先日、米国ニューヨーク州のウエストチェスター刑務所を舞台に一騒動が起きた。11人の囚人が刑務所のある郡を相手に5億ドルの支払いを求める民事訴訟を起こしたからだ。受刑者が訴訟に踏み切ったのは、デンタルフロス(歯間をきれいにする細い糸)の使用が認められないことにあった。
囚人側の主張はこうだ。「デンタルフロスが使えない、与えられないせいで、虫歯・歯肉からの出血・歯の痛みで苦しんでいる」と。中には歯を失った人もいるそうだ。今後の治療費や精神的苦痛も訴えている。
ちなみに5億ドルの根拠は定かではないが、原告のリーダー格は「他の刑務所では認められていた。不公平ではないか」と述べている。「そもそも何度も厄介になるべきではない」という声も聞こえてくるかもしれないが。
米国のほとんどの刑務所では、細い糸が凶器になり得るとのことから、デンタルフロスの使用が禁止されているそうだ。刑務所側は「デンタルフロスの配布は法律で義務付けられていない」と主張しているものの、裁判沙汰を回避するための配慮も。具体的には凶器にならない範囲で歯の衛生を保つための代替手段を検討しているとのこと。囚人たちにデンタルケアの権利を認めるか否か。裁判所の判断に注目が集まる。
画像: 今回の裁判の原告のリーダー格の顔写真と記事のキャプチャー
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