IR法案は安全? 精巧なカジノ〇〇〇が偽造団によって日本にバラ撒かれる日

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

筆者は、テレビ局などの取材でよくIR(統合型リゾート)と暴力団やマフィアとの関係を訊ねられることがあります。

IRとは、国際会議場や展示施設、カジノ、ホテル、レストラン、ショッピングモール、映画館、劇場、遊園地、温泉、スポーツ施設などが一体になった観光施設のこと。シンガポールやマカオ、香港、韓国など、統合型のリゾート施設を設置した諸外国の都市が観光拠点として発展していることは周知の事実だと思います。

日本でも可決成立したIR法案による施策は、現在新型コロナウイルス感染症の影響で足止めを食っていますが、コロナが終息して、本格的にそれらの施設が国内にできれば、巨額のインバウンド事業になるでしょう。

カジノの法制度化を待ち望んでいたのは、何も日本政府だけではありません。反社会勢力もまた巨万の富を得るために、暗躍し続けているわけです。

今回は、贋札や偽造パスポート、偽造免許証に詳しく、海外の犯罪組織とのパイプが太いT氏(54歳)に、最近海外のカジノで流通した、とある偽造品の話を聞くことができました。

様々な問題を抱えたIR

丸野(以下、丸)「マカオに観光に行ったことがあるんですけど、街を見ていると豪勢だし、IR法案っていいことずくめだと思っていたんですけど……

T氏「カジノができるメリットとしては、赤字国債の削減、新財源の確保などインバウンドの恩恵を受けられるという点はありますが、リスクの方が大きいような気がします

丸「マカオなんかは、国の歳出額をカジノ等税収が上回り、教育や医療が無料、全国民に厳禁まで支給されたと聞いています」

T氏「カジノが解禁すると、間違いなくギャンブル依存症の人間が増えて、ギャンブルでの負債で自殺者が出るでしょう。そのうえ、カジノ周辺の治安が悪くなるので、犯罪が増加するでしょう。どうしてもIRをやりたいと考えている政府は、シンガポールやマカオ、韓国の犯罪件数データを出して、“IRは安全”と言ってはいますが、今の日本ほどの治安は守れませんね

犯罪組織が手ぐすねを引いて待っている

丸「それは、なぜなんですか?」

T氏「ズバリ、暴力団や半グレ、ギャング、マフィアなどの犯罪組織が関与することです。名前は伏せますが、すでに動き出している組織もありますし、IRで彼らの資金源が潤うという流れができあがっています。アメリカ ラスベガスのように、参入は上場企業のみで、税務調査内容や有価証券報告書、取引先の一覧などを当局に提出するなど厳しい参入規制を敷いても、犯罪組織は入ってきます。上場企業の重役などに、マフィアが名を連ねていたりするからです。それに……

丸「それに……なんですか?

T氏「中国で、偽造品のカジノ(ゲーミング)チップは作られていて、IRで日本にばら撒かれる恐れがあるんです

丸「ええっ! 本当ですか!

カジノ管理委員会は、この事実を知っているのか?

T氏「私が偽造の身分証明書を卸している某チャイニーズマフィアからの情報では、湖南省と河北省あたりの貧民層が、現地のマフィアに駆り出され、偽造カジノチップの製造を手伝っていたそうです。しかも、それが昨年末にバレて、偽造カジノチップの中国人ブローカー2人とマカオ人男女2人の計4人がマカオ当局に逮捕されました

丸「それは、極めて精巧な偽造カジノチップだったんですか?」

T氏「偽造紙幣を作るにはかなりの技術と原料が必要です。マニラ麻(アバカ)や三椏(みつまた)などの手に入れにくい紙の原材料もいりますし、今では贋札の技術者は高齢で後継者がいません。それに対して、偽造カジノチップは真似るのも製造するのもまだ比較的楽なんです。件の事件では6,500万円の被害が出ました」

丸「こんなこと言ってはいけませんが、6,500万で済んでよかったですね」

T氏「そうですね」

その手口とは……

丸「どんな風にカジノへ持ち込んだんでしょうか?」

T氏「借金があった被害者男性は、マフィアとつながりのある知人に490万香港ドル(6,531万円)で500万香港ドル(6,665万円)の偽造チップが交換できるという話を持ちかけられたそうです。で、ブローカー3人組と接触。人民元に換金して中国の指定口座に送金。先に一部の額面10万ドル分の偽造カジノチップ20枚を受け取っていたために、友人が返済先になるカジノのVIPルームへ持ち込み、スタッフに偽造品であると見抜かれたようです。その後受け取った残りのチップも偽造であると確認されたようですね

丸「どうやって、カジノのチップをマカオに持ち込んだのでしょうか?」

T氏「中国には、ゲル状の肉襦袢のような腹巻がありまして、密輸業者はマズいものはそこに隠して運びます。一昔前は、関税逃れで金塊などを隠して運んでいました。恐らくは、中国本土からマカオへ戻ったときにイミグレーション施設の中で身柄拘束されたのでしょう」

肉眼ではまったくわからない贋作品

丸「それほど精巧だったのでしょうか?」

T氏「私も中国出張の際に見たことがあるんですが、肉眼と手触りではわからない、かなり精巧な造りでした。たぶん、検査機器を通したときに偽造防止用電子タグが付いていなかったと思われますね

筆者が「では、電子タグは偽造ができないのか?」と問うとT氏は続けました。

T氏「実はもう完成する一歩手前らしいんですよ……

げに恐ろしきカジノ犯罪。しばしば、カジノチップを狙った犯罪も起こっているそうで、マカオのように1枚10万香港ドル以上の高額チップの偽造品がばら撒かれたら……。そう考えただけでもぞっとします。

(C)写真AC
※写真はイメージです

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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