もはや全国規模といった感がある緊急事態宣言下で辟易しているのは消費者だけではない。主たるターゲットとされた飲食店もまた同様だ。ウイルスまん延や緊急事態宣言はだれのせいでもないので仕方がないことだが、美味しいご飯が食べたいという需要も、美味しい料理を提供したいという供給もあるのに、まったくマッチしていないのは不健全であり悲しいことである。
そこで普段はお店で食べるものだと思い込んでいる、あるいは今の時期に行こうとは思わなかったような飲食店で意外にもテイクアウトやこういう時期だからこその特別メニューを用意して、需給をマッチさせようと努力しているお店を取り上げたいと考えた。
第2回目はとんかつ専門店「かつや」などを展開するアークランドサービスホールディングスの子会社で、タイ料理「マンゴツリー」や手づかみシーフードレストラン「ダンシングクラブ」を運営するミールワークスがオープンさせたグリルレストラン「スーパーグリルブラザーズ」1号店を取材した。同社によると、仕事帰りに休日に、毎日を頑張る人たちのために、お腹も心もエナジーチャージできるというコンセプトで、東京都中央区銀座コリドー街に6月4日にオープンした。
取材によれば、もともとは緊急事態宣言の解除に合わせてオープンする予定だったのが、延長に伴い開店を延期した経緯がある。その間にテイクアウトやランチの提供方法を熟考し、オープンにこぎつけたのだ。
テイクアウトメニューも別建てで用意されており、おおむね1000円前後で食べることができる。どれもボリューム満点の質と量を両立させたメニューなので社内でのランチはもちろんのこと、夕食用としても満足のできる量である。
ランチメニューも1000円前後の価格設定で、「満足」というワードを具現化したものだ。このあたりの思想は「かつや」譲りなのか、ガッツリ食べたい向きには文句の言いようがないところだ。
では、店内で試食したメニューの一部を紹介しよう。
グリルレタスのシーザーサラダ
「グリルレタスのシーザーサラダ」は、レタスが芯の部分からくっついてくる圧巻の画だ。芯まで柔らかいレタスぼぶつ切りにたっぷりっかったチーズとシーザードレッシング、もはやクルトンとは言い難い「トースト」のカケラがドーンと乗ったこれだけでお腹いっぱいのサラダだ。シャキシャキにザクザクとさまざまな食感と野菜の甘味に濃い味のソースがからみ、サラダの要素全部を詰め込んだ感じだ。
ミートボールスパゲッティ
「ミートボールスパゲッティ」は、パスタよりも肉の方が多いのではなかろうかと思えるほどだ。肝心のミートボールはこちらも、もはや「ハンバーグ」級の肉の塊でハンバーグスパゲッティと言い切っても過言ではない。この「ハンバーグ」がスパゲッティのボリュームを確実にマシマシにしているので、覚悟して注文したい。
スーパーグリルコンボ
「スーパーグリルコンボ」は、2-3人前なのでグループでシェアして食べるのが基本だが、それでも総重量は1.5kgを超える。内容を列挙しておくと、ハンギングテンダー、ハーフチキン、チョリソー、ベーコン、海老、帆立、ホンビノス貝、ポテト、オニオン、コーン、トマト、甘長唐辛子、パプリカに、3種類のソースが付く。野菜は季節により変わるようだが、こういう時期なのでグループで行って取り分けて黙々と食べたい。
なお、同店では現在は時短営業でアルコール類の提供は行われないので、詳細は確認をしていただきたい。
わざわざ出掛けて行って食べることは推奨しないが、いつまでもリモートワークができるほど環境が整っている企業は少ない。よって通勤や通学のためにいつも通り公共交通機関を利用したり、オフィスでランチを食べたりする機会はあるはずだ。ファストフードやコンビニ弁当もいいが、息苦しい世の中で精神衛生上、たまにはランチや通勤・通学の途上でテイクアウトして自宅でプチぜい沢することはとがめられることはないだろう。
もし自宅やオフィスの近くに、または移動の途上に店舗がある場合には本物の味を味わい、アルコールに頼らずとも同時に心の平穏も満たしておきたいものだ。
※写真はすべて記者撮影