THEヤクザの制裁!破門や除名、除籍、絶縁の違いを元極道に聞いてみた!

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

極道の社会には、リンチなどの肉体的な制裁を下すわけではなく、公に制裁として《破門処分》や《除名処分》、《除籍処分》、《絶縁処分》というものがあります。

これらは、ヤクザ組織で決められた《鉄則》に違反した行為を行ったときなど「重い裏切り」と認められたときにこのような制裁措置が取られることになっています。しかしながら判断基準ははっきりとはしていません。組長などの気持ちに左右されるということですね。

今回はそんな処分の違いについて、元ヤクザのN氏(55歳)に解説してもらいました。

破門処分とは?

丸野(以下、丸)「《破門処分》というのはどのように使うのでしょうか?」

N氏「破門処分というのは、所属していた組織から永久追放されるという制裁のことやね。組長や自分の組への造反や組長のメンツをつぶす行為、組織判断への反抗という風に判断されれば、すぐに処分が下るわ。破門処分には、《口頭破門》と《破門回状》の2種類があって、《口頭破門》は、期限付きで破門を言い渡すというものやけど、近年では《謹慎処分》などと呼ぶことが多くなっとる

丸「なるほど。《破門回状》に関していえば、どうですか?」

N氏「破門状っていう回状を作ってそれぞれの組織に広く通知。昔、破門状は高級な和紙なんかに刷られていたんやけどな、今ではハガキでの印刷通知が多い。それに破門状っちゅうのは、黒文字と赤文字で印刷されている。その違いは、組に対して迷惑をどれだけかけたかによって決まってくるわけよ。まぁ、赤文字が責任が重いとされとるね

丸「なるほど……」

N氏「届いた破門状を受け取った組では、破門処分を受けた者と交流したり、客人として招き入れたり、仕事をしたりしたらあかん決まりがある。だから、破門状が回った時点で、その組やそれぞれの暴力団から追放されたことになる。一度破門されてしもたら、そいつは極道社会では生きていけなくなるから大変やな」

除名処分は罪が重い

N氏「除名処分も破門処分と同じくヤクザの“決まりごと”を破ったことを理由に組から追放されるという制裁や。まだ、破門処分の場合やったら、復縁できるという望みはあるのに、除名処分は、望みが一切ないということになっとる。破門と除名処分は理由がはっきりしてる。この除名処分は絶対に復縁できない処分というわけやね

丸「なるほど、そうなると罪が重かった順番としては……」

N氏「破門処分よりも除名の方がより重大な裏切り行為があったことの制裁になるわね。除名の場合かて、《除名通知》の回状が各組に送付される。回状を受け取る各組は、金輪際本人との関係を一切断つことになる

丸「ということは、極道社会から足を洗う他ないというわけですね?」

N氏「そういうことやね。さらに処分理由になった内容次第では、足を洗った後でも報復されることを覚悟しないといかん。人込みで刺されるか、ハジかれるか……。それに社会復帰もなかなか難しいわ。結局、自分の内縁の嫁さんに世話してもらうなり、親兄弟にたかるなりするしか、道がない訳や」

除籍処分は自分からの申し出で……

N氏「除籍処分は、組の掟を破ったわけではなく、ムショ帰りや足を洗いたいという組員からの申し出で組からの脱退を承認してやって、《除籍通知》を多くの各組に送って発表してやるものやね。やから、制裁とは一線を画す。除籍理由の多くが、カタギになって家族を守りたい、老齢での引退、組の資金破綻、出所後の身の振り方という組離脱がほとんど。今のご時世、組長が承認しないということはあんまりないわな。オレもションベン刑で入っている(収監)あいだに、子供ができてたから、“オヤジ、カタギにならせてください”って言ったから、許してもらえた」

丸「そういった場合には、指を詰めてから……ということはないんですか?

N氏「このご時世、そんなんはないよ。カタギになったときに苦労するやんか。オレらが一度惚れた親分がそんなことを強制するわけがない。今どきな

絶縁処分とは?

丸「絶縁処分はどうですか?

N氏「一番重いやつ。一歩もこの組の敷居をまたぐな、またいだら殺す……という意味の処分やね。絶縁状なんか出されるということは、自分の組の人間を殺めた、親分や兄貴分の女を寝取った、組の金を使い込んだなんてザラやで。組近くに居住することすら許されないこともあるしな。えらいこっちゃで」

N氏の話では、破門は、かなりの期間が経ち、本人自身に後悔の気持ちがあることが認められて、さらに相当な資金力の発揮、周囲の理解者の賛同があれば、破門が解かれて元の組に復帰できたこともあるとのこと。しかし《除名処分》や《絶縁処分》であればそれは到底ムリな話。復縁できた場合は《復縁状》の回状が各組に送られるそうです。

しかし、N氏は最後にこう締めくくりました。
昨今のヤクザでは、暴力団組織の防衛策として、警察関係者から目がつけられた組員を意図的に破門処分し、組と関係がないことの体裁だけを整えて、仕事をさせるという《偽装破門》を行っているケースもあるよ

《偽装破門》してまで、仕事をさせるという知恵。ヤクザも生き残りに躍起になっているということなのでしょうか?

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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