柳楽優弥さん、有村架純さん、そして三浦春馬さんが共演した『映画 太陽の子』が公開中です。「青天を衝け」など多くの話題作を手がける名手・黒崎博さんが監督・脚本を務め、太平洋戦争末期に存在した「F研究」と呼ばれる“日本の原爆研究”という事実を基に、時代に翻弄されながらも全力で駆け抜けた若者たちの、等身大の姿を描いています。そこで今回、柳楽優弥さん、有村架純さんにお話を聞きました。
■公式サイト:https://taiyounoko-movie.jp/ [リンク]
●いよいよ日米合作の『映画 太陽の子』が公開になりますが、プロジェクトの当初、最初の脚本の印象はいかがでしたか?
柳楽:素晴らしい脚本だったのでぜひやりたいという気持ちと、日本で新型爆弾の開発をしていた事実を知らなかったので、もし参加できるならきちんと勉強して臨まなければいけないと思いました。
有村:わたしもここで描かれる事実の存在を知らなかったので、衝撃を受けました。黒崎博監督が約10年かけて企画を作られ、ようやく形になるという熱量や想いを感じたので、ぜひやりたいとも思いました。
●専門的な知識が要りそうな役柄でしたが、役作りや演じる上でどういうことに気をつけましたか?
柳楽:爆弾の作り方などもちろん知らなかったですし、ウランなどに関心を持ったことさえなかったので、研究者のみんなで勉強会に参加したり、修がどういうことをやっていたのか作業の説明を受けたりしました。ただ、みんなスタート地点が同じだったので、みんなで前進できたのはラッキーだったと思います。
有村:わたしは一番、修に近い存在でしたし、観てくださる方たちにとっても親近感があるキャラクターだったのかなと思いました。なるべくネガティブに見えない方向で役を作るように心がけて、ふたりの幼なじみを愛おしく見守っていたり、そういう人間的な愛情を持つことをまず気をつけました。
●劇中では三浦春馬さんとの3人のシーンが少なくないわけですが、3人の紡ぐある種の青春のドラマに引き込まれてします。現場ではどのように作り上げたのですか?
柳楽:春馬君はみんなをまとめる力があるんです。僕もそうしたいけれど、やると空回ってしまうタイプです。春馬君がいることによって、距離感が縮まったというか、役柄にグッと近づいて行けた感じがありました。
有村:春馬さんが現場にいると、すごく中和してくれる感じがあって、すごく不思議な存在感があるんです。この作品に限ったことなのかもしれませんが、自然とそこにいるような雰囲気が、わたしたちにとっては居心地がよかったんです。誰とお芝居をしても雰囲気を作れる方だなと思いました。
柳楽:あとはもともとの役柄と僕たちの普段の距離感が、ちょっと重なる部分があったので、キャスティングがすごいなって、正直思いました。春馬君の存在は、やっぱり心強かったですね。
●柳楽さんと有村さんは過去に仕事をしたこともあると思いますが、改めてお互いに感じたスゴさみたいなものは何でしょうか?
有村:柳楽さんはお会いするたびに驚くというか、役を演じる際にガラッと雰囲気もすべて変わられる方ですし、ご本人は意識をしていないかもしれないのですが、本番を待っている間も芝居に向かう雰囲気をまとっていらっしゃる方なんです。作品ごとに自然と何かが出る方で、出そうと意識しなくても吸引力が本当にすごいなと思いました。役も作品も自分の重力によって引き寄せてしまう核のある人だなと思います。
柳楽:有村さんにはもちろんすごいところがたくさんあると思いますし、すごくなければ朝ドラのヒロインはできないですよね。そういう大きなステージでしっかり結果を残してきた人からあふれ出る人間性や、現場の安心感だったり、スペシャルだなと感じました。なかなか真似してもできないことですし、そこに経験値があり心強さも感じるし、本当に素敵だなと感じました。
●今日はありがとうございました。『映画 太陽の子』、参加されたおふたりは、この作品と出会い、何を学びましたか?
柳楽:僕自身、こういうテーマの作品に挑戦することで学びがたくさんあり、実際に歴史の事実について学びましたし、より戦争というものの怖さについて学びました。ただ、この作品はそれだけじゃなくて、その当時懸命に生きていた若者たちや家族のつながりも丁寧に描いているので、力強く生きることを改めて学びましたね。
有村:戦時中の選択はとても残酷なものだったり、今では絶対に考えらないことの選択を強いられていたこともたくさんあったと思うんですよね。そういうことを考えると、その時代の恐ろしさ、人間のおぞましさなど、いろいろなことを感じながらも、今こうしてそういう当時のような選択をしなくていいという時代を生きているということ、そこに感謝の気持ちを深く感じています。
■ストーリー
1945年の夏。軍の密命を受けた京都帝国大学・物理学研究室の若き科学者・石村修(柳楽優弥)と研究員たちは、原子核爆弾の研究開発を進めていた。
研究に没頭する日々の中、建物疎開で家を失った幼馴染の朝倉世津(有村架純)が修の家に居候することに。
時を同じくして、修の弟・裕之(三浦春馬)が戦地から一時帰郷し、久しぶりの再会を喜ぶ3人。
ひとときの幸せな時間の中で、戦地で裕之が負った深い心の傷を垣間見る修と世津だが、一方で物理学に魅了されていた修も、その裏にある破壊の恐ろしさに葛藤を抱えていた。
そんな二人を力強く包み込む世津はただ一人、戦争が終わった後の世界を見据えていた。
それぞれの想いを受け止め、自分たちの未来のためと開発を急ぐ修と研究チームだが、運命の8月6日が訪れてしまう。
日本中が絶望に打ちひしがれる中、それでも前を向く修が見出した新たな光とはーー?
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