ROLAND・GACKTの“模倣騒動”で思い出される泥沼パクリ騒動……最高裁まで争い続けた2人とは?

  by 田中周作  Tags :  

GACKT、ROLANDが中心となって立ち上げたブランド「G&R」のデザインが海外商品と酷似していることが話題となっている。2人はそれぞれSNSで謝罪し、販売中止と回収を発表。そもそもの発端は、担当デザイナーの1人が既存商品とほぼ同一と思われるデザインを提案していたことにあるようだ。

だがこの世には、パクリではないかという疑惑がもたれて大騒動になった事件が過去にもたくさんある。

松本零士VS槇原敬之

槇原敬之が楽曲提供したCHEMISTRYの曲『約束の場所』。この中にある歌詞に異を唱えたのが、漫画家・松本零士。彼は自身の漫画『銀河鉄道999』に出てくる「時間は夢を裏切らない、夢も時間を裏切ってはならない」というセリフに似ていると主張。

これに対し槇原は「銀河鉄道999を一度も読んだことがない」「松本氏の一連の態度は大変不快」と反論し、決着は法廷の場へと持ち込まれる。そして2008年、東京地裁は「2人の表現が酷似しているとは言えない」と著作権侵害を認めない判決を出し、和解が成立した。ただ松本は、槇原の名誉を傷つけたとして、220万円を支払っている。

『カメラを止めるな!』盗作騒動

大ヒット映画『カメラを止めるな!』。だがこの公開後、演出家の和田亮一氏が、自身が手掛けた舞台『GHOST IN THE BOX!』の劇中シーンと構成などが似ていると主張。だが製作サイドはアイデアとして参考にしたことは認めつつ、ストーリーは全く別物と反論。にわかに盗作騒動が持ち上がった。だが最終的には、上田氏と和田氏の共同原作とクレジットされて円満解決。

最高裁まで争われた盗作騒動

人気番組『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)のエンディングテーマ曲として服部克久が作曲した『記念樹』という合唱曲。これに対し作曲家・小林亜星は、自身が手掛けた『どこまでも行こう』の盗作だと主張し、1998年、損害賠償を請求する訴訟を提起。

一審判決では小林側の請求は棄却されたが、控訴審判決では一転して、服部に約940万円の損害賠償を命じた。このあと服部は上告し、最高裁判所へ。だがここでも最終的に『記念樹』の作曲が著作権侵害にあたるものであるとされた。

控訴審判決のあと、番組は『記念樹』の使用を中止。さらに最高裁のあとでJASRACも利用許諾を中止し、この曲はほぼ封印された形となっている。ファッション、映画、歌……完全オリジナルは実はこの世にはないのかもしれないが、法廷で争うことは避けたいものである。

ライター。