エアジョーダン好きが語る「靴は履かなきゃ意味がない!」バッシュの流儀

どうもライターの丸野裕行です。

イタリアンファッションや英国ファッションが好きな筆者の自宅には、バスケットシューズはもちろん、スニーカーなどは一足もありません。華やかで瀟洒なスーツに合わせるイタリア製のビジネスシューズや色っぽい革靴には愛着があります。

そんな筆者がこの取材で出会ったのは、バスケットシューズ『エアジョーダン』。

<写真:《AJ4》を持つ上田さん>

今回は、転売目的で箱から出さずにストックしているマニアが多い中、あえて履くことを楽しむエアジョーダン愛好家である、デザイン会社『株式会社 KEYVEX DESIGN』の代表・上田裕介さんに、それぞれの履き心地の違いや魅力、コレクションの数々を紹介してもらいました。

ジョーダン愛はあったが手が届かなかった

丸野(以下、丸)「いつぐらいからエアジョーダンに凝りはじめたんですか?

上田さん「中学校からバスケをやっていたんですが、その頃がマイケルジョーダン全盛期。ある意味、バスケやりたい半分、バッシュ履きたい半分という感じで、憧れていたわけです。NBA、ジョーダンがカッコいい、とにかくバッシュがカッコよすぎて……

丸「そのポスターは既製品ですか?」

上田さん「いえ、僕がデザインして作りました(笑)

丸「かなりお好きなんですね(笑)」

上田さん「ちなみに、このストリート系のロングTシャツも、エアジョーダンを可愛い女の子に履かせたいという願望をカタチにしたものです(笑)

丸「どれほど好きなんですか(笑)」

<写真:上田さんデザインのロングTシャツ>

上田さん「いくら好きでも、中学生には簡単に手に入れられるものではないんですよね。その歳には、手にしたことすらなかったです」

丸「中高生には高いですもんね

上田さん「専門学校に入って、アルバイトをはじめると、少し好きなものを買う余裕が出てきました。ちょうどその頃にエアジョーダン(以下、AJ)の復刻版が発売されて……。復刻版とニュータイプを同時に楽しめるようになったんです。まず買ったのは《AJ5》でしたね

オリジナルの《AJ1》は高額で取引される

丸「夢のエアジョーダンを初めて手にすることができたわけですね。基本的にNIKEが好きなんですか?

上田さん「そうですね。AJがNIKEブランドの中で確立されただけで、基本的にNIKE好きですね。そこにあるボロボロのエアジョーダンがあるでしょ? 発売当時のオリジナル《AJ12》です。20年前くらいのやつですね。《AJ1》はかなり高額の取引になりますが、値段はつかないでしょうけど……」

丸「なんだか、レトロ感のあるバッシュですね

上田さん「そして、これが≪AJ1≫の復刻版です。世の中にAJが誕生した初めての型。僕は本当にこのカタチが大好きですね。AJの歴史がはじまった記念の一足ですから……

丸「ついに産声を上げたわけですね」

上田さん「《AJ2》は人気がなくて、後ろの右から3番目が≪AJ3≫。AJのデザイナーにティンカー・ハットフィールド※というAJデザイナーがいるんですが、初めて“ジャンプマン”ロゴがついたモデルなんです。ジャンプマンロゴを推すために、スウッシュ(swoosh=NIKEロゴ)をいったんなくし、発売当時のモデルはスウッシュがない。近年発売されたものには、入っているんですよね。色的にも落ち着いていて履きやすいし、気に入ってますね」

※ティンカー・ハットフィールド……1952年4月30日オレゴン州ヒルズボロ生まれ。数多くのNIKEアスレチックシューズのデザイナーで、ハットフィールドはNIKEの《イノベーションキッチン》監督。さらにNIKEデザイン&特別プロジェクト担当副社長を兼務。ハットフィールドの革新的デザインと30年にも渡る多数の作品によって、彼は“伝説のデザイナー”と称されています。

<写真:後ろの左から3番目が≪AJ4≫、後ろの右から2番目≪AJ5≫のローカット>

デザイナーとしての観点から見たデザイン性

上田さん「AJは《AJ35》まで出ているんですが、デザインにも統一性があって《AJ35》と《AJ5》、《AJ34》と《AJ4》、《AJ33》と《AJ3》とフォルムに一貫性を持たせたんですよね、《AJ31》が発売されてから

丸「なるほど。じゃあ、《AJ1》があるから《AJ31》も欲しいんじゃないですか?

