映える写真撮り放題の体験型美術館『東京トリックアート迷宮館』で心地よく脳をだましてみた!

  by 古川 智規  Tags :  

なかなか派手な外出ができない日々が続くが、少人数や家族でぜひとも楽しんでいただきたいスポットを取材したので、気分転換に散歩がてら楽しんでいただきたい。
見て触って体験できる珍しい美術館である。もちろん写真撮影は自由なので、知恵とアイデアを絞って映える写真をお撮りいただきたい。

台場にある「東京トリックアート迷宮館」はゆりかもめ「お台場海浜公園駅」または都営バス海01系統「台場二丁目停留所」から徒歩1-2分のデックス東京ビーチ シーサイドモールの4Fにある。昭和チックな商店街を模した昔懐かしい店舗群の中にあるので、すぐにわかる。
これから紹介するものはすべて平面に描かれた絵画である。その絵画の中に自分が入り込んで写真撮影したり、絵画そのものを鑑賞したりと、美術館とアトラクションを足して2で割ったような楽しみ方ができる展示が山のようにある。
今回はその中からごく一部を紹介する。
撮影モデルは館内スタッフにお願いしたが、本来は来場者が撮影するのを手伝ってくれたり、説明をしたりしてくれるので来館の際には気軽に声をかけて撮影を手伝ってもらうと良い。

桶屋から、でっかい桶をハムスターのように中に入って盗み出そうとしているのだが、反対側から押されてなかなか逃げ出せないというシチュエーションだろうか。2人のスタッフ以外はすべて絵画である。もちろん桶などはない。

部屋の中に鏡があり、同じ風景が鏡面を介して反転しているように見えるが、実は同じ部屋が2つつながっているだけで鏡などは存在しない。物理的にあるのは部屋と椅子だけである。残りはすべて絵画なので二人で隣り合った部屋に入り反転させた同じポーズで撮影するとあたかも鏡に別人が映っているように「見える」。ポーズはアイデア次第だが、スタッフもいろいろと引き出しを持っているので、おススメの画を提案してもらうのも楽しい。

おなじみ日本史の教科書に必ずと言っていいほど掲載されている日本最古の漫画と呼ばれる絵巻物「国宝 鳥獣人物戯画」(鳥獣戯画)である。
甲巻の12-14紙あたりだと思われるが、本来は平面の絵巻物だが紙から立体的に動物が飛び出しているように見える。が、これらすべては平面に描かれた絵画である。

順路に従って歩いていると虎がこっちに向かって歩いてくる。しかも屏風絵から飛び出した虎である。一休さんも足利義満もびっくりのシチュエーションで屏風から虎を出してしまっては、もはやとんちは利かないという身もふたもないツッコミは置いておいて、これも屏風と床面に描かれた絵画である。

忍者から吹き矢を撃たれて、それをかわす見事な姿。だが、スタッフがポーズをとっているだけで、その他はすべて絵画だ。

くノ一が忍術により出した白蛇を力ずくでねじ伏せるシチュエーションだが、スタッフ以外は絵画だ。

巨大サメに襲われて必死に岩場を登っているが、それでもサメはあきらめずにジャンプしてきて食われそうなシチュエーションだが、撮影方法やアイデアはパネルに書かれているので参考にして作品を仕上げていただきたい。ちなみにこれもすべて3面に描かれた絵画である。

自分が「てふてふ」になってカマキリとお話し中。歴史的仮名遣いの「てふてふ」は蝶々がおしゃべりする様態を表現したものである。映える写真を撮りたい女性には人気の撮影スポットの一つである。

これも撮影にはちょっとしたしたコツが必要だが、被写体になった人の演技力が問われるだろう。しつこいようだが絵画だ。

悪魔か吸血鬼かのエサになろうとワイングラスに閉じ込められてしまった。もちろんグラスはないので、人が入るところはない。撮影している外観はまことに滑稽だが、撮影写真を見てみるとなぜこうなる?と不思議な感覚に襲われる。絵画の中の影とリアルな光の当たり方を計算しつくした作品である。

ヒトの目は、というよりもヒトの脳が錯覚という一言で片づけてしまうのは簡単だが、いかにいい加減な認識をしているのかがよくわかる実例の絵画である。空飛ぶ絨毯ではなく空飛ぶ箱。しかし実際に被写体の人物がいるのは空中ではもちろんない。どんな仕組みで浮揚しているのかをよく理解して、撮影センスと被写体の演技力を発揮していただきたい。

映え写真や記念撮影ならこれ。壁に貼られた絵画の中に入り込む、あるいは絵画から飛び出す写真も撮れるのでさまざまなポーズで試していただきたい。

順路の最後は売店になっていて、面白いモノがたくさん売られている。面白すぎてうっかりお金を落として気は付かないということのないようにしていただきたい。
本館のアートはすべてアクリル絵の具で描かれているということだった。すべての絵画をご覧いただくと気が付くのだが、立体的に見せるために「影」や「一点透視法」を徹底的に駆使して計算しつくされたプロの技が凝縮されていることがわかる。絵を描くときに参考になる技法が随所にちりばめられているので、そのような立体感を出しまくりたい技法を学ぶのにも最適な絵画を参考にすることもできよう。もちろん空間を活用するために照明もアートに組み込まれているので、脳が騙される仕組みもなんとなく理解できることだろう。
また撮影するためにはかなり広角なレンズが向いていると思われるので、その点では記者は一眼レフカメラを使用したが、スマホのカメラを使用した方がうまく撮影できることが多いかもしれない。一眼レフカメラを使用する場合はフルサイズで35mm以下、APS-Cで24mm以下のレンズを広角レンズを装着すればいいだろう。

入館の際には検温、消毒が必修となっており、一部の閉鎖的展示空間はドアが開放され換気がされているが、それでも十二分に楽しむことができる。幽霊屋敷ではないので大声をあげて叫ぶこともなく、あるとすれば絵画に騙されたと認識して不思議と感動の感嘆が漏れる程度だろう。
日帰りのショートトリップで沈みがちな心の洗濯をしてみるのはいかがだろうか。

※写真はすべて記者撮影
 (11月28日・ネタバレになる部分を削除しました。)

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