日本でも東京から大手企業が地方へ本社機能を移転している事例がチラホラ。先ず、人材派遣のパソナが本社機能を東京から淡路島へ移転中。それに芸能プロダクションで東証一部上場企業のアミューズは富士山麓に本社機能を移転予定。なかなかの英断である。東京は地価が高すぎる為、地方移転は家賃支出の比率が大きく下がるので企業にとり魅力的。
アメリカでも、しかもニューヨークでも同じような傾向にある。このコロナ禍でニューヨークを離れた人が急激に増え、それに伴い家賃が下がったり、新たな借り手には家主が手数料をなしにして入居可能とまでの大盤振る舞い。しかし、ニューヨークの不動産業界は干上がったまま。
2月22日付、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で面白い記事を見つけた。
ウォール街の移住者達、移住先はフロリダへ…
ヘッジファンドを扱う裕福な人々はコロナ禍から回復しつつある
ニューヨークの高級不動産事情から、ニューヨークの住まい売却を検討As Wall Street Migrates to Florida, Hedge-Funders Move to Offload Manhattan Homes Wealthy financiers are trying to sell their properties as the city’s luxury market begins to recover from the Covid crisis.
…とある。一般的な住宅事情は最悪であることはニューヨーク在住の日本人不動産業者も、YouTubeやローカル紙で発信している。しかし、富豪層には一般的な定義は当てはまらないと見える。
ウォール・ストリート・ジャーナルでは、昨年、ヘッジファンドのエリオット・マネージメントがニューヨークから本社を移転したとあり、その会社の幹部がニューヨークの高級コンドミニアムの売却先を探しているというのだ。以下の写真はあくまでイメージだが、金融業界で働くエグゼクティブはだいたいこのクラスの住宅に住んでいると予想される。
(Photo: https://www.flickr.com/photos/dmi-kruglyak/16251364541/sizes/z/)
↓ バスルームも高級感に満ちている バスタイムはマンハッタンを眺める時間を満喫
(Photo: https://www.flickr.com/photos/dmi-kruglyak/15634572374/sizes/z/)
↓ 角度を変えてのリビングルーム 世田谷区程面積のマンハッタンにこのリビングの広さ!
(Photo: https://www.flickr.com/photos/dmi-kruglyak/16069443398/sizes/z/)
ニューヨークからフロリダへの移転は地価が安くなることと、それに匹敵する利点がもうひとつある。ズバリ税金だ!アメリカの多くの州は、収入が多くなればなるほど税率も高くなる累進課税を取り入れているが、なんとフロリダ州は所得税を徴収していない。トランプ前大統領がフロリダで多くのビジネスを手掛けるのも、その所得税がないという理由も大きいと思う。
ヘッジファンドを仕事とする金融マンは、成功者は確実に富裕層だ。大きく稼いで大きく使う、派手派手な職業である。クリントン元大統領の一人娘、チェルシーも当時のゴールドマンサックスのヘッジファンドの若き成功者と結婚した。
ニューヨークからフロリダに移転したヘッジファンドのエリオット・マネージメントの社員たちの年収は一般人と比べてけた違いに多いだろう。今まではニューヨークの高い所得税を徴収されていたが、これからはそれがゼロになるので、いささか大げさだが法外な喜びではないだろうか。
コロナ禍でビジネスは一転した。かつては大手企業は煌びやかなビルに入居し、豪華さを競ったものだが、今はリモートワークにシフトして、オフィススペースを撤退して家賃を抑えて社員たちは自宅を職場としている企業もある。特に家賃の高いニューヨークに於いては賢明な選択だ。
企業移転はニューヨークからフロリダへ。そして、高級コンドミニアムをフロリダ移転に伴い売却する金融会社の幹部の資産は更に増えるのだろうと、他人の懐具合に興味を抱いてしまっている。