ホームベーカリー『SD-BMS102-N』を使って小倉トーストを自宅で楽しむ

  by 佐藤大五郎  Tags :  

“バブル最終期”、“平成の米不足期”と流行したホームベーカリーの歴史の中で、現在は第三次ホームベーカリーブームと呼ばれている。
その牽引役はSANYOの『GOPAN』である。

白米をそのままパンにしてしまうということで大人気の機種であるが、しかしホームベーカリーとしては少々高価な価格設定であったため購入を躊躇(ちゅうちょ)している方も多いのではないだろうか?
ホームベーカリーと言えば1万円~2万円程度の価格想定をするであろう中で、4万円以上する『GOPAN』は高級品と言わざるを得ない。

そこで筆者からおすすめするのがPanasonicの『SD-BMS102-N』である。

第三次ホームベーカリーブームの理由の一つとして、ホームベーカリーでできることが増えたということが挙げられる、パンを美味しく焼くのは当たり前、作れるパンの種類の多さから、さらにはパスタやうどんの生地まで作れるというのがウリになっているのだ。
『SD-BMS102-N』はまさにレシピの宝庫であり、筆者がもっとも自宅で食べたかった“小倉トースト”を作るためのあんこまで作れるというので購入に至った。

小倉トーストについて少々説明しなければいけないのかもしれない。
筆者は小倉トースト親善大使(自称)ということで、『Twitter』や『Facebook』などで小倉トーストの復権を訴えている。

名古屋の喫茶店文化に深く関係するのがこの小倉トースト。名古屋の喫茶店では朝コーヒーを注文すると無料でトーストと玉子が付いてくる、いわゆるモーニング文化が基本である。
そのモーニング文化のトーストに何を塗るのかだが、マーガリン(もしくはバター)が入った器、イチゴジャム等ジャムが入った器、そしてあんこの入った器、この3点が基本として出されていた。

トーストにバターを塗り、そしてその上にあんこを乗せて食べる、これが小倉トーストである。
正直見た目がよろしくないので避けられがちなのだが、実際に食べてみるとものすごく美味しい。
考えてみればアンパンを普通に食べているのだから、食パンの上にあんこを乗せてまずいわけがない。しかも食パンにバターを塗ってからあんこを乗せるのでバターの塩気とあいまって甘さも控えめになり、アンパンよりもさっぱりしていて上品な感じの味に仕上がるわけだ。

しかし近年、名古屋でもおしゃれな喫茶店が増えてきてしまった関係か、モーニングで小倉トーストを出す店が少なくなってきてしまっている。

で、あるならば自宅で小倉トーストを作ろう! と息巻いてみたのである。

まずはあんこを作らねばならない。
普通にスーパーなどであんこの缶を買ってくればいいのだが、せっかくあんこも作れる『SD-BMS102-N』を買ったのだから自分で作らないともったいない。
さらに言えば市販のあんこは甘すぎてあまり好きではなく、砂糖の量を減らした甘さ控えめのあんこを作りたかったのであんこ作りから入ってみた。

自己紹介が遅れましたが、筆者は今現在38歳の独身男性、独り身故に多少の料理はできるが、しかしあんこなど作ったことがあるわけもなく、生まれて始めてスーパーにて小豆を購入。

250gというのが多いのか少ないのかさっぱりわからないのだが、『SD-BMS102-N』に付いてきたレシピ集に、あんこの作り方が細かく分量に至るまで書いてあるので素人でも安心して作業ができる。

ざるで水洗いをし、小豆を鍋に移して熱湯を浸る程度に入れて一度沸騰させ、400mlを差し水してもう一度沸騰させアク抜きのため一度ざるで水切りをして水洗いをする。

次に小豆をまた鍋に戻して、小豆の3倍程度の水を入れて火にかける。
今度は沸騰したら弱火にしてコトコトと長時間煮込むわけだ。
やがて小一時間ほど煮詰めていると明らかに煮汁の色が変わってくるのがわかる。

まさに小豆色だ。
途中、水が少なくなれば差し水をして豆が水面から飛び出さないように気をつけながらの作業が続く。といっても実際には15分に一度程度覗いてみて水が足りないようであれば継ぎ足してあくを取るだけなので、何かの用事をしながらでもできる作業である。

