元半グレに聞く― 実刑で石垣島撤退!「半グレのパラダイス」だった南国の実態とは?

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

戦前戦後に大きく勢力を拡大させていたヤクザに替わる反社会勢力の台頭として、君臨していた半グレ

先日、沖縄県那覇地裁で、石垣島を拠点に暗躍していた51歳の半グレリーダーに懲役2年6ヵ月の実刑判決が出ました。容疑は、プロ野球公式戦などの勝敗を賭けた野球賭博を手助けした賭博開帳図利ほう助罪。舎弟にあたる若者が賭場の資金不足に陥っているところを見かねて、金を供給してくれる「流し元」を紹介したという違法行為が認められました。

リーダーが実刑判決を受けたこの一件をキッカケに、昨年11月八重山警察署を訪れて「多大な迷惑をおかけしました。大阪に戻ります」と陳謝し、グループの解散と石垣島からの撤退を宣誓。そう彼らは、関西から出稼ぎにきていたのです。

警察庁は半グレたちのその目に余る蛮行から「準暴力団」として規定し、締めつけがキツくしはじめました。しかし、なぜ彼らは南国の地を目指すのか……。

今回は、半グレたちの今と沖縄・石垣島でのシノギ(金儲けの手口)の話を、元半グレのF氏(39歳)に伺いました。

《これまでの半グレ関連の記事》
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ヤクザを辞めて半グレになる理由

丸野(以下、丸)「今回の実刑判決でまず気になったのは、半グレリーダーの年齢(※51歳)なんですが……

F氏「暴力団対策法とか暴排条例のせいで、弱体化してシノギができなくなった貧困暴力団員がヤクザを辞めて行きつくところは、元暴のアウトローになるしか道がないわけよ

丸「ヤクザ経済学者の廣末登先生が名付けた“元暴アウトロー”ですね

F氏「《元暴5年条項》が邪魔をして、元暴力団員は5年の間は携帯電話も住居も保険契約もできない。元暴力団員のコネクションを使って、シノギの道を拓いていかないとどうしようもない。だから、元暴力団員という肩書を使って、ヤリ手ヤクザが半グレ集団をつくることって自然の流れなんだよね。切った張ったでメシを喰っていたヤクザのままだから、暴対法の対象から外れると、シノギ放題。みかじめ料の徴収やレンタルおしぼり、飲み屋の新規出店はもちろん、恐喝、暴行、傷害、詐欺、拉致監禁は当たり前。やりたい放題だよね

丸「半グレって絶対若者という先入観がありました

F氏「喰えないヤクザは、60代で“半グレ”になっている人もいるよ。それほど、ヤクザは喰えない」

半グレはなぜ南を目指すのか?

丸「なぜ、石垣島を拠点にしたんでしょうか?

F氏「石垣島も沖縄も、東京や大阪なんかの大都市からの直行便があるし、国際線も開通したから、観光ニーズの宝の山。キャバクラ店やホストの店、バー、ラウンジ、居酒屋、焼肉屋なんかが儲かるわけ。コロナがなければね。それに、マリンレジャーなんかの事業が儲かる。本土の稼ぎ方とはまた違うわけよね」

丸「なるほど」

F氏「しかも、東京や大阪のスカウト(マン)を呼んできて、観光ついでに沖縄の女の子たちをスカウトしてもらえれば、本土のキャバクラや風俗店、AV女優として働かせて、また儲かるしね。沖縄の女の子って目が大きくて、レベル高いから。沖縄には仕事が少ないし……。滋賀県の雄琴にあるヘルス『B』なんかはほとんどが沖縄からの出稼ぎの女の子たちで固めてある」

丸「大昔に行ったことありますけど、確かに沖縄の子が多かったですね

F氏「なにも、南を目指したわけじゃない。震災があった東日本の復興時には、ナイトビジネスが活況になったから、半グレたちがかなりの数、出稼ぎに向かった。大都市での警察の取り締まりが強化された今、南の観光地へ逃げてきたというのが正解なのかもね

元ヤクザだからこそ話がついた移住計画

丸「半グレが大阪からやってきて、地元ヤクザは怒り狂わないんですかね?

F氏「そこが、元ヤクザ。《沖縄・石垣島観光推進計画》として、“あなたたちヤクザができない仕事を半グレがやりますから”“売り上げの一部を渡しますから”という条件での上からの口利きがあったと思う。いわば“フロント企業として活躍しますよ”と。確か、石垣島は指定暴力団『■■會』のシマ(縄張り)。リーダーが籍を置いていた『■■組』から話があったんじゃないかな。この半グレ集団は、■■會のシマ内で事業を展開してたみたいだし。実質、シマ内でやりたい放題できるのは、半グレだけということになってしまうわけ

丸「ああ、そうか。ヤクザならではの引き合わせがつつがなく終わった感じで、事業をはじめたわけですね

F氏「事実、他の半グレ集団も沖縄なんかに進出していて、アタマ(リーダー)として束ねているのは、元ヤクザというケースも多い。沖縄や石垣島は、客引きやぼったくりのガールズバーなんかがも増えて、実際に治安が悪くなっているね」

丸「やっぱり暴力団が裏で糸を引いていたわけですね

F氏「だってやっている犯罪をみれば、野球賭博や賭場開帳、ノミ屋なんて、古き良き時代のヤクザじゃない。野球賭博なんて久しぶりに聞いたし、半グレが犯す罪じゃないよ。裏カジノやネットカジノだったらわかるけど」

沖縄・石垣に進出した半グレグループがひとつ解散した、と胸を撫でおろすのはまだ早いのです。なんと半グレ集団は、公安委員会指定の暴力団とは違い、解散届に法的効力はなく、本当に解散・撤退したのかはわからないというのです。さらに危機感を募らせる情報が……。

新たに首都圏を中心に活動する半グレ組織『■■■合』までもが進出を考えているとのこと。

私たちが南国のリゾート地を安心して楽しむ日はくるのでしょうか?

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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