「半グレ詐欺集団」に話を聞いた! 高齢者が注意すべき「すり替え詐欺」や「カード切れ込み」の手口

どうも、特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

昨年、警官を装って「カードにハサミを入れる」詐欺が増加したのを、あなたはご存知でしょうか?

その被害はなんと、都内だけでも185件(約4億円)! 1件当たり200万円以上の金額を騙し盗られたというのです。

しかも、その被害者の多くが高齢者。日本には消費には回らない“タンス貯金”というものがあるので、それらを騙し取って逮捕された若者の多くは「日本の消費に貢献している」などと供述するらしいのですが、それとこれとは違います

今回はヤクザ組織の傘下で裏稼業を生業にしている某県の半グレ集団に所属するF氏(30歳)に、最新カード詐欺の話を聞いてみました。

いろいろと手口を変えないとアシがつく

丸野(以下、丸)「よくいろいろと手口を考えられますね」

F氏「いやぁ、いろんな手口を考えないとすぐに警察に啓蒙活動されたり、アンタみたいなライターに記事にされちゃうから。それに同じ手口を使っていると、アシがついちゃってね。余罪まで調べられちゃうから」

丸「主なターゲットになるのは、高齢者なんですよね」

F氏「そうねぇ。例えば、“おたくのキャッシュカード(クレジットカード)が偽造されてる”とか“法律の改変でカードの更新が必要”とか“銀行口座が悪用されてます”とか、キャッシュカード(クレジットカード)詐欺盗で一番よく使われている詐取文句だね。高齢者は法律が変わったとか、マイナンバーでクレジット会社や金融機関の仕組みが変わったとか訳わかってないから……」

決済ツールの不正利用の事件が起こるとうれしい

F氏「dカードやらペイペイで不正利用されたとかのニュースが入ると、みんな俄然張り切りだすよ」

丸「それは被害者にむけて、そんな事件のことを引き合いに出すということですか?」

F氏「新聞記事をファイリングして見せれば、話早いからね。高齢者の不安を煽れるわけ」

封筒すり替え型、カード手交型など手口はいろいろ

丸「2019年後半から2020年初頭の頃はどんな詐欺をやっていましたか?」

F氏「コロナがくる前は、主に《封筒のすり替え詐欺》だよね。まずは、警察や家電量販店、大手の百貨店、ネットショッピングからの電話を入れさせる。“口座の悪用があった”や“カードを新しく替える必要がある”という電話をかけて、不安を煽るわけ。で、警官に扮した仲間が、自宅に用意をさせたカード(キャッシュカード、クレジットカード)を一瞬ですり替えてしまうと……。これには、《カード手交型》というのもあってね、それは少し手間取るから、ウチの組織は《封筒のすり替え詐欺》にしてる。できるだけ“おかしいな?”と思わせる時間を短くして、パニック状態にしたいから」

※その手口の違い

《封筒のすり替え詐欺》……警察や店舗から電話がかかってくる
→「暗証番号は聞くことができないのでメモに暗証番号を書いて入れてください」
→「近くに警察官がいるのですぐに向かいます」
→「封印代わりに封筒の裏に印鑑を押してください」
→「印鑑を取りに行った隙にニセの封筒とすり替える」
→「封印後は封筒を大切に保管してください」

《カード手交型》……警察や店舗から電話がかかってくる
→「詐欺の犯人を捕まえています」
→「個人情報が洩れている可能性がある」
→「カード停止の手続きに入る」
→「暗証番号を教えてほしい」
→「近くに警察官がいるからカードを渡すように」

被害者の目の前でカードに切れ込みを入れて持ち去る

F氏「それが世間に浸透しはじめたから、春前に考えたのは《カード切れ込み詐欺》っていうやつね。秋ぐらいまで通用したね。ウチらの上が情報交換していて、やっぱり手口がメジャーになると逮捕者が出ちゃうわけよ。だから、常に新しいことを考えてる。この手口は単純明快でニセ警官が“口座から65万円が引き出されていますよ。裁判所に持っていくので警察の職員が証拠になるキャッシュカードを取りに行きますので……”という電話を一本

丸「そこからどうするんですか?」

F氏「で、1時間も経たないうちに警官がやってきて、不正利用されたカードとして証拠を確保。本人の目の前でハサミで切れ込みを入れ、“これで利用は不可になりました”と本人の確認を取って、キャッシュカードの暗証番号を封筒に入れてもらって、持ち帰ると。ハサミで切れ込みを入れるのは、数センチ。どこを切られれば使えなくなるのか、わかってないから。別の人間に手渡して、すぐに引き出し。最高額で、2千万くらいになったこともあったよ

丸「虎の子のお金かも知れないのに、正直ひどいと思いますよ、高齢者からそれを奪ってしまうのは……

警察官や金融庁職員、金融機関が大切なカードを回収することは絶対にない

カードが利用不可、という卑劣な安心感を植えつけて、年金生活のために蓄えていた貯金をすべて引き出してしまう。こんなことがあっていいのでしょうか?

高齢者のみなさんは絶対に知っておいてください。《警官がカード回収すること》など絶対にありません! さらに《暗証番号を聞き出すこと》も絶対にありません!

今まではATMや送金などの振り込み詐欺が増えていましたが、今の詐欺犯罪は“劇場型(ひと芝居打って相手を信じさせる方法)”です!

コロナ禍の混乱期にまぎれて急増している、こういった特殊犯罪は本当に巧妙です!
絶対にひとりで判断せずに、親類や最寄りの警察署に相談するようにしましょう!

(C)写真AC
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丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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