現役ヤクザの隠れたシノギ!「取り込み詐欺」と「せどり(転売)」ビジネスとは?

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

1月13日、警視庁本部は、食品販売会社の社員を装い、海産物や食肉の販売業者から商品を騙し取ったとして、広域指定暴力団組員の2人を含む9人の男を詐欺容疑で逮捕しました。

容疑者たちは、ケイズコーポレーションなる実体がない食品販売会社の社員を名乗り、約300万円分の海産物や肉を詐取虚偽の取引を持ちかけ、相手企業から品物を詐取するという手口は“取り込み詐欺”と呼ばれ、その被害は後を絶ちません。騙し取った商品は「せどり(転売)」し、組織の資金目的で利益を得ようとしたとみられています。

男たちが周到だったのは、事件を起こす前に小規模取引で相手を信用させていた点です。

警視庁は、2017年以降に全国で食品販売、卸会社の約10社の被害を確認しています。商品転売での換金により、被害総額は約6千万円にものぼるとのことです。

今回は暴力団員が隠れて行う「取り込み詐欺」と「せどり(転売)」ビジネスについて、元指定暴力団組員のE氏(54歳)に話を聞きました。

頻繁に行われている盗品転売

「食品を転売するということってできるの?」と疑問に思う人も多いとは思いますが、ネットショッピング全盛の時代、基本的に食料品や飲料品など、どのようなものでも転売することは可能です。食品というものは絶対に必要で、常にニーズがある商材。

食品転売の手法さえ分かれば、安定して利益を上げられるわけです。

丸野(以下、丸)「食品転売をしたことがあるとか……」

E氏「あるね。もっとも“せどり(転売)”する商品は、取り込み詐欺で騙し取ったものばかりやけどね

丸「騙し取るというのは?」

E氏「逮捕されてもいいようなヤツをでっちあげて、そいつを代表にした会社の名義で商品を騙し取る方法。これは間違いなく違法。だから、オレたちは株式会社みたいな法人格を潰して、すべての商品を取り込んでいる。これなら詐欺には当たらないから……。個人保証さえしてなければ、役員に借金を支払う義務はないし」

手荒に騙し取ったから罪に問われることになる

丸「今回逮捕された9人なんですが、肉類などを騙し取ったということですが」

E氏「まるで、素人やね。肉類なんていうのは、賞味期限があるのよ。保存に手間がかかる食品の管理は、せどりのデメリット。Amazonなんかの通販サイトで食品販売をするとき、食品というのは全部《要期限管理商品》という扱いになるわけ。せどりの商品は常温保存できるものじゃないとアカンわ。まぁ、Amazonの物流サービス《FBA(商品在庫保管)》を利用するつもりがなくて、知っている飲食店に卸すんならええけどね

丸「どうやって転売する気だったんですかね」

E氏「押し売りやろうね。それか知り合い相手の商売か。まずそれは、長続きしない」

丸「会社を潰すとなると、会社ぐるみの大掛かりな詐欺になりますね」

E氏「日本に機能していない“幽霊会社”といわれるペーパーカンパニーがいくつあるか知ってるか? それを少しの小遣いで買い取ってきて、相手を売掛で商品を売ってもらえるように御大層な事務所を構えて、信用させてから取引する。初めは少額の取引で、それからどんどん高額にしていって、ある日突然ドロンすると。結構手が込んでいるんやで」

食品狙いなら保存食を

丸「詐欺をするのも手間がかかっているんですね

E氏「商品は昔は、ディスカウントスーパーなんかと取引のあるバッタ屋に買い取ってもらってたけど、今では通販サイトで着実にやれる。早く売り切れるし、リピーターを捕まえて利益を伸ばせるし、まとめ買いしてもらえて利益が大きくなるしね。安定するわね」

丸「でも、そんなに大量に取引するのって、相手も疑い深くなってるんじゃないですか?」

E氏「食品というのは、一品一品の単価が安いから意外に騙し取りやすい。パソコンやテレビなんかの家電品は、取り込み詐欺に遭わないかと相手の会社も過敏やからね。それにアシもつきやすい。食品だとアシがつかないからね」

丸「Eさんなら、どんな商材を選びますか?」

E氏「狙い目の食品はボトル缶のブラックコーヒー。オススメは、アサヒの『ワンダ極ブラックボトル缶400ml 24缶セット』。保存の利くドリンクは売れる、定番やね」

丸「長期保存が利くものですね」

人気商品を短期間で売り切り

E氏「倉庫を借りて、ロジスティックスしてしまうわけ」
※ロジスティクス:顧客に対して最適化した、仕入れから出荷までの業務全体。物流の管理・実行

丸「誰が伝票を貼ったりする配送作業なんかをするんですか?」

E氏「バイト。求人情報サイトなんかで集めてる。商品としてはあと、『はくばくもち麦ごはん50g(12袋)』なんかのもち麦。健康系の商品は押さえておいた方がええね。それから人気の激辛商品。軽くて扱いやすいから『蒙古タンメン中本』と『ペヤング激辛焼きそば』なんていう定番商品は売れる。利益率もいいね」

丸「商品単価が低いから、薄利多売になりそうですね」

E氏「仕方がないよ、こんな時代やから、ヤクザもコツコツやらないと。それに通販やとヤクザの締めつけをかいくぐれるからね」

企業倒産で取り込んだ品物を、転売でさばく手口。便利になった通販サイトが悪用されているという事実がこの取材でも明らかになりました。そのような商品を知らずに買ってしまうなんて、想像しただけでも寒気がします。

できればしっかりとした流通経路からの商品を購入したいものですね。

(C)写真AC
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丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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