日本のモラルの高さや、治安の良さが確実に証明されているのは、日本では至る所に自動販売機が置かれていることだ。私の住むニューヨークの街中で自動販売機を見ることはない。理由は悪さをする奴らがいるからだ。
ただ、自動販売機が全くないわけではなく、面白い場所に自動販売機を見つけ、心の中で笑ってしまったのは、グランドセントラル駅というターミナル駅がマンハッタンのミッドタウンにある。この駅には地下道があり、数百メートル分ほどの長さであるので相当長い。通勤時には人で一杯だが、その時間帯を外すと人はあまり通っていない。
その長い長い地下道の真ん中あたりに飲み物や、スナック菓子などを売る自動販売機が数台置かれている。今まで買っている人をみたことはないが、地下道の中央部に置かれた自動販売機なら、どんな悪い奴らも盗み出す発想もなく、また地上には持ち出せない。よって、こういう場所ならニューヨークでは自動販売機が安心して置けるわけだ。
グランドセントラル駅からはメトロノースという郊外列車があり、隣の州のコネチカット州や、またニューヨーク郊外へ行き、これらは通勤列車として、朝晩は確実にラッシュアワーで忙しい。これら郊外の駅構内には自動販売機が設置されているが、こちらも日本のようにありのまま設置されているのではなく、終電が終わり駅を閉鎖すると、駅構内にある自動販売機は当然誰も使えなくなるので、盗人が盗み出すことは出来ない。
日本を訪れたアメリカ人は、おびただしい数の自動販売機に驚く人が多い。綺麗な自動販売機のまま、お金を狙って襲撃する人もほぼいないととらえていいと思う。
人は良い環境の中にいると、しかも、ずっといると、それが当たり前になり、あまりその環境に感謝しなくなるが、ふと、日本のあの綺麗な、便利な自動販売機を思い出すと、なんと素晴らしい国なんだ!と懐かしく思い出す。
考えてみれば日本の自動販売機って、今のような冬には温かい飲み物が買えるって凄い!それに自動販売機近くにはゴミ箱も設置され、飲み終えた缶はそのままゴミ箱に捨てられる。
ニューヨークって至る所にゴミ箱があるのだが、ゴミ箱があっても路上にゴミはいつも散らかっているという情けない状況。日本を訪ねたアメリカ人の友人が驚いたのは、日本はゴミ箱が少ないのに、街にゴミは落ちておらずキレイであると….
考えてみれば日本の自動販売機の設置は、都市部だけでなく地方でもしっかり自動販売機は設置され、場合によっては自動販売機の灯りで警備の役割も担うかもしれない。
では、ニューヨークでは自動販売機のビジネスは売り上げが見込めないのか?と言うと、そうでもなく、実は自動販売機は大手企業には設置されていて、オフィスの給湯室や、ランチルームに置かれていて、業者が定期的に中身の補充に来る。
勤務中、ちょっとお腹がすくとチョコレートやスナック菓子を買える便利さもあるし、やっぱり自動販売機は便利。スナックの自動販売機の横には、清涼飲料水の自動販売機もあるので、結局、スナック、コーラのセットで買ってしまうので、企業内に設置された自動販売機はなかなか売り上げ上々なのである。
日本の自動販売機が懐かしい!考えてみれば日本は煙草やお酒の自動販売機もあったな…と思い出し、一応検索してみると、これらの自販機には未成年に買わせない工夫がされているとのことで、流石、日本の技術!と安心。
ニューヨークの街角に自動販売機がないのと対照的に、日本の至る所にある自動販売機は、日本の治安の良さの象徴でもあるのだな…と日本の自販機の風景を思い出す。