小豆が十分に柔らかくなるまでおよそ一時間半、煮豆と呼ばれる状態になった。

煮汁をしっかり切るためにざるに一度あける。

まだこの時点では砂糖を入れていないので甘くない。ここからが『SD-BMS102-N』の出番である。
甘さ控えめにしたかったので砂糖の量は小豆と同量の250gにし、先に砂糖を入れ、その上から小豆を入れる。
ちなみに隠し味として塩を小さじ1杯入れている。

これをそのまま『SD-BMS102-N』にセットし、メニューから“あん”を選択してスタートを押す。ガタゴトと音を立てながら小豆を混ぜてくれている。
こうして1時間経過し、見事に潰れきらず煮詰めすぎず、いい感じのあんこができ上がった。

続いてはパンである。
食パンを作るのに、レシピ通りに作っても十分美味しいのだが、あんこが思ったより甘くできてしまったのでパンの方で甘さを調整したいと思い、『SD-BMS102-N』についてきたレシピ集を見ていたときに閃いた。
余りご飯で作るパンのレシピが載っていたのだ。

パンとあんこの相性は前述した通り良い、しかしご飯とあんこの相性も悪いはずがない。
食感がモチモチになるとの評判も聞いて、小倉トーストの土台たるパンをこの“ご飯パン”にしようと決意した。
材料は特別な物は必要ない、通常のパンを焼く材料にご飯が入るだけだ。

強力粉は200g、バター8g、砂糖大さじ2杯、スキムミルク大さじ1杯、塩小さじ1杯、水150ml、強力粉と水分がいつもより少ない、その分ご飯を150g入れてみた。
レシピ集には100~150gとなっていたがモチモチ感が余計にでるようにと思い多めの選択をしてみたわけだ。

そして『SD-BMS102-N』の特徴でもある専用のドライイースト入れにドライイーストを3g入れ、普通の食パンと同じ“食パン”を選択して焼き色は“普通”にしてスタートを押した。

待つこと4時間、周囲には焼き立てパンの良い香りが立ち込める。
焼きあがってきた“ご飯パン”は予想よりは膨らみ切っていない感じではあったが、切ってみるとしっかり焼けていてほっとする。幸い失敗ではないようだ。

端切れを食べてみると、あまり甘さがなく、味の感想としてはパンというよりお餅に近い感じがする。
ご飯の量が多すぎたのだろうか?
それともご飯パンというのがこういうものなのだろうか?
悩んでいても仕方ないのでこのパンで小倉トーストを作る。

サクサクとした食感が欲しいので、焼き立てのパンにトースターで焦げ目を付ける。

そこにマーガリンを塗る、これは好みでバターでも良い。

さらにその上からあんこを塗りたくってトップ画像のような小倉トーストの完成となるわけだ。

見た目がもっと良ければ日本全土で一大ブームを起こせる美味しいトーストなのだと常々思っている。
このパンは失敗などではなく想像以上にあんこに合った。
サクサクそしてモチモチした食感の上にあんこが乗っている、これはうまい。
小倉トーストの歴史に新たなる1ページが刻まれたと言っても過言ではないくらいにうまく仕上がっているのだ。

冒頭でも申し上げたが、今は第三次ホームベーカリーブームである。
ホームベーカリーが欲しいと思っている方も、また既に持っていたけれどホコリを被ってしまっている方も、だまされたと思って小倉トーストを作ってみていただきたい。
筆者としては、この小倉トーストという文化が名古屋だけでなく、日本全土で楽しんでもらえるように、そして子どもや孫の代までこの文化が根付いてくれるようにと、切に願うばかりである。

元政治家秘書、ロードレーサー、スターウォーズ、ガンダム、マクロス、金魚を心から愛し、IT業界の片隅で細々自営業として生活中 FX(為替取引)ではマグロとよばれ、ロードレーサー(自転車)界では初代中華カーボン君と呼ばれ、とにかく興味のあることは自分でやってみてレポートしないと気が済まない人柱体質

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