劇場アニメ『どうにかなる日々』ファイルーズあいインタビュー「それぞれが幸せで、愛し合っていればよくない?っていうメッセージ性がわたしは大好きです!」

  by ときたたかし  Tags :  

「放浪息子」「青い花」などの代表作で知られる青春群像劇の名手・志村貴子による、さまざまな恋模様を淡く繊細に描いたオムニバス漫画(太田出版刊)を原作とした劇場アニメ、「どうにかなる日々」のBlu-ray&DVDが3月17日に発売となりました。

元恋人の結婚式、男子校の先生と生徒、心と身体の変化を迎える思春期の幼馴染。誰が相手でも、どんな形でも、すべての恋と生き方には同等の価値がある。そして、不器用に誰かを想った日々は、きっといつか愛しい思い出になる。そんな“誰かの恋”を優しく見守り、温かく描くオムニバスショートストーリー集です。

その発売を記念して登場キャラクターの一人、小夜子を演じた注目の若手声優のファイルーズあいさんへインタビュー。2019年にテレビアニメ「ダンベル何キロ持てる?」の主人公・紗倉ひびき役で声優初主演。以後、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」など人気作品への出演が絶えず、その親しみやすいキャラクターも人気を集めています。本作の魅力についておうかがいしました。

■インロトダクション

誰かを想う日常は、ときに甘くて、ときに痛い。そんな、なるようにしかならない日々も、きっと、いつか。
元恋人の結婚式、男子校の先生と生徒、心と身体の変化を迎える思春期の幼馴染。
誰が相手でも、どんな形でも、全ての恋と生き方には同等の価値がある。
そして、不器用に誰かを想った日々は、きっといつか愛しい思い出になる。
そんな“誰かの恋”を優しく見守り、温かく描くオムニバスショートストーリー集。

●劇場公開時にも話題になった本作ですが、改めて完成した映像を観た時の感想はいかがでしたか?

まず日常感がすごくあるなと思いました。わたしが演じた小夜子だけでなく、ほかのキャラクターもそこに存在しているような。ドアを開けて外に出たら、本当に会えるのではないかと思うほど、身近に感じるキャラクターばかりでした。そこにいろいろな恋愛模様が出てくるから、共感できる部分も多いんですよね。愛の形を「これ!」と決めず、いろいろな形の愛が出てくるので、そこも魅力だと思いました。

●静かな映画なのですが、力強い作品だとも思いました。

セリフの数はそれほど多くはないのですが、空気感で物語を紡いでいく、空気が言葉みたいな瞬間がありますよね。みかちゃんとしんちゃんが黙々と宿題をやっているシーンは夏の風鈴や扇風機の音だけですが、それでも何百の言葉が飛び交っているようなメッセージ性を感じられるようでした。言葉以上のコミュニケーションをわたしも感じました。

●そのしんちゃんの従姉であり、過去がある小夜子というキャラクターを演じてみて、いかがでしたか?

もともとナチュラルなお芝居が得意じゃなかったのですが、この作品はナチュラルさが求められる作品だと思ったので、肩の力を抜いてキャラクターを憑依させることに注力しました。小夜子というキャラクターに通ずる部分があったので憑依させやすく、自分が小夜子のつもりで話していたら、自然に彼女になったような気がしました。役者として一段階上に成長させてくれた作品になりましたね。

●どこが共通していましたか?

金髪?今は銀髪ですが(笑)、彼女の性格ですかね。小夜子ほどではないのですが、大雑把だったり、他人に言われてやるのではなく、自分がやりたいからやるとか、ある意味での自己中心的な感じは似ていると思います。いい意味で、ですけど(笑)。

●今回、成長を感じたそうですが、声優の魅力とは何でしょうか?

何にでもなれるところですかね。ただ、自分が体験したことがないようなことも表現しなくてはいけないことは難しいですよね。それこそ小夜子は、親に勘当された過去がありますよね。わたしの場合、声優になるって行動に移すまでには親の反対もあったので、そこで親と上手くいかなかった時の悩みであったり、小夜子はあっけらかんとしていますけど、彼女なりに思うこともあったと思うので、そういう近い体験をしていたので、だからこそできたお芝居もあったと思います。

●ちなみに今は応援をしてくれていますか?

はい!そこに至るまでには本当に家族会議を何回もしました。

●ところでご自身のTwitter、人柄が出ていて人気ですが、SNSを始めてよかったことは何でしょうか?

ファンの方々の声が直接届くことが、何にも代えがたい喜びです。リアルタイムでファンの方の声を直接聞けることがうれしいです。アニメを観てくださったファンの方から、直接ファンレターも届くようになりました。

●今回の作品に参加されて、何か想いを新たにするようなことはありましたか?

『どうにかなる日々』は愛の形を描いていますが、どうしても人を愛したい、ないしは嫌われたくないことに人って躍起になりがちですよね。でもわたしはまず、自分を愛することを大切にしたいと思っていて、どうしても他人を思いやる優しい気持ちばかりが先行してしまうと、自分の心が憔悴していて壊れてしまうことがあると思うんですね。だからこそ、なおさら自分のことを大切にしたい。自分を愛すると心に余裕が生まれてきて、人を愛せるようになるので、自分を愛することが一番大事だと思います。たぶん、この『どうにかなる日々』に出てくる子たちも、自分を愛する自信がないかもしれないけれど、根底には自分を愛している、愛したい気持ちはあるかもしれないんです。

●今日はありがとうございました!最後にメッセージをお願いします。

この世の中にはいろいろな愛の形があっていいと思うんです。10人が10人、王道のラブストーリーを夢見ていて、それを辿らなくてはいけないことはない。『どうにかなる日々』の中には、世間的に観たら変わっているふたりも出てくるのですが、でもそれは本人たちにとっては自然なこと。人は自分と違うものを否定してしまう。理解しようと歩み寄るよりも簡単だから。でも、この世界では誰一人、否定的な言葉を使う人はいないんです。それぞれが幸せで、愛し合っていればよくない?っていうメッセージ性がわたしは大好きです!

【Blu-ray】
「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition【初回限定生産】
2021年3月17日発売
収録分数:本編54分+映像特典61分
販売価格:8,580円(本体7,800円)
品番: PCXG-50756

【DVD】
「どうにかなる日々」DVD
2021年3月17日発売
収録分数:本編54分
価格:4,180円(本体3,800円)
品番:PCBG-53490

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo