キリンビールは「麒麟 発酵レモンサワー」(350ml缶・500ml缶)を3月16日(火)より全国発売する。
アルコール・ノンアルコールにかかわらず、今後注目されると思われる発酵果汁を使用した本品はどういうものなのか、発売に先立って行われた報道関係者向けの「麒麟 発酵レモンサワー」特別先行試飲会を取材したのでレポートする。
同品は香料無添加で発酵レモン果汁を使用した世界初のサワー商品であるという。
同社がビールの醸造で114年間培った発酵技術を駆使した「麒麟 発酵レモンサワー」に使用されている発酵レモン果汁の「原液」をまずは試飲した。酵母を使用して発酵させているが、発酵食品と聞くとあまり良い先入観はない。たいていは独特の香りと味があり、はまれば珍味だが基本的に好みの分かれるカテゴリーだ。製品にどう生かされているのかも確認したい。
その前に原液の試飲だ。香りはレモンというよりも、まったくツンとこないまろやかな酢のようなものだった。味はレモン果汁よりも、あるいは酢よりも酸味はなくストレートで飲むことはそれほど難しことではなかった。全体の風味としてはレモンといえばレモンだが、さまざまなうま味や複雑な香りがからむ日本の漬物や、焼く前のパン生地を連想させるものだった。
次に本品と、通常のレモン果汁を使用したレモンサワーとを飲み比べた。
写真左が同社が用意した一般的なレモン果汁使用のレモンサワーである。
通常のレモンサワーはもはや説明は不要と考えるので、本品と比較しての特徴を述べる。
まず、香りの立ち上がりが非常によく、その香りもまろやかなレモンの香りだった。またレモン独特の顔をしかめるほどの酸味はなく、むしろ酸味と甘みと奥底に感じられるうま味が調和したような美味しさだった。
またアルコール度数7%ともなると、どうしても後味と残り香にエタノールが残ってしまうものだが、本品にはそれほどエタノール感は感じられなかった。
総合的には、発酵果汁やアルコールまたは炭酸が非常にこなれている感じがした。味が分かれておらず一体感があるということもできるだろうか。無理にフレーバーを付け加えることなく発酵果汁を使用することでこれだけの完成された風味を得られるのかという、おどろきの方が大きかった。
お酒はし好品なので、記者はそれぞれの好みで選べばいいと考える。しかし、発酵果汁というひと手間かけた新たな原材料を使用したことにより、消費者の選択肢が増えたことは喜ばしいことではないだろうか。
「発酵」という言葉に戸惑わず、香料・酸味料・甘味料を一切使用していない酵母の力による人工的でない自然なおいしさを感じることができるはずなので、増える家飲みのお供に試してみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影