思い起こせば仮免の路上運転は、事故が多発する都内、恐怖の六差路と言われた道路。どうにか免許は取得した。
教官が受講者に言った言葉は、「都内で屈指の交通量の激しい場所で免許を取れたのは凄いこと、ですから自信をもってください」だったと記憶する。
しかし、自動車教習所で運転以降、一度も車を運転したことはなく、その割にアメリカに来た時は国際免許を携行、また、アメリカで運転免許も取得した。実地運転を免除してもらえた緩い時代だった。
日本の運転免許も、アメリカの運転免許も返納することなく、免許更新を日米でしなかったので共に失効した。
それでよかったと思っている。私はなんでも器用な方だと思っているが、車の運転は不向きに思っていた。そもそも免許など取るつもりはなかったが、教習所に入って更に後悔した。返金可能なら即、辞めていた。
さて、こちらニューヨーク。都内の六差路もなかなか運転は大変だったが、日本人はマナーがなっているので、それほど手荒い運転には遭遇しないと思う、あおり運転は怖いけど….
ただ、ニューヨークの、しかもマンハッタンの運転は本当に難しいと思う。日本女性の運転する車に何度か乗せてもらったが、乗りなれている人の運転は安心だが、マンハッタンの運転に慣れていない人は冷や汗ものだった。その点、アメリカ人は男女とも肝が据わっている。
10日程前、５番街の35丁目辺りを歩いていたらボンッ！という鈍い音が聞こえた。そのまま歩き続けるとその音の原因がわかった、交通事故だった。通行人が立ち止まり様子を見ている。おそらく、ニューヨークの人たちではない印象を受けた。ニューヨークの人は、ドライで見過ごすというか、私も歩みをとめることなく、事故現場は歩きながら一瞥をくれるが、たいした事故ではなく良かった。衝突した者同士が話し合い、警察が到着するのを待っている様子だった。
ニューヨーク、特にマンハッタンに住むものに車はほぼ不要だ。地下鉄、バス、特にミッドタウンに住むものは、徒歩で事足りる。
マンハッタンは生き馬の目を抜くような大都会。路上でもタクシーが客確保で、タクシー同士の戦いを見ることもある。路上は一応、交通ルールは守っているのだろうが、日本と比べると無秩序この上なし。
運転免許はない、それが安心感でもある。今、『大人の説教』というエッセイを読んでいる。著者の山本一力氏は、還暦で免許を返上したと書かれている。還暦はまだ若い！ 松田聖子もアラカン（60前後）で、その年代が免許返上とは早すぎる気もするが、それは人ぞれぞれ。
上級国民と呼ばれた元官僚も、数年前に免許返上していれば、池袋駅前で若いお母さんと幼児の命を奪うことなく、本人も殺人などしなくて済んだのに….
アメリカ、ニューヨークに於いては、免許書を持たないことに好運に感じている。
