ライフスタイルや働き方など、変化が多い昨今ですが、エコに配慮した段ボールでできた棺(*1)や、花で飾った”映える”祭壇(*2)、スマホで香典が送れるサービス(*3)、空中に故人が浮かぶ遺影(*4)が登場するなど、葬儀業界も色々な変化を見せていることをご存じでしょうか。
「お葬式」自体にも驚くような変化があり、オペラ歌手の方がお葬式に故人のために歌う葬儀が行われたそうです。
この葬儀は、「お坊さんのいないお葬式」の「想送式」というサービスを利用して行われたとのこと。
お葬式なのにお坊さんを呼ばない?しかもオペラ歌手が歌う??これはどういうことなのでしょうか。
■令和最新のお葬式「お葬式でオペラ歌手が歌う」!?
NINE&PARTNERS株式会社が運営する、「お坊さんのいないお葬式」では、「想送式」というサービスが提供されています。その、「想送式」とサービスを利用して、実際に行われたのが、「オペラ歌手の方がお葬式で故人のために歌う」という一風変わったものでした。お葬式の直前には、式場内で皆さんがお食事をとられ、和やかにお過ごし頂きました。そして「想送式」が開会。故人の半生を描 いたメモリアルムービーの上映後、メモリアルイベントとして故人が生前親交のあったオペラ歌手の方に3曲歌っていただき、伴奏は故人のお孫さんが演奏。その後は家族全員で「千の風になって」を合唱され、他にはない故人や遺族の思いを実現された温かいお葬式となりました。
※出展 NINE&PARTNERS株式会社
オペラとお葬式、一見すると全く繋がらないように見えますが、内容を読みその様子を想像すると、とても温かなお葬式の情景が浮かびました。
「想送式」は、ご遺族や参列者の方が故人との最後の時間を大切に過ごし、悔いなくおくり出すお手伝いを、と考えられた「新たな葬儀のカタチ」とのこと。
従来の読経などの宗教儀式は含まれておらず、故人の写真を使用した動画を上映したり、手紙を読み上げるなど、こだわりを詰め込んだ自由な葬儀を行うことができます。
長い間あまり変化することがなかったお葬式の形式ですが、なぜこのような新しい形のお葬式が求められるようになったのか、NINE&PARTNERS株式会社が行った調査結果も見てみましょう。
■なぜここまで自由なお葬式が可能になったのか①「お葬式の形式の変化」
いままでのお葬式といえば親族、友人、会社の関係者、近所の方など幅広く呼ぶ一般葬が主流でした。しかし、私たちの生活様式に伴う価値観の変化によって、徐々にこのような自由なお葬式が可能となったのです。 現在から5年ほど前、平成の終わり頃から家族葬の人気が急増。家族葬という言葉自体は10年ほど前からあ りましたが、人気が急増したのはここ近年です。平成の終わりの時期に急増した理由はしばらく続いた不安 定な経済環境だと思われますが、家族葬が増加した一番の原因は「少子超高齢化社会」であると考えられて います。今後は単身高齢者の急増や少子化の加速で、更なる家族葬の増加が予想されます。また最近では従 来の価値観ではあり得なかった一日葬や直葬も増加しており、現在は一般的に受け入れられつつあります。
※家族葬:家族や親しいご友人を中心とした少人数でのお葬式
※一日葬:通夜を行わず、火葬の日に葬儀・告別式のみを行う一日のみのお葬式
※直葬:病院や施設などのご逝去先から火葬を行う火葬場へ搬送し、通夜や葬儀告別式等の儀式を行わず火葬のみを行うお葬式■なぜここまで自由なお葬式が可能になったのか②「宗教観の変化」
宗教にとらわれなくてもいいという意識が生まれたのも自由なお葬式が可能になった一因です。 かつてお葬式をする際には、代々お世話になっているお寺にお願いする家庭が多かったため、お寺側も檀家 を持ち続けることが可能でした。しかし現在は結婚をして実家から離れた土地に移り住む方も多く、誰かが 亡くなった時に初めてお寺との接点を持つ家庭も少なくありません。昔は「先祖代々このお寺にお世話に なっているから。」という意識があり、檀家を辞めるという考えもありませんでしたが、現在ではお寺との 接点が減ってしまったため、以前のような意識がなくなってしまい「宗教にとらわれなくてもいい」という 価値観が生まれたと考えられます。また、弊社で行った「お葬式に関する調査」の結果では30代~70代の 47.4%の方が自分自身のお葬式は無宗教式、お別れ会形式での実施を望んでいると回答し、特定の宗教を信 仰している方もほとんどいない事から、形式や宗教にとらわれない葬儀の需要が高まっていることも現れていました。
また、同調査の「Q.ご自身の葬儀ではどのようなことをしてもらいたいですか」という設問では「従来通り の葬式でよい(宗教問わず)」と答えた方が23.6%に対し、「宗教観にとらわれず自由な形式で行ってもら いたい」と回答した方が17.0%「みんなで笑って送り出してほしい」と答えた方は16.7%「悲しみにあふれ た式より、皆が思い出として残せる葬式がいい」と答えた方が13.1%と、多くの方が従来にはない価値観を お持ちであることもわかりました。
※出展 NINE&PARTNERS株式会社
お葬式といえば、時代が変わっても古い形式のまま行われているイメージがありました。
死を扱うということもありタブーなことも多そうで、よく分からないまま葬儀屋さんにお願いして、画一的に行うもの、という印象もありました。
しかし、調査結果を見ても、形式や宗教にとらわれない従来とは違う葬儀を望む方が多いということがうかがえますね。このような需要から、お葬式が新しい形へと変化していくのは自然な流れなのかもしれません。
誰にでも訪れる最後だからこそ、故人を温かく送り出したいという気持ちは誰しもあると思いますが、家族間でも、生前にどんなお葬式にしたい?というお話はなかなかしづらいものです。
このように自由な形式のお葬式が増えていけば、「私はこの曲で明るく送りだしてもらいたい」と、好きなアーティストのCDを遺言状と共に残す、なんていうのもありになるかもしれません。
形式にとらわれず故人を偲ぶサービスは、今後も需要が増えていくのではないでしょうか。
*1)株式会社ウィルライフ株式会社「エコフィン〔ノア〕」
https://www.willife.com/ecoffinjp/catalog.html
*2)日比谷花壇「お花あふれるお葬式」
https://www.ohana-afureru.com/
*3)株式会社アスカネット「tsunagoo」
https://www.mds.ne.jp/tsunagoo/
*4)株式会社アスカネット「おうち供養Omokage(おもかげ)」
https://www.asukanet.co.jp/contents/news/2019/20190201.html
*5) NINE&PARTNERS株式会社「お坊さんのいないお葬式」
https://sousou-shiki.jp/
https://youtu.be/bMlXhW3gKGM