そもそも「便利屋稼業」とはどんな仕事なのか?

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

最近、《便利屋さんとして登録をしてお仕事をはじめませんか?》という広告をSNSで見かけて、一度登録をしてみました。すると「広告代として課金しなければならない」や「1つのジャンルのサービスに地域で3社しか入れない」などという意味の分からない縛りがあり、なんだか怪しく感じてしまいました。

そこで、現役で便利屋稼業に身を置く鈴木博之さん(仮名/46歳)にアポイントメントを取り、便利屋はどのような仕事のなのかの取材を試みることにしました。

果たして彼は、どのような依頼を受け、どのくらいの報酬を得ているのか……じっくりと話を聞いてみたいと思います。

次々と舞い込む様々な依頼

丸野(以下、丸)「名刺をいただいたときに、便利屋ではなく“何でも屋”というふれこみだったのですが、何か意味があるんですか?」

鈴木さん「そうですね。軽作業としては、庭の草むしり、手入れ、家の周辺の掃除、屋根の雪下ろし、車で近くのクリーンセンターまで運ぶリサイクル品のゴミ捨て、 生活支援から入浴補助、高齢者宅の雑用なんかですね。大工仕事なんてのもやりますし、パソコンのインストールやスマートフォンの使い方指導なんてデジタル関連のこともやりますよ」

丸「なんでもござれですね」

鈴木さん「法人向けのサービスなんかもやりますね。一番多いのは、コロナでリストラした人員の補助作業。コンビニ店員から、建築現場の掃除、チラシ配り、資料作成、イベントの人員参加、事務作業までなんでも……

丸「鈴木さんが登録している便利屋スタッフの派遣会社には依頼が殺到しているんですね

鈴木さん「みたいですね。長期間はいらないから、今日1日だけ……という依頼が多いですね」

気になる単価は?

丸「それっていくらぐらいになるんですか?」

鈴木さん「軽作業の場合の相場なら、1時間3,000円~4,000円程度ですかね。主に、草むしりとか庭の手入れ、掃除で、定番の軽作業ですね。業者に依頼すると高いんですよ。だから、非常にリーズナブルだと、喜んでいただいています。ちょっとした散布器具を使用したりというときは、少し追加料金がかかってくることもありますね。あとは、最近問題になっている空き家の定期的な掃除であれば、1ヵ月4回で20,000円という価格設定です」

丸「本当に多岐にわたる感じですね」

鈴木さん「お手伝いさんのように、買い物や子供さんの送迎、お守りなども行いますが、料理ができないのでそのサービスだけはやってないんです。家事全般ができれば、指名料も入ってもっと稼げるんですが……。簡単に言うと《作業費用+各種オプション》という料金設定ですね」

困った依頼:スズメバチの駆除

丸「何か困ってしまった依頼というものはありませんか?」

鈴木さん「そうですね。ド素人なのに、偶然掃除中にキイロスズメバチの巣を見つけてしまって、“何とかしてください!”と懇願されたときには困りました。仕方がないので、夏場に全身つなぎを着て、頭に麦わら帽子顔に虫取りのネットをかぶせまして、やりましたね

丸「ええっ! 大丈夫だったんですか?

鈴木さん「3ヵ所くらい刺されました、やっぱり。素人がやっちゃダメです。でもキンチョール5本で見事に駆逐しましたが……

丸「危険ですね……」

法人向けサービスでは気を遣う

丸「法人向けサービスでは気を遣うことがありませんか?」

鈴木さん「パソコン業務なんかはミスが許されないので気を遣いますね。それに、資料作成や事務作業も企業さんの強みを知って掘り下げないといけないので、大変です。まぁ、法人は格段にギャラがいいので、事務経験がある私も受けるようにはしているんですがね。だいたい、勤務する日数やミッションによっても違いますが、数万~10数万円の金額になりますね

丸「あとは軽作業系ですか?」

鈴木さん「チラシ配りやイベントスタッフ参加。欠けた人員の代わりに仕事を依頼されることが多いですね。便利屋としててはなく、数合わせみたいな意味合いが強めです

便利屋さんの特殊なサービスとは?

丸「便利屋さんとして、ちょっと変わった依頼を受けた経験などはありませんか?

鈴木さん「飲み仲間の代わりや遊び相手、ランチを一緒にするという依頼は結構ありますね。女性スタッフは、デートの相手を依頼されることが多いといいますよ。あとは、人生相談。依頼者のことをまったく知らない便利屋に、客観視した意見が聞きたいという依頼ですね」

丸「どうするんですか、返事は?」

鈴木さん「そういう依頼は女性が多いので話聞いてうなづくだけです。それで、みなさんスッキリしますから

丸「その他に変わった依頼は?」

鈴木さん「依頼者の代行で人に会ったり、または一緒に会ったり、クレーム時に依頼者に付き添ったり、そんなこともやりますね。ジグソーパズルづくり、ルービックキューブの色合わせ、マジックを見てほしいとか訳のわからない依頼もありますよ」

犯罪に加担しているのかもしれない

丸「犯罪に巻き込まれることというのはあるんですか?

鈴木さん「わかりませんし、知りたくもありません。以前、カブの荷台に謎の荷物を積み込み運ぶ仕事を依頼されたこともありますけど、中身はわからないですね。あとは、高級車を運んでくれと言われたこともありました。ひょっとすると、犯罪に加担していたのかもしれませんね

丸「そんなことはないと信じましょう」

鈴木さん「ですね。そう考えると恐ろしくなりますよね

鈴木さんは便利屋をはじめてから、もう5年になるという。勤めていた会社を辞め、今では悠々自適に仕事を楽しんでいるというが、ぜひ今後も無事でいてほしいと願うばかりでした。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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