<写真:履いているのが≪AJ6≫>

上田さん「欲しいですね。でも、僕がAJを買うモットーは、絶対に定価以上では買わないということです。プレ値では買いません。チャンスを待つことも楽しんでいますね

<写真:左から2番目のレディースカラーが≪AJ7≫>

丸「なにか、AJは靴が入っている箱が凝っているとお聞きしましたが……

上田さん「そうそう。そうなんですよ。マニアは必ず箱を残していると思いますが、ホログラムを使ったり、ムダなスペースがあったり、箱にムダな布製のタグを縫い込んだり……。僕はパッケージデザインもやっているので、予算関係ないなら逆にこんなの作りたいですよ(笑)

丸「面白いですね」

airMaxを模倣する遊びゴコロ

上田さん「それに《AJ4》なんかは、ファッション界で人気のあるグレーと黄色を使った《AirMax95 イエローグラデ》のデザインを踏襲している遊びがすごい。シュータンを分厚くしたり、切り返し部分の《AirMax》というロゴのイミテーションがあるし、ヒモも《AirMax95》をイメージしたものを使っていたり、グラデーションを演出したり、後ろの部分をリフレクト板を駆使して表現したり、デザインで遊んでいるところが面白いですね

丸「そういう大人の遊びっていいですよね

上田さん「僕ら30代から40代のバスケ経験者は未だにジョーダンへのリスペクトが止むことはありません。ジョーダン引退から数十年経過した今でもAJに対しての付加価値が高くて、数々の海外限定モデルが日本へ入り、プレミアム価格で取引されています。だから、なんだか転売でひと儲けするっていう行為は、どうもAJに対する冒涜なような気がするんです

やはり履く理由

丸「さて、上田さんはなぜAJをコレクションするだけでなく、実際に履く人になったのですか?

<写真:《AJ34》>

上田さん「履きたいからAJを買うんですよ。おそらくNIKE側もそう思っているでしょう。手に入れた所有欲を満たすことよりも、履き心地を楽しむ、履いて街へ出る、人に見せたいという気持ちが勝っているわけですね。見ているのも好きだけど、見るだけなら、AJはいらないです

丸「そういう感覚なんだ」


【エアジョーダンを履く男は、かくも語る】

上田さん「買った次の日が雨だったとしても、履いて街へ出ますね。それが気持ちいい。デザイナーだから、自分が認めたデザインのものを履くんですよね。フィギュアを箱のまま入れている人と、実際に箱から出して飾る人がいるじゃないですか。僕は絶対的に後者ですね。だから、AJを100足とかたくさん持っている人はけっこういるんですよ。でも、実際に履く人ってすごく少ない。買いたい先に“履きたい”しかないわけなんですね。もしオリジナルの《AJ1》が手に入ったとしても僕は履きますね

話を聞いていても、彼のAJに対する情熱は“偏愛”にも似た部分があり、AJをまったく知らない筆者としては非常に楽しかったです。

さらに上田さんが自宅で許されている靴箱はすでにAJで満室。それでも彼は買い続けるといいます。

また、そもそもスニーカーやバッシュが好きで、ジョーダン以外にもレアな『オフホワイト』というヴィトンのデザイナーとNIKEがコラボしたものなども所有しているとのこと。もちろんその靴も履き潰すそうです。

《取材協力》
『株式会社 KEYVEX DESIGN』
本社:〒600-8191 京都府京都市下京区堺町21-502

TEL/FAX:075-708-5645
URL:http://keyvex.design/

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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