SB C&S株式会社はモバイルのためのオーディオブランド「GLIDiC」から通話品質にこだわりビジネスシーンをも支えるプロフェッショナルモデルへと進化した完全ワイヤレスイヤホン「GLIDiC TW-9000 」を9月に発売したので、実際に使用してみた。
本品の最大の特徴は通話品位の確保だ。ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能を搭載し、周囲の騒音を取り除き集中しやすい環境を構築する。しかしながら音質にもこだわっており、GLIDiC史上最大の11mmドライバーを採用することで、迫力のある低音域から繊細な高音域まで再現する。いわばGLIDiCワイヤレスイヤホンのプロフェッショナルモデルだと言える。
ノイズキャンセリングイヤホンはまず周囲の音を取り込む必要があるので、マイクが必ず必要になる。そのマイクにMEMSマイクのリーディングカンパニーであるKnowles(ノウルズ)社製の高品質マイクを左右2個ずつ搭載。コンデンサーマイクと違いMEMSマイクは小型で入力された信号をデジタルのまま処理することができるので、ノイズキャンセリングに必要な反対の位相音声を出力するのには好都合だ。
この高性能マイクはノイズキャンセリングだけではなく、もちろん音声通話にも使用されるので、高品位なマイクが左右2個ずつあるのであれば、通話相手に明瞭度と了解度の高い音声を届けることが可能になる。
プロフェッショナルに支持されるカスタムイヤホンメーカーであるカナルワークス監修による独自のイヤホン形状を採用し、装着時の快適さだけではなく、通話時にマイクが最適な角度になるよう調整されている。この角度は実際にボタン操作をする際に感じるが、耳に指をやった際に自然にボタン操作ができる角度になっている。あえてタッチセンサーではなく物理ボタンを配置したのも誤操作を防止するプロフェッショナル仕様としての設計からだろう。
またイヤピースにはSMPテクノロジーズ社が開発した人肌に非常に近い特性をもつ特殊素材「SMP iFit(エスエムピー アイフィット)」を使用したGLIDiCオリジナルのものが同梱されている。このフィット感は装着すればわかるが、耳に吸い付く感じだ。
肝心のHybrid ANC(ハイブリッド アクティブノイズキャンセリング)機能は、不思議なことに使用する場所により効きがマイルドだったり完全だったりする、まるでAIでも搭載しているかのようだ。実際には周囲の音質や音圧によるものだろうが、カフェで試してみるとマイルドに感じ、電車内だときっちりと効いているような感じがした。
バッテリーは1回の充電で約12時間の使用が可能で、実際に半日ほど連続でノイズキャンセリングを機能を入れたまま音楽を聴いていてもバッテリー警告が出ることはなかった。ケースへの充電接続はType-Cで、本体へは10分間の充電で約3時間の再生可能な「Fast Charge(急速充電)」や、置くだけでワイヤレスに充電ができる「Qi(チー)」にも対応している。コーデックは「aptX Adaptive」に対応しているため、スマホ等の再生側が対応していれば低遅延で安定した接続ができる。記者のスマホではaptXを自動認識した。イヤホン本体はIPX4相当の防水仕様なので、急な降雨でも問題はない。
ノイズキャンセリングイヤホンは多くの製品が発売されているが、ビジネスシーンでの音声通話の了解度や明瞭度、ゲームをする際の低遅延、音楽を聴く際の高音質と求める要素はユーザーにより異なるだろうが、本品はその多くの要求を満足させると思われるので購入を検討しているかたは選択肢に入れてみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影