ニューヨークには犬を飼っている人も多く、犬の散歩の光景は街に馴染んでいる。このところ柴犬もよく見かける。マンハッタン自体が地価が高く、アパート内も狭いためか人気の犬種は圧倒的に小型犬で、信じられないくらいの小さな犬も見ることがある。
それで気になることがある。寒くなってくると犬に洋服を着せている人が多く散歩しているのだ。雨の日にはご丁寧に黄色のビニールのレインコートまで着させている姿を見た時は驚いた❣ あんなの売っているんだと….
哀れチワワは歩きにくそうに、気の毒な程、犬の割に牛歩で歩いていた。あれは子犬にとり拷問に思えるのだろうけど、飼い主が満足していればそれでいいのだろうか？
黄色のレインコートにも驚いたが、もう10年くらい前だろうか、アッパーイーストの高級住宅街を歩くご婦人のリードの先のお犬様は、なんと毛皮のコートをお召しになっていた。もう、狂気の沙汰である❣
犬はあんなものを着せられて嬉しいのだろうか？ 犬にしてみれば迷惑なことだと思うのだけれど…
犬は自分の毛皮で寒さから守られるものだ。南極地域観測隊に同行されたタロとジロに洋服なんて必要なかった。犬に洋服は必要ないことはこれで証明されると思う。何より窮屈すぎるだろう….
人間だってお風呂上りにサッパリして裸でいられるのは実に気持ちいい。ヌーディストビーチやヌーディスト村には興味はないが、しかし、裸のままでおられる開放感は理解できる気もする。
ニューヨークでは若いホームレスの物乞いも増えているが、彼らが路上に座り寒そうにしている前を、着飾った犬が、これまた着飾った飼い主に連れられ、ホームレスの前を通り過ぎる姿を目にした時、『ああ、無情….』と心が痛んだ。
犬はかわいいし、犬を飼うのはいいことだと思う。しかし、洋服を着せたり、靴を履かせたり、コートにフード付きのものを着せたりするのってどうなんだろう？って思ってしまう。犬にフードは必要か？
その点、感心するのは今まで柴犬が洋服を着ているのを見たことはない。柴犬の飼い主は見識が高いと嬉しくなる。
何が悲しいかというと、犬は洋服の着脱を自分自身というか、己で脱ぎ着出来ないのである。なすがままにされる犬が不憫に思う。
クリスマスシーズンに突入し、街は一層華やかになる。これ見よがしに我が犬に精一杯のオシャレな洋服やコートを着せて街を闊歩する人たちを見る機会が増えてくる。
あああ、その姿を見るにつけ、なぜだか気持ちが萎えてくる…..
