師走ヤクザのシノギは“人身あっせん”!コロナで加速化する女性人材争奪戦!

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

今や、新型コロナウイルス感染症の影響で職を失う人間が増えていることは周知の事実だと思います。

失業率が1ポイント上がるごとに、自殺者というのは2,000人増えるそうで、このまま自粛ムードで財布のひもがきつく結ばれたままであれば、コロナの影響による自殺者は、2003年の景気底離れ・バブル後最安値株価時の3万4,500人を大きく超え、5万人の大台に乗るともいわれています。

コロナ禍で繁華街から客足が遠のいた今、路頭に迷っているのが、営業自粛に追い込まれたキャバクラや高級クラブなどに勤めるキャバ嬢やホステスたち。

明日の生活費もままならない彼女たちに手を差し伸べようとしているのが、なにを隠そうヤクザたちなのです。

前回、ヤクザとスカウトマンの暴力事件、その確執について綴りましたが、実はヤクザと手を組み、蜜月の関係をはぐくむスカウトグループもあるというのです。

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『スカウトマンVSヤクザの果てなき闘い!全国の繁華街“スカウト狩り”の真相とは?!』[リンク]

この第3派が襲来したコロナ禍の年末、今回はヤクザのシノギの主流になりつつある“女性人材確保”について解説していきたいと思います。

人材あっせん業を「口入れ」と呼ぶ

今年7月、福岡県警は路上で女性に声かけをするスカウト行為を一斉摘発しました。路上でつきまとい、しつこく懇々と言葉巧みにキャバクラや風俗店勤務、AV出演に誘い込む手口に「待った!」をかけたわけです。
もちろんこれは、望んでいない勤務契約や出演契約を強制される場合もあり、県警が乗り出したわけですが、地方都市では首都圏と違い、黒幕に暴力団の存在があると考えてのことでした。

一斉検挙では3グループが摘発され、男7人が逮捕される結果に……。こういった事例は、北は北海道、南は沖縄・石垣にまで広がっているとのことです。

このようにスカウトが声をかけた女性が話に乗ってくれば、ヤクザの伝統的なシノギである「口入れ」という人材あっせんで、キャバクラ店や風俗店、AV制作会社などに紹介し、紹介料を稼ぐわけです。

閑古鳥が鳴く店よりも先に安定した稼ぎをあてがう

某地方都市で一家を構える某組織のA氏に、どのように「口入れ」を行うのかの話を聞きました。

A氏「実は、キャバクラ嬢や風俗嬢というのは、いわゆる3K(キツい、汚い、危険)、給料の安い職場からの転職組が多い。今ひっ迫している医療現場や、ウイルス感染にナーバスになっている介護現場に嫌気がさしている女の子はすごく多い。早く辞めて楽な仕事に……と考えている子も多いけど、今キャバクラや風俗店も厳しい」

丸野(以下、丸)「なるほど」

A氏「そこで、コロナ禍での仕事を見つけてあてがってやるのが俺たちの仕事だね。学校が休校になったり、親がテレワークで子育てができないときには、彼女たちをベビーシッター代わりに送り込んでやる。子ども相手だから安全だし、そこそこ稼げるから喜んでもらってるよ」

丸「他にはどのような口入れを行うのですか?

A氏「人が足りていないからね。知り合いの会社の電話オペレーターやこの歳末なら掃除の代行サービスは活況。小さな会社でも『くらしのマーケット』なんかに登録できるし、《10代後半から20代の女性スタッフのみを派遣》なんて謳えば、若い女が家に来てくれるだけでリピーターになってくれる客もいる。それもメンドくさいっていうのなら、もう知ってるラブチャットの会社に登録させて、ちょっと脱がせて稼がせるだけだね」

「ナンパ」だといえば摘発を免れる

A氏「こんな時代だからだけど、この人不足の時代にちょっとペテンを利かせるだけで活路が見いだせる。それに人助けにもなっていると思うよ。そのためには、上玉の女を確保するには金とヒマを惜しまない。スカウトマンたちと手を結ぶのだって、首都圏にいるヤクザやスカウトマンたちと違って、協力関係で稼ぐという賢明な判断だから。都会と違って、まだウチの組の威光にあやかりたいという連中もいるしね。夏前の5月終わりあたりから結構強引なスカウトをやってもらってるんだよ、どうせ秋冬になれば第3波がくるだろうと、こっちは踏んでいて……

春~夏にかけて、全国各地でスカウトマンたちはスマホで仲間と連絡を取りながら、夕方主要駅周辺に姿を現し、「キャバクラ店からモデル事務所、AV事務所まで扱っているから、働かない?」と強引に声をかけまくっていたそうです。この中で、前述の福岡駅周辺をうろついていたスカウトマンは、私服姿の博多署配属の女性警官に声をかけてしまい、現行犯逮捕されたとのこと。

A氏「ウチの組がある最寄りの主要駅でも、知り合いのスカウトがうろついているけど、声をかけられた女たちからの被害申告があったとしても、“ナンパでした”といえば、逮捕は難しい

丸「そんなに被害届が受理されないような容疑なんですか?」

A氏「無罪放免、所詮“声をかけただけ……”だからね

ヤクザと手を組んだスカウトマンは、モデル事務所のマネージャーなどをかたり「新型コロナウイルスの影響で職に困っている女性のお話を聞いているんです」と声をかけ、容姿をほめ、有頂天になったあとに高収入をちらつかせる。さらに女性の個人情報を聞き出して、断ることができないような状態に追い込むそうです。そして、女性の意に沿うことのない契約を迫る。

最近では、求人サイトやSNSでの勧誘も多く、コロナ禍で不要不急の外出を控えるといっても、人通りが増えてしまう師走。絶対にヤクザと手を組むスカウトの甘い声には応じないよう注意してほしいと思います。

(C)写真AC
※写真はイメージです

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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