだと思います。もちろん今の成功は喜んでいます。

●作品の日本公開を受け、日本の映画ファンには何を感じ取ってほしいですか?

まず何よりも楽しんでほしいです。映画というものは楽しむべきものだからね。自分の人生を作品の中で見出していただきたいです。たとえば西側諸国の人たちは自分の人生をコントロールできていると思いがちですが、僕はそこまでは信じていない。そういう人たちは人生の途上で上手くいかなかった時、とてもフラストレーションを感じるはずで、そういうテーマ性もあると思っています。ぜひ楽しく観てほしいです。

■ストーリー

妻が列車事故で亡くなったという報せを受け、軍人のマークスはアフガニスタンでの任務を離れ娘の元へ帰国する。悲しみに暮れる娘を前に無力感にさいなまれるマークスだったが、彼の元を二人の男が訪ねてくる。その中の一人、妻と同じ列車に乗っていたという数学者のオットーは、事故は“ライダーズ・オブ・ジャスティス”と言う犯罪組織が、殺人事件の重要な証人を暗殺するために周到に計画された事件だとマークスに告げる。怒りに打ち震えるマークスは妻の無念を晴らすため、オットーらの協力を得て復讐に身を投じてゆくが事態は思わぬ方向に…。

公開中
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ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo