『巨星落つ』と言う言葉がある。偉大な人物が亡くなることだ。人物ではないレストランが廃業するニュースをテレビで見て、この言葉が浮かんだ。それ程までにレストラン業界では巨星であった 21クラブ だ。来年の3月9日をもっての廃業だ。140名の従業員たちはこの日をもって仕事とレストランに永遠の別れを告げる。
21クラブは日本語のウィキペディアでも掲載されている。
21クラブ(21 Club)は、禁酒法時代のもぐり酒場としてオープンしたレストラン。ニューヨーク市マンハッタン区西52丁目21番地に位置している。
多くの有名人が集い、フランクリン・ルーズベルト大統領以降のアメリカの大統領は、ジョージ・W・ブッシュ大統領を除いて全員クラブ21で食事をした経験がある とウィキペディアには書かれている。アメリカ大統領も立派な肩書だが、フランク・シナトラ、マリリン・モンロー、アリストテレス・オナシス、エリザベス・テーラー、サミー・デイビス・ジュニア等など、歌手、女優、実業家とその世界で超一流の人たちが愛した。
廃業に追いやられたのは、Covid-19 新型コロナウイルス感染症の影響である。
ニューヨークは先週末から店内での飲食が再度不可になった。一般的なレストランなら、屋外にテーブルを持ち出すことも可能だが、超高級レストランでは、屋外での飲食は無理だし21クラブの立地条件は、ミッドタウンの中心部で歩道にテーブルを持ち出せる場所もないし屋外で食べるレストランとは全く趣向が違う。
超高級レストランは、客足が途絶えたらもう命とりだ。しかも、その閉店期間が延びたり、再開されて喜んだのもつかの間、また閉店に追いやられると、全く先は読めない。
21クラブのような歴史ある高級レストランはマンハッタンにいくつかあり、しかし、廃業に追いやられた店舗も当然あった。それは時代の流れであったり、時代に淘汰され客足が遠のいた結果だった。
しかし、21クラブは別格で店舗も5番街の52丁目の中心部も中心部で、レストラン業界では王様であったはずだ。
Covid-19 新型コロナウイルス感染症の脅威である。レストラン業界は一変するのではないだろうか。レストラン業界の王様がコケることへの恐怖である。
↑写真は2年前の21クラブ、クリスマスシーズンである。最高級レストランらしく飾り付けも老舗の威厳がある。伝統の飾り付けのようで毎年同じようなものだった。
休業でなく来年3月9日に廃業する。レストランでありながら『巨星落つ』と表現したくなる気持ちをご理解いただきたい。
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