映画『Cosmetic DNA』熱演の藤井愛稀&仲野瑠花&川崎瑠奈、バイオレンス要素満載も「人と人の愛情を感じる映画です!」

  by ときたたかし  Tags :  

去る2020年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で観客が熱狂、各界からも絶賛の声が届いている映画『Cosmetic DNA』が公開となりました。男尊女卑という理不尽に傷つけられた美大生が、コスメ(化粧)をきっかけに同じ悩みを抱く2人と出会い、世界への復讐へ向かう物語は、女性のみならず「自分らしく生きたい」と願う人々からの共感を呼びそうです。そこで今回、若き異才たちが魅せる次世代インディペンデント・ムービーに出演した主人公アヤカを演じる藤井愛稀、彼女と出会う大学院生のサトミ役仲野瑠花、アパレル店員のユミ役の川崎瑠奈にお話をうかがいました。

■公式サイト:https://cosmeticdna.net/ [リンク]

■ストーリー

コスメを愛する美大生アヤカ(藤井愛稀)は、ある時「映画に出演してほしい」とナンパしてきた自称・映画監督の柴島(西面辰孝)に薬物を盛られ暴行を受ける。泣き寝入りをせざるを得ない状況に追い込まれ精神的に病むアヤカだったが、大学院生のサトミ(仲野瑠花)、アパレル店員のユミ(川崎瑠奈)との出会いで少しずつ心を取り戻していく。

しかし、柴島の次の標的がユミと知ったアヤカは突発的に柴島を殺害。やがて死体処理を進める中で「人間の血液こそが、理想の化粧品の材料となる」ということに気づく。

愛と友情、そして破壊の先の未来とは?アヤカ・サトミ・ユミの《私たちの未来》のための革命が今、始まる。

●それぞれの役柄ですが、どう理解して演じたのですか?

藤井:わたしはアヤカという女の子の役で、彼女はコスメなど自分が求めるものを追っている子です。普段は粗暴な態度なので社会的な感じではないのですが、それでも美学があり、決めたことを貫く強いところがあります。態度だけを見ていると共感しにくいと思うのですが(笑)、なぜコスメが好きなのかなどを追っていくと、彼女の意思の強さがわかり、そこは尊敬できるところでもあり、理解できるところでもありました。

仲野:わたしが演じたサトミは大学院生で、理系で頭がかしこく、やることはしっかりやるタイプです。でもアヤカとの出会いの瞬間もそうなのですが、コミュニケーションがちゃんと取れないところがあるなということを感じました。初めて会う人なのに淡々とサトミは受け入れたりしていて、たぶん研究ばっかりしていて、まわりの人との関係性が作れない子なのかなと思いました。

川崎:わたしが演じたユミはアパレル店員のフリーターで、興味があることはたくさんあるけれど、本当に好きなもの、追いかけたいものがないような子ですね。そのことは演じながら感じていたことでした。外見がギャルなので世間からしたら、あまりいい目では見られないようなところはあるけれど、内面ではちゃんと自分の気持ちを持っている子なので、ちゃんと彼女を演じることを心がけていました。

●殺人や人間の血液を化粧品の原料にしようとするなど、ブッ飛んではいるのですが、3人の関係性はリアルな感じがして、共感も呼びそうだなと思いました。注目してほしいところはありますか?

藤井:予告編を観ると、確かに人を殺しているし、彼女は残酷な人なのかなと思うかも知れませんが、本来は愛情が深い子たちだと思うので、ひとりの人間として観ていただけましたら嬉しいです。

仲野:その3人が出会い、自分の中で「これだ!」と見つけた時の決意が素敵なんです。この先の人生「これだ!」という、人が変わる強さを表現できればいいなと思って演じていたので、そこは注目して観てほしいです!

川崎:大久保健也監督には撮影の前に、「ユミというより川崎さんに寄せていいですよ」と最初に言われていて、わたし自身のような感覚でユミを演じていたんです。そういう意味でもリアルなキャラクターになっているといいなと思います。

●作品のテーマなど、本作に参加して気づいたことはありますか?

藤井:わたしは苦手なのですが、彼女たちは堂々と自分たちが嫌なことは嫌だと言い放って、自分たちの心の健康を手に入れているんです。ちょっとやりすぎではあるのですが(笑)、現実世界でも常識の範囲内であれば強く言ってもいいんだなと、そこは学びました。人間はそこまでできるんだと、演じていて体感しましたね。

仲野:サトミ役としても学んだことなのですが、個人的に一番好きな点は今まで心を開かなかったアヤカが、わたしたちふたりの前で泣くシーンなんです。心を開ける仲間を持つことは、本当に大切なことだなと思いました。それは学んだなと思いました。わたしはまったく自分のことを話せないので、うらやましいです(笑)。

川崎:ユミとリンクしているせいか、わたしもあまり人に頼って来なかったんですよね。なのでストレスが体に出ることも多かったのですが、この映画で人に頼ることを学びました。共演も大きくて、このふたりと会うと何でもしゃべっちゃうんですよね。一緒に過ごした時間が濃かったので、何でも言い合えて心が軽くなりました!

藤井:この作品はバイオレンス要素を観て爽快に楽しめるのですが、それだけではなくて、人と人の話でもあるんです。そもそも自分がされて嫌なことを相手にしていなければ、復讐されることもないわけですよね。人と人の愛情を感じる映画なんです。

●さて本作出演を機にますますの活躍が期待されますが、女優としての今後の活動について目標はあるのですか?

藤井:わたし自身は芝居をしていたくて、芝居を通して人を見たいと言うか、そういうことを思っています。あとは大学で映画を学び、映画という芸術に感動させられているので、映画を愛している人たちと映画を作っていければと思っています。

仲野:わたしは定まっておらず、ふわふわしている感じではあるのですが、お芝居がしたいです。舞台でも映像でも、どちらでも活躍できるような女優になりたいことが目標で、ただ女優だけでなく、人を感動させられるような存在になりたいです。

川崎:人の心を動かせるような存在として、生きていたいなと思うんです。わたし自身がそういう経験をして心動かされてきたので、これからも女優などの活動を通して、人の心を動かせるように生きていきたいと思います。

●これから映画をご覧になる方へ、メッセージをお願いいたします。

藤井:観ていてもとてもポップでキュートで、音楽もバンバンあって、爽快な物語になっていますし、それだけでも十分楽しんでいただけるのですが、過激な描写が苦手だなという方は、なぜそのような描写にいたってしまうのか、その気持ちにも寄り添えている作品になっています。人間同士の愛をとても感じる映画になっていると思います。

仲野:今何かをしたくても勇気が出ない人とか、どうすれば人と交流していくことができるのかなど、何か悩みがある人はよかったらぜひ観てほしいです。ドンドン!ワンチャカもしていますので、そういうのが好きな人も観ていただけたらうれしいです!

川崎:この『Cosmetic DNA』は世の中で感心が高い社会的なテーマを扱っているというコメントをいただくこともあり、そういう映画なのかと思うかも知れませんが、ポップでハチャメチャな感じなので、深く考えず軽い気持ちで映画館に来てください!

10月22日(金)までK’s Cinemaにて公開中
10月29日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo