偽PCR検査、ワクチン予約金etc…半グレ集団に聞く「コロナワクチン詐欺」の手口

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

現在、新型コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言下にある日本ですが、毎日報道番組に取り上げられている気になる話題と言えば、やはりワクチン接種についてのニュース。

アメリカでは既に始まっているワクチン接種ですが、日本でも医療従事者や65歳以上の高齢者へのワクチン投与が4月から始まります。

最近、このコロナワクチンをめぐる詐欺が横行しているといいます。その被害は、警視庁や河野大臣が注意を呼びかけるほど。

<※写真はイメージです>

今回は、コロナ禍で様々な詐欺を考案している半グレ詐欺集団のメンバーの一人であるI氏(28歳)に、コロナにまつわる詐欺の手口をインタビューしました。

《筆者が以前この半グレ集団に取材した記事》
『半グレ詐欺集団に話を聞いた! 高齢者が注意すべき「すり替え詐欺」や「カード切れ込み」の手口』
https://getnews.jp/archives/2901636
『あっという間に大金を稼ぐ半グレ犯罪!「共済金詐欺師」に話を聞いた』
https://getnews.jp/archives/2917785

日々生まれる新たな特殊詐欺

丸野(以下、丸)「どのような手口なんですか?

I氏「まず、03(※東京)とか06(※大阪)とか各自治体の保健局感染症対策課や福祉保健局の職員を名乗って、“新型コロナウイルス感染症のワクチン接種予約が取れる制度があり、前倒しの2月や3月からワクチン投与が受けられる”と電話する。それから相手の反応を見て、《予約預かり金》という名目の後日返還されるはずの金を要求するわけ」

丸「その電話は何月ぐらいからかけはじめたんですか?」

I氏「年明け早々だね。政府が煮え切らない返答をしたときに、オレたちは“やった! チャンスだ!”となるわけよ。オレたちは、そんな感染へのリスクや不安を抱えているターゲットを選んで、攻める。だいたい被害に遭うのは、小金を溜め込んでる高齢者だよね」

丸「やっぱりそうなりますか……。でも、本当によくそんな手口ばかり考えられますね

I氏「コロナ危機といわれているけど、オレたちはビジネスチャンスだと思ってる

丸「ビジネスチャンスって、完全に犯罪なんですけどね

ちゃんとアナウンスしない政府が悪い

I氏「それに、具体的にどうすればワクチンが受けられるのかを知っている人間なんていないから。政府がちゃんとアナウンスしてないのが悪いんだよ。電話がかかってくると、高齢者は“ああ、こんな感じでワクチンを受けるんだ”と錯覚しちゃう。なんだってそう。給付金だって、貸付金だって、高齢者にはわからない

丸「確かにそうですよね。しっかりと手順を書いて配布するなり、早く決めてアナウンスすることが一番大事なんですけどね

I氏「このワクチン詐欺は、元々PCR検査詐欺を応用したもので、PCR検査詐欺は儲かった。去年の6月くらいにWebサイトを起こしたり、職員を装って電話をかけまくって、“3回分のPCR検査キットをお送りしますので、1ヵ月間隔で受けてください”って、高齢者は藁をも掴むように“お願いします!”と15万円すぐに振り込んできた。オレたちは、コロナ感染のことなんて考えずに、密になってガンガン攻めてたなぁ。だって、オレらなんてコロナに罹ったって関係ないし」

丸「はぁ……」

I氏「PCR検査のことも政府がアナウンスしてなかったし。被害者が出たのは、全部あいつらのせいなんだよ

丸「詐欺やる方が悪いんですよ、それは

今回のワクチン詐欺はワンセットで……

I氏「今回もマニュアル化して、バカなやつでも電話をかけられるようにしてある。《高齢者を対象にしたPCR検査+ワクチン接種》で15万円のセット。“予約金を指定口座に振り込んでください”といえば、仕組みがわからないから振り込んじゃうものなんだよな」

丸「あれっ、でもワクチン接種費用って無料ですよね?」

I氏「もちろんそのときの対応マニュアルもあるよ。高齢者への説明は、“PCR検査で陽性反応が出た場合は、ホテル療養が必要です。ワクチン接種日は、政府指定の医療機関に泊まっていただきます。あくまでも、預かり金としてなので、接種後にその場で返金対応いたします”という感じで質問をかわすわけ

丸「《一時預かり金》というのは、よく詐欺手口で利用される言葉ですね」

I氏「こう伝えておけば、“返金があるなら、とりあえず支払うか……”と財布のヒモが緩むから……。だんだんとワクチン接種の情報が出てくると、それにも便乗するわけ。ワクチン接種は2回行われるそうだから、“1回目のワクチン接種は無料、しかし2回目は2万円が必要になるので、保健所がその費用を立て替えるので、あなたの振込先口座番号を教えていただけますか?”とフォローすると、高齢者は“やっぱりちゃんと返してくれるんだ”と信じ込むと」

丸「周到なやり口ですね」

詐欺師は、騙された高齢者をしつこく追う

I氏「それに、オレらはただただ10万円や20万円を騙し取れば、それで終わりというわけじゃない。一旦騙された高齢者はリストアップして、そこから頭をひねって、次の騙し方を考える。定額給付金の10万円を騙し取った高齢者は、その後にうまくやって、数百万を騙し取った。悩みや心配事なんかをちゃんとヒアリングして、そこにつけ込むのが最終的な目標だから……」

丸「ヒドいですよ、本当に。高齢者の年金を騙し取ってはダメですよ

警察庁発表の令和2年の特殊詐欺被害件数は、認知件数13,526件、被害額277.8億円。65歳以上の高齢者ワクチン接種は4月からと正式に決まり、ワクチン接種クーポンを発送すると政府の発表がありました。電話かネットで予約を行うので、おそらく多くの高齢者は、電話予約するはずです。

医療従事者や高齢者の接種が完了するまで、ワクチン接種の予約を偽る詐欺の電話はとまらないでしょう。

不審な電話があった場合は、各市区町村の役所や警察、消費者ホットライン『188』に電話するか、家族に相談するようにしましょう。

(C)写真AC
※写真はイメージです

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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