大激戦の末、大統領に選出されたジョー・バイデン。アメリカの大統領になるのには、上院議員からか、もしくは州知事から大統領になるケースが多い。その昔は軍人も大統領になっていた。50ドル札の顔、グラント将軍がそうだ。
バイデンはデラウェア州選出の上院議員だった。アメリカの議員制度は上院議員と下院議員からで成り立つ。大統領選挙の仕組みはニュース番組でこのところ頻繁に説明されていたので、サッと簡単に議員制度を説明すると、上院議員はアメリカの各州で2人枠。下院議員は州の規模により議員数が異なる。
カリフォルニア州のような国単位に数えてもいいような経済力を持つ州からも上院議員は2人、アメリカで2番目に面積の小さいデラウェア州からも2人なのである。
このデラウェア州は日本人には馴染が薄いと思うが、アメリカでも実は馴染が薄く、デラウェア州はニューヨーク州に比較的近いが、殆ど関心を持たれない州なのである。
しかし、この州は他州と違って圧倒的に魅力的な州でもあるのだ。それはJETROのサイトから一部転記すると、米国を拠点とする新規株式公開企業の8割、フォーチュン500社の6割以上が、デラウェア州の会社法に準拠して設立されています(2018年)とある。
その理由はデラウェア州が他州より企業に有利な会社法と司法制度にあるとされる。
会社が簡単に作られるのだ。例えばネバダ州ではいとも簡単に結婚が可能なように、デラウェア州では容易に会社が作られるのだ。
税制面での優遇が一番大きいのではないだろうか。それが一番企業にとり魅力的だ。
司法では、デラウェア州は会社法専門の衡平法裁判制度が全米一確立しており、デラウェア州の裁判は陪審員でなく裁判官が裁定を行う。訴訟大国のアメリカではこの制度は企業にとり有利である。しかも、デラウェア州の裁判所は企業に有利な立場をとることで有名だと言うのである。
地味だけど、面積も小さいけれど、フォーチュン500社の6割以上が、デラウェア州の会社法に準拠して設立され、デラウェア州を本社とする会社はデュポンや花王アメリカなどがある。日本の現地法人は殆どがデラウェア州が本社ではないかと思う。
観光をしにわざわざ出向く州ではないが、もし東海岸を鉄道旅で楽しもうと言う方なら、ニューヨークからワシントンDCをアムトラック利用すると、デラウェア州の州都、ウィルミントン駅に短い時間停車するので、車窓から州都を見ることは出来る。
但し、何も期待してはいけない。何もないからだ。
まるで♪襟裳の春は何もない春です~ の襟裳岬のようなのだ。
それも十分デラウェア州の魅力なのである。
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