コロナ禍で手垢にまみれた手口が横行!「就職詐欺師」復活の兆し

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

今回の特殊詐欺は、コロナウイルス感染で職を失った30代~40代の会社員をターゲットにした、出資額に応じて役職(ポスト)が決まるという就職詐欺です。

新型コロナウイルス感染症の日本経済の影響で、今まで人不足だった売り手市場から買い手市場になってしまう恐れが出てきました。簡単にいえば、体力のある企業が求職する側を選ぶということです。

《就職氷河期再び》といった様相を呈していますが、この“就職詐欺”には、大きく分けると3つの手口があります。

代表的な就職詐欺

1.資格取得詐欺

「資格取得を必ず叶えます」「資格に準ずる仕事に必ず受かります」などという謳い文句で、高額の情報商材などを購入させる手口になります。

商材は高額なのにもかかわらず、内容は非常に薄っぺらいもの。「いつでも電話サポート!」「資格取得のご相談にも乗ります」などとフォローアップを入れながら、実際は何もしてくれません

2.大手人脈紹介詐欺

こちらは「大手企業の人脈を高額の料金で紹介する」とWebや求人広告などで声をかけ、100万円単位の金額を請求するもの。

「大手の会社に勤めている」という企業人には詐欺師によるフェイクも多く、名刺などでそれを装う架空の人物が多いのです。

3.就職あっせん詐欺

「あなたに見合ったポストをご用意!」「大企業のポストを最短1日で内定」
などと吹聴して、数百万単位の金額を請求してきます。

当たり前のことですが、数日以内に内定などがとれるわけはなく、話をうまくごまかしてドロンします。

今回は、高額で役職を買い取るという詐欺システムの被害に遭った男性Aさん(43歳)に話を聞くことができました。

広告にも紛れている詐欺求人

Aさんの話への誘い文句はこうでした。

「これからの時代を牽引する有能創業出資者募集! 役職ポストは、出資額に応じて決定いたします!」

失業したばかりのAさんは《部長職》という言葉に飛びつき、就職してしまったようです。

丸野(以下、丸)「大変な目に遭われましたね。実際に担当者に会いに行かれたわけですか?」

Aさん「そうですね、会いに行ってしまいました。名前は伏せますが、そこそこ名の通った求人広告だったので……。コロナ禍で会社が人員整理をはじめて、家にも居場所がないし、リモートワークの妻は気が立っているし……。実際に仕事をしていた小売業の会社では長年課長職だったので、《部長職》という言葉にやられました

丸「金額は?」

取締役は○○万円でなれる

Aさん「取締役になると200万円、部長職は90万円、課長で50万円と提示されました。まだ蓄えもあったので、妻に相談せずに入社。就職は叶ったのですが、自分と同じように役職を買った取締役と課長、資格取得詐欺に引っかかってしまった平社員と雑居ビルのオフィスで顔合わせをして、いざ仕事をしようと思うと、段ボールに入った高額の健康食品などが置かれていて、自分たちの仕事がありません

丸「その健康食品を売ってこいということなんですか?」

Aさん「わからないですが、元々から仕事などなかったわけです。そんな商材が売れるわけもないし、それが売れれば、リストラはされません。で、どうしたものかと……。結局、会社を設立した経験のある取締役のBさんが“出資を募ろう”と言い出して……。自分たちと同じような人々に出資を募ることになったんですよね

ミイラ取りがミイラに……

Aさん「そこで、求人広告で募った応募者に、“取締役が250万円、部長職が100万円、課長職が60万円です”と糊口をしのいでいたわけです。私はそれをするのがイヤだったので、報酬もなにも受け取っていませんが……

Aさんは、ここで騙されたことに気がつきました。詐欺師の被害者だったのに、いつの間にやら加害者側に回ってしまっていたわけですから……。

丸「それからは?」

Aさん「元来役職者というのは、業績に貢献してはじめて出世できるわけです。藁にもすがる思いでしたが、当時はそんなことにも気がつけませんでした」

この被害者が加害者となる“悪循環”は、Aさんの会社で短期間にも連鎖したようですが、ついに終焉を迎えます。

「あるとき、こんな(役職を買い取った)会社からは足を洗おう、と提案が出ました。みんな嫌気がさしていたのか、当たり前に同意しました。元々、みんな悪い人間ではなかったわけですから……。ただ、そのオチに関してもまぁ詐欺師が絵を描いていたものだと思いますけど……」

コロナ禍に気をつけたい就職詐欺

今、AさんはUber Eatsで働いているそうです。

この一連のエピソード、決して褒められたものではありませんが「騙されても性根が腐っていない人はやはりいるのだ」というのが、話を聞いていての唯一の救いでした。

さて、新たな緊急事態宣言が出た2021年ですが、全国的に― いや世界的に今後経済不況というものがやってくると思ってはいても、なかなか手を講じることなどできません。

そこで注意したいのは、このようなコロナ禍に関する詐欺手口にもアンテナを張り、敏感になっておくことだろうと思います。

何度逮捕されても懲りない詐欺師は世間の動きを読み取り、巧妙な手口で一般市民を狙ってきます。苦しい時期だからこそ、手に手を取ってこれらの詐欺を防ぎましょう。ぜひお気をつけを!

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『丸野裕行の裏ネタJournal』や『初めての不動産投資マガジン』『神戸製薬株式会社present's NEOYAG』などのポータルサイト編集長、文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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