満を持して登場!マルチプラットフォームでOSや台数を問わずスマホのバックアップが取れる『PhotoCube 2』がまもなく上陸!

  by 古川 智規  Tags :  

数年前に台湾・PhotoFast社のスマホからバックアップやファイル共有が簡単にできる製品をレビューした記事を書いたことがあるが、当時はiOS専用のもので、Android用のものはなかった。Android端末は外部ストレージを追加できる機種が多く、マイクロSDカードを挿入すれば簡単に記憶容量を増やせるのでそこまで需要がなかったのも一因かもしれない。
しかし昨今のスマホはカメラ性能が著しく高性能になり、Android端末といえども動画を収録すれば4Kですぐにギガバイト級のファイルができてしまう。その都度自宅のハードディスクやNASに送ればいいのだが、そこまでする人は多くはないだろう。そしていざ必要となったときには、すでに容量オーバーを解消するために端末からは消去済みで頭を抱えるという経験をした方も多いはず。
同社から「PhotoCube 2」というiOSはもちろん、Androidにも対応したマルチプラットフォームの簡単バックアップツールが登場したので今回はそれを取り上げてレビューする。
当然、端末側には公式のアプリを必要とするがそれについて書き込まれたレビューの不満点にも触れながら使いこなし方についても考えてみたので参考にしていただきたい。

旧製品は日本に総代理店が存在して一般的に市販されていたが現在は終売してしまい、本品は日本では未発売のために鑫三海(しんさんかい)株式会社がクラウドファンディングとして応援購入を1月まで募っている。開始2時間で目標額を上回っているので、同社が代理店として正規輸入し3月には購入者に届けられることが確定している。当該クラウドファンディングページは末尾に記載するので参考にしていただきたい。

さて、本品に含まれるのは基本的にこれだけである。使用するのに必要なものはスマホを充電するUSB-A搭載の充電器、使用端末に合わせた充電・通信用のUSBケーブル、必要な容量を備えたマイクロSDカード。以上である。
使用イメージは本品にマイクロSDカードを挿入し、ACコンセントに手持ちの充電器を挿して、本品のUSB-Aオスを充電器のUSBメスに挿す。本品のUSB-Aメス側に通信ケーブルを差し込んで反対側を端末に挿す。これだけである。
要するに通常充電する充電器とケーブルの間に本品を割り込ませる親亀子亀の要領である。

記者はAndroid端末しか持ち合わせていないので、手持ちの2台を使用して試してみた。OSのバージョンはAndoid9.0と10.0である。
GooglePlayから「Photo Fast ONE」という公式アプリをインストールしておく。ちなみに容量は挿入したマイクロSDカードに依存するが、容量の許す限り端末台数には制限がないので手持ちのスマホであればiOS、Androidを問わず何台でも接続して構わない。
OSのバージョンにもよるが、USBケーブルを挿すと充電のみか転送モードを問われるのでここで選択する。GooglePlayのレビューで多かった不満が充電だけをしたいのにいちいちバックアップされてしまうのが煩わしいというものがあったのだが、この画面でデフォルトをチェックせずに充電を選択すればデータ転送は端末側で許可されず、その場合は充電のみが行われる。バックアップをしたいときには「データ転送」を許可する。

またUSBが挿入されたときに常時このアプリを自動起動するかどうかも問われるので、キャンセルすれば起動せずに充電のみが行われる。この画面が出ないOSバージョンの場合は、画面を上から下にスワイプして出てくる通知ドロワーにUSBの挙動を示す通知があるはずなので、それをタップして設定することができる。毎回バックアップしてもいいのであれば、これらをデフォルト設定しておくと次回からは自動起動して勝手に充電しながらバックアップが行われる。

設定を済ませておけば、アプリが起動して後は設定に従って自動的にバックアップを取ってくれる。バックアップをするファイルの種類はある程度は設定することができる。
記者が試用したアプリバージョンでは、カレンダー・連絡先・写真(動画を含む)・ミュージック・ドキュメント・メモリーカード一括という選択ができるようになっている。

また、複数の端末をバックアップした際には端末ごとにフォルダが作られ、その配下にバックアップされる。
本アプリがマイクロSDカードのファイラーの役目を持っているために、別の端末で取られたバックアップファイルを別の端末にダウンロードすることも可能である。
Android端末を利用している方は、連絡先やカレンダーはGoogleのクラウドで自動同期している方がほとんどで本来的にはバックアップの必要はないだろう。ただし来年の6月あたりからGoogleのクラウドが無料で使えるバックアップ容量が総量で制限されるので、特に写真や動画をGooglePhotoで無制限バックアップしている方には頭の痛い問題だ。もはや無料で制限なく使用できるクラウドは無いに等しいので、ますます自分でファイルを保存しておく必要があるのだろう。無論、NASを使えばオンラインでバックアップ可能だが自前でNASを設置して設定をするほどのリテラシーがあればすでに利用しているはずだし、本品は不要といえるだろう。そうでない一般の方がさほどの投資を必要とせず、簡単にバックアップを取ることができるのが本品の最大の特徴ともいえる。

件の写真のバックアップは、端末の中から該当する静止画または動画のファイルを選び出して、EXIFファイルかファイルのタイムスタンプで作成年月を判断したうえで、「\root\端末名\Photo\作成年\月\」という階層で保存されているので、後で写真を探し出しやすいようになっている。端末の「DCIM」フォルダの構造がそのままバックアップされているわけではないので注意が必要だ。

検証したところ、一度バックアップされた写真フォルダのファイルは端末から消去しても本機のマイクロSDカードには残るのでクラウドにある「同期」モードではない。この点は使用する方のスタイルによるが、誤ってバックアップまで消去しないという点では便利であり、余計なファイルまで残ってしまい手動で消去しなければならにという点では不便であるという、いわばトレードオフである。今後期待したい点を挙げるとすれば、写真と動画は別にしてほしいというところだろうか。動画は特にファイルサイズが大きくマイクロSDカードの容量を圧迫する最大の要因なので、あとでPC接続のハードディスク等にバックアップ済みの不要ファイルを消去しやすくするためにもフォルダ分けは必要かと思われる。ノートPCであればマイクロSDカードをそのまま挿せるリーダライタがあるし、デスクトップ型でもUSB接続のリーダライタを介し、本機からマイクロSDカードを外してPC接続すればHDDに転送することもPCで閲覧することも簡単だ。
また、連絡先はバックアップした日時で上書きされるのではなく、新しいファイルが作成されるので頃合いを見て復元する必要のない古いファイルは手動で消去すれば容量の節約にもなる。
複数の端末を所有していていずれも同じ連絡先、カレンダーなのであればメイン機だけをバックアップし、他の端末はその項目をバックアップ対象から外してしまえば最初からファイルは作成されない。逆に仕事用とプライベート用で分けて所持している場合はどちらもバックアップをすればよいだろう。
個人で使用する際は本機とつなげた充電器は常に家に置いておき、夜帰って寝る前に充電器をつなげて寝ている間に充電しながらバックアップを取るというのが最もスマートかつ便利な方法だろう。旅行や出張の際は両方とも持参して外出先で同様に寝ている間に使用するのがいいだろうし、煩わしければ持っていかずに帰宅した時にまとめてバックアップを取れば良い。
充電器と通信ケーブルはすでにお持ちだろうから本機とマイクロSDカードだけで、毎日行う充電操作で意識せずにバックアップが取れているという便利さと必要性を実感していただきたい。

※参考
PhotoCube 2(クラウドファンディングページ)
https://www.makuake.com/project/photocube2/ [リンク]

※写真はすべて記者撮影

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