望郷の念と言うか日本を思い出すことはしばしばです。そこで心に温かい思い出が宿る場所があります。そこは一度した訪れたことのない岩手県盛岡市。
帰国した際、遠出をしたくなり東北新幹線に乗り盛岡に行って見たくなりました。ユーミンの歌に♪ 緑の街に舞い降りて と言う爽やかな歌があり、『MORIOKAと言うその響きがロシア語みたいだった』と機内放送のことを歌詞に載せている独創的かつメロディーに、旅心を誘われました、夏でした。
東北は真夏でも気温が少し低かったです。空気が澄んで見えましたし、駅前の地味さにグッと心を持っていかれました。とりあえず歩き始めました。生まれて初めて訪れる街、そして歩く舗道。人はまばらで、皆、善人に見えました。
駅を背にどんどん歩幅を進め、少しずつ街に馴染んでいきました。途中で郵便局に立ち寄り、海外用の郵便書簡や切手を買ったり、そこで交わした郵便局員さんとのやり取りで、東北の方言を耳にして感動しました。石川啄木の出身地の盛岡、啄木はこの方言を聞きに上京後、上野駅まで出かけたことを思い起こし、その方言が目の前で繰り広げられているのです。郵便局員さん達が背後で話し合う声は、宝物のように大事なものに感じました。
郵便局を出てあてもなく歩き続けると、そろそろ昼食時です。小さな喫茶店と言うか白いカフェが目の前に現れ、吸い込まれるように入ると外観通り、内側も可愛らしく素敵なレストランでした。カウンター席に進められ、カウンター席には既に先客がいらっしゃました。ご近所のご婦人方という印象でした。常連らしくカウンター内の親子と思しきオーナーの母親・娘さんと楽しく、美しい言葉のラリーが続きます。
よそ者の私にオーナーご夫人は漬物の入った小鉢を回してくださいました。その心遣いが嬉しい….
ランチスペシャルと優しさを味わいお勘定を支払いお店を出る際に「またお越しくださいね」と言っていただき、振り返りつつ「ありがとうございます」と言い後にしました。
ああ、こういうのを一期一会というのだなと、感慨深くなった夏の一日、盛岡の思い出を真冬に思い出しました。
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