ロックフェラーセンターの中心部、ロックフェラープラザに大きな大きなクリスマスツリーがお目見えしたのは先月。毎年、12月の第一水曜日に派手な演出の点灯式が行われ、これを機にニューヨークは一気にクリスマスモードに突入する。
ニューヨークの人出は未だコロナ禍の影響で、2年ほど前の賑わいはなく、かといって昨年のようなニューヨークに閑古鳥が鳴くようでなく、程よい人出とも言える。
観光客は少ないのは当然で、マンハッタンの中心部、グランドセントラル駅に隣接するグランドハイヤットは未だ閉鎖中。ミッドタウンに多く立ち並ぶホテルも閉鎖で、なんとも侘しい風景である。
それでも、ニューヨークは例年のようにクリスマスの飾り付けが始まっている。5番街はマンハッタンの中央部分に位置するし、響きからもゴージャスなイメージを持たれがちだが、クリスマスイルミネーションが劇的な迫力を見せるのは、お隣の六番街。
ここらあたりはオフィス街の高層ビルが立ち並び、一流企業をテナントに持つ不動産は潤沢な資金を、クリスマスイルミネーションに支出可能だろう?と思われがちだが、ニューヨークの不動産業者は見事にお金を渋るので、毎年毎年同じ飾り付けである。
小室圭さんの勤務するビルには多くの日系企業も入っているが、こちらのビルの飾り付けは巨大な赤い球体のオーナメントが水に浮かんでいるもので、その隣も多くの日系企業が入っているが、こちらはクリスマスキャンディーの巨大なものが恒例で飾られている。
デパートのような商業施設では、ショーウインドウを毎年同じものの使いまわしはいけないが、6番街のオフィスビル群ではそれは当たり前の光景である。
6番街でひときわ目を引くのが、ラジオシティー・ミュージック・ホールである。6番街をクリスマスシーズンにそぞろ歩くのは楽しい。6番街のとなりの7番街はオフィス街からブロードウェイの歓楽街と様相が変わり、この落差がジェットコースターの高低のようだ。
クリスマスシーズンに限らず、マンハッタンの歩き方は縦のストリートを歩くより、カニさん歩きでアベニューを横切る歩き方の方が楽しい。イーストサイドとウエストサイドでは印象が全く違うし、歩いている人たちも違っている。カニ歩きはマンハッタンの社会勉強が出来るかもしれない。
2021年も師走に入り、あとひと月を切った。ニューヨークも激動の時代であった。未だに閉店された多くの空き店舗は次のテナントが入ることなく、無残な現実を見せつけてはいるが、街もいろんな出来事や災いに悩まされる。
それらを全部飲み込んで、この街、マンハッタンはクリスマスの灯りに揺れている。