写真の親子はこの世にはいない。父はブルース・リ、息子はブランドン・リー。1965年3月生まれのブランドンだから、1966年頃、撮影されたものだろう。
過日、ニューメキシコ州の映画撮影現場で主演のアレック・ボールドウィンの小道具の銃に実弾が入っており、映画関係者がその弾に当たり死亡した。映画監督も負傷している。
映画撮影で小道具に実弾を詰めるのは当然違法だ。だから、アレック・ボールドウィンは、俳優として用意されていた小道具を使用しただけなので、罪は問われないかもしれない。いずれにしても悲惨過ぎる事故である。
10月23日付、ニューヨーク・ポスト紙の記事見出しに、同じような事件が記されていた。
Actor who fatally shot Brandon Lee in 1993 movie tragedy was also traumatized
1993年の映画の悲劇でブランドン・リーを撃って死亡させた俳優もトラウマを負った
俳優のマイケル・マッシ―は、1993年3月、ブランドン・リー主演の映画撮影でノースカロライナ州にいた。マイケル・マッシ―は狙撃犯の役で、ブランドン・リーを映画の小道具の銃で撃った。しかし、空砲であったが、撮影用のダミーから外れたとされる弾に発射され、本来は空砲の筈が、奇遇と言うか不運と言うか恐ろしい確率であり得ないことが起きてしまった。
ニューヨーク・ポストの記事によると、アクシデントでセットの銃でブランドン・リーを殺してしまった俳優は、2005年に芸能番組のインタビューに「ブランドンに起こったことは悲劇的な事故でした。 それは私が一生背負っていかなければいけないものでした。私が自分の人生を進めることが出来るようになるまでには、随分と時間がかかりました」、と答えている。
ウィキペディアでこの俳優の出演作品を見ると、誤射の事件が1993年にあったにせよ、それ以降もコンスタントに映画に出演していた。この出演記録から推測するに、アレック・ボールドウィンもこれから俳優業は続けられるだろう。
マイケル・マッシ―、ブランドン・リーを撃った俳優は、2016年に胃がんで他界した。きっと、このアクシデントで彼の俳優人生も、個人的な人生も相当翻弄されたことだろう。俳優として用意された小道具を使っただけなのに…..
また、撮影現場で起きることのない悲劇が起きてしまった。なぜ、失敗から学ばぬか? 誤射により命を奪われた人も、小道具を使ってアクシデントで殺してしまった俳優もまた被害者である。
映画撮影の小道具係のアンプロフェッショナルな愚かさは呆れるどころか、嘆かわしい。救いようのない事件だ。