神田沙也加さんの訃報知る….

  by あおぞら  Tags :  

 土曜の昼下がり、ソファーでリラックスしながらニュースチェックしていたら『神田沙也加さん急死』の文字が飛び込んで来た。一瞬、判断がつかない、まだ若いよね? 病気?…と眉間に皴が寄った。

 スポーツ報知の記事を一部引用させていただくと、『神田さんはこの日、主演ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の札幌公演(札幌文化芸術劇場)の昼公演(正午開演)に出演する予定だった。午前11時頃まで神田さんと連絡がつかなかったため、ダブルキャストで主人公イライザ役を演じている元宝塚宙組トップスターの朝夏まなと(37)が急きょ代役を務めた。』 とある。実に痛ましい。

 神田沙也加さんは松田聖子さんと神田正輝さんを両親に持ち、所謂、二世タレントではあるが、この方の人間性は素晴らしいし、実力も申し分ないと思っていた。親の力を誇示せず、謙虚で、大スターの娘でありながら、とても庶民的な印象すら受けた。

 母親が結構自由に生きる人タイプの人で、再婚、再再婚と仕事も私生活も充実させ、その分、多感な頃の神田沙也加さんは松田聖子さんのお母さんに育てられたと記事で読んだことがあるので、聖子さんのお母さんは相当しっかりもので、常識人であったと神田沙也加さんを見てわかった。

 10代でバイトをし、そのまま就職してもいいと思ったそうだが、決して普通らしさがあることをアピールするようには感じなかった。お母さんである松田聖子さんはThe 芸能人と言うわざとらしさも、したたかさも兼ね備えているけど、神田沙也加さんは本当に芯のしっかりした普通のお嬢さんのように思えた。

 たまたま、昨日、水木しげる先生の過去のインタビューを見て、いろいろ水木しげる先生研究をしていたが、NHKのインタビューで、男性アナウンサーが「日本人の自殺率が高いことをどう思われますか?」のようなことを質問された。水木しげる先生の対応は「自分が死にたいと思って死んでいくので良いことだ」のようなことを仰った。テレビでこのようなことを言う人を見たことがなかったので心底驚いたが、故人になんと優しい言葉だろう….

 この世を生きるのは辛いことも多い。大人になればなる程、問題も生じる。しかし、平気の平左の顔をして弱さを見せないのが大人の心得。おそらく自殺される方は責任感の強い真面目な方が多いような気がする。『憎まれっ子世に憚る』という諺があるけど、決して憎まれっ子でなく、素直なよい子だからこそ自分で自分の命を早めたのだと思う。

 丁度、昨日聞いた水木しげる先生の含蓄ある自殺者への言葉に感心して、ご遺族も救われる気持ちだろうと思っていたところだったので、まさかの神田沙也加さんが転落死をされ、この世に存在しないことが信じられない。ご遺族となった松田聖子さんと神田正輝さんにとり、この水木しげる先生の言葉は、せめてもの慰めになると思う。

 「自殺はいけません!」と言われても、もう、切羽詰まった人には視野が狭く、死しか眼中になくなるのかもしれないし、悪霊がその世界に引き込むような魔の時や、環境、瞬間ってあると思う。

 転落されたその時の天候はどうだったのだろう? 天気により精神状態は左右される。どうして助けることができなかったのか?と思われる関係者の方も多いと思う。第二のママと呼ばれている大地真央さんのことを思うと、お辛いだろうなと察する。

 芸能界には不思議なことがある。大スターには背負いきれない家族の不幸が襲い掛かることがある。

 アメリカではハリウッドの伝説的俳優のマーロン・ブランドの息子が、妹が暴力を日常的に受けていた恋人を射殺し、息子が服役中に妹は自殺。出所した息子は49歳で病死。

 アカデミー賞とグラミー賞受賞のジェニファー・ハドソンの母親と兄は、ジェニファー・ハドソンのいとこにより二人も射殺されてしまった。

 ホイットニー・ヒューストンは薬物過剰摂取で、滞在先ホテルの浴槽で溺死。娘も28歳で亡くなった。おそらく薬物過剰摂取だったと見られている。

 世の中は正負の法則で成り立っていると仰るのは美輪明宏さん。ご著書の『ああ正負の法則』は含蓄が深い一冊。何も神田沙也加さんの死を、アメリカのスーパースターたちに似ているとは言わないが、神田沙也加さんがあまりにも人間らしく、優しく、普通の感覚をお持ちだったので、負の何かが悪さをしたとしか思えないが、あまりにもお気の毒。

 才能ある方で、親の威光に頼らない方だったので大好きだった。ご冥福をお祈りいたします。

 

ニューヨークから発信しています