このコロナ禍、オトナの遊び場・大阪にある「遊郭」はどうなっているのか?

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

歯止めの利かない大阪でのコロナ感染、重症センターでは看護師不足という事態にも陥っていて、吉村洋文大阪府知事以下、関係者も対応に追われています。看護師の派遣を自衛隊に打診したり、関西広域連合にも派遣要請したりして、和歌山県が看護師2名の派遣、京都府も協力を検討しています。

なんとかしたい吉村知事の言葉では「ありとあらゆる手を尽くし、なんとか1床でも多く重症患者に対応したい」と述べています。

右肩上がりになってしまっているコロナ感染者数ですが、このコロナ禍で大阪各地に点在する「遊郭」は今どのような状況になっているのでしょうか?

今回は、今こそ頑張ってほしいオトナの遊び場「遊郭」を取材し、お店の模様、女の子たちやスタッフさんに取材してみました。

閑古鳥が鳴いたあとは需要も戻りつつある

具体的に「遊郭」はどのような状態になっているのでしょうか?

まずは、大阪市西成区に残る日本最大の歓楽街・通称“ちょんの間”と呼ばれる飛田新地にむかいます。大正・昭和・平成・令和と続く昔ながらの遊郭で風俗街として、関西圏の男性陣にはよく知られています。

まずは、日本最大の“ちょんの間街”である飛田新地関係者・T氏(46歳)と在籍している女の子・F美さんにお話を伺いました。

丸野(以下、丸)「今遊郭はどんな状況なのですか? 消毒などはどうなっているんですか?

F美さん「マスク着用、遊郭の軒先では手の消毒などおこなってるんですが、やっぱり怖がる女の子もいますね、未だに……。シャワーもないので、非常事態宣言が出る直前に飛田新地全店が休業要請になりました」

丸「はい」

T氏「お客さんが減って、お茶を引く(客がつかない)女の子が増えてきた時点で、悔しいけど決断しました。

丸「こんなことになるなんて思いもよりませんでしたものね」

T氏「そんな宣言を無視して営業を続けるという店もありましたが、(そうした店に対して)“組合をやめろ”という指令が出てからは、どこも店は営業してなかったですね。京都の花街あたりと同じで、みんな組合で決まりいうかがあるんでね。4月に入ると、やっぱり全店を(一時的に)閉店せざるを得なくなりました」

F美さん「それに危ないんですよ、ほとんどのお店が閉まっているから、夜道でムリヤリ車に乗せられそうになった女の子もいました」

丸「それは怖いですよね。それからお店の今は?」

F美さん「一旦引き潮のように客足が遠のいたんですが、今現在では客足は戻りつつありますよ、ホンマは。6月に全162店舗が営業再開したので。公には言えんだけで……。やっぱり男は欲望に正直というか、馴染み客はコロナ禍が少し落ち着いた第2波終わりくらいから、通ってはりますね」

コロナ拡大で女性従業員への抗体検査を徹底

丸「性質上、サービスとしては接触が濃密だと思いますが、大丈夫なんですか?

T氏「6月以降は、組合ごとに毎月検査キットも用意するということで、これは松島新地でも、信太山新地でも同じだと思いますけどねぇ。各店舗は、休業要請支援金として50万円支給されましたが、検査費用に充てるということで、実質帳消しですね。抗体検査の頻度は隔週2回ですね。料亭で働いているスタッフだけではなく、地域エリアの住人の方々も検査を受けられるように、月間で2千人~2千5百人分の抗体キットを準備してあるようですよ

丸「なるほど」

T氏「人づてに組合長がおっしゃっていることを聞いたのですが、今回の女性従業員に対して行う抗体検査は、未知の新型コロナウイルスを知らないうちに感染させてしまっては大変だということで行うとのことでした。潜伏期間もわからない、自分が感染しているのかもわからないんやったら、定期的に抗体検査をおこなって、早急に治療を開始する、と。感染者を初期段階で発見できれば、ウイルスが蔓延することを防ぐことができるというわけです」

丸「なるほど、水際作戦でコロナと対抗するというわけですね

松島新地も6月から営業

筆者が昔、家族で住んでいた松島新地でも、やはりその時期、営業が危ぶまれていました。

【連載】関西のディープゾーン『遊郭・松島新地』に、愛する妻と1歳児、新生児と住んでみた[リンク]

大阪市西区の89店舗の料亭が乱立する歓楽街・松島新地もまた、4月に新型コロナウイルス感染拡大を受け、加盟店の営業を一斉に自粛。前述の飛田新地と松島新地は、昔から続く旧遊郭の流れを汲んでいます。世界各国の首脳が結集した昨年6月のG20大阪サミットでも営業自粛を迫られました。

それと同様に、遊郭の支配人を務めているG氏と女の子・E子さんに話をお聞きしましたが、やはり秋冬のコロナ流行を心配する声が……。G20よりも長い期間での自粛を重く見ていました。

G氏「やはりこの地で百数十年もやってきたわけですから、地域貢献は必要ですね。秋以降の寒さが体にしみる季節の感染第3波を想定しています。来年2~3月まではこの状態なんじゃないですかね。いろいろなところにアンテナを張りまして、コロナに関する情報はしっかりと把握しているので、それまではかき集めた抗体検査を実施します。近隣の商店街などの方にも抗体検査の声をかけさせていただいてますが、遊郭容認派はみなさん喜んでおられますよ」

丸「飛田新地の方もそのようにおっしゃってましたね」

G氏「飛田新地や松島新地が導入する検査キットって精度はわからないんですが、今一番抗体があるかどうかが判定できると思いますよ。大体3月末には、感染拡大するという噂でしたので、海外の状況、感染症を扱う専門医師との話し合いを重ねました。やはり、可愛いキャバクラ嬢が数万円で街中に立つ時代なので、営業再開にはスタッフにPCR検査が必要だと考えましたね

丸「医療機関で検査を受けることは初めから考えていなかった、ということですか?」

G氏「そうですね。女の子にもほとんど強制的に受けさせていますし……定期的な抗体検査を決意しました。まずは、新型コロナウイルスの感染者をいち早く見つけることが一番ですから……

丸「これで松島新地が“安全だ”ということなんでしょうか?」

G氏「気をつけていれば、感染予防はできるかな、とは思っています」

E子さん「避妊具着用ですし、キスなどもしないよう控えていますので……。私たちも男性のお客さんに感染させるのはイヤですし……。オンラインでつながったり、今までできなかったカタチでの“いい関係”を続けている常連さんもいますね

非常にまっとうな、至極当然の対応を取っている大阪に根付く「遊郭」。
実はお店の女の子以外にも、スタッフさんがリストラされたりといった壊滅的状態もあったようです。いずれの遊郭も、今出来ることをして生き残る努力を尽くしている様子が非常によくわかる取材でした。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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