『いしがまやハンバーグ』で大豆ミートでの石窯焼きハンバーグを提供開始!

  by 古川 智規  Tags :  

きちりホールディングスが植物肉原料の開発を行うDAIZと提携し、植物肉を使用した店舗での新たなメニューや、デリバリーフードサービスまたは通信販売により、さまざまな商品提供を開始する。
まずスタートするのは、きちりが運営するハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」で植物肉を原材料としたメニューを10月23日から提供する。
これに先立ってに行われた報道関係者向けの試食発表会を取材したのでレポートする。

そもそも植物肉とは何なのか。以前から大豆を原料にした肉のような食感の食品は出回っており、例えばこま切れ肉の佃煮のような大豆ミート製品は何十年も前から存在する。大豆由来なので低カロリーで高タンパク、そして低脂肪と願ったり叶ったりの食品である。佃煮のような極めて日本的な食品は別として、世界的に見れば肉の代用品、菜食主義者の代替食品、ビーガン食という位置付けだったのが、最近になり製造技術や調理方法の工夫により一般的な健康的な食品として注目されるようになった背景がある。もちろん、家畜を食肉にするために飼料や水を大量に消費することからの代替品としての側面もある。

大豆ミートの原料はもちろん大豆だが、通常は「大豆ミール」を使用して作られる。大豆ミールとは日本語では大豆粕(かす)という。日本では大豆を豆として食用するが、世界的に見ると食用は1割にも満たない。そのほとんどは搾油用である。油を搾った残りかすが大豆ミールなのだが粕とはいえ脂肪分を絞った後なのでタンパク質が高濃度であり、家畜の飼料としては最適である。家畜(例えば牛)は大豆ミール等の飼料を食べ続け、水と人手を消費して生育し、生育途中に牛から出るげっぷの多くはメタンガスで地球温暖化の原因となり、その量は大気中の2-3割にも及ぶと問題視されながら最終的には食肉になる。一方、大豆ミートは通常この大豆ミールから作られるので、食肉よりも環境にやさしいと言われるゆえんがここにある。

同社で使用される原材料は大豆ミールではなく丸大豆であり、なおかつ発芽大豆である。普通の丸大豆と発芽大豆を食べ比べてみたが、前者が枝豆のような味(枝豆は大豆なので当然といえば当然)だったのに対して、発芽大豆は落花生のような風味と味がしてまったく違うもののように感じた。大豆ミールから作るよりも資源は多少消費するが、風味と発芽させたことによる栄養価が優れるこれらの違いがどうメニューに反映されるのか実食してみた。
なお、同店の大豆ミートメニューは健康のためにとか、菜食主義者のためにとかビーガン食としてという立ち位置ではない。次世代肉としての大豆ミートを身近に手軽に食べてもらうためのいわば社会への提案である。よって誰でも気軽に注文することができるように従来のビーフから大豆ミートまですべてを併売する。

3種類のハンバーグを並べてみた。大豆ミート100%のもの、通常のビーフハンバーグ、ビーフと大豆ミートのハーフ&ハーフである。

プレミアムハンバーグステーキ

プレミアムハンバーグステーキはいわゆるビーフハンバーグである。レギュラーセット(ライスorパン、スープ付)1,380円(税別・以下同じ)

同店のハンバーグやハンバーガーは何度も食べたことがあるが、変わらぬ石窯焼の美味しさだ。なお味を確認するために、全メニューについて最初はソースなしで試食している。

プレミアムハンバーグライト

プレミアムハンバーグライトは、ハーフ&ハーフである。レギュラーセット(ライスorパン、スープ付)1,480円

名称の通り、味わいがライトになったような気がする。あえて言うならばビーフとチキンの合い挽きといった感じだろうか。大豆らしさはほとんど感じられない。ソースをつけて食べれば肉そのものである。記者が個人的に最もおススメしたいのはこれだ。

プラントベースミートハンバーグ

プラントベースミートハンバーグは大豆ミート100%のハンバーグである。レギュラーセット(ライスorパン、スープ付)1,580円

ビーフハンバーグと豆腐ハンバーグの中間的な味わいだった。豆腐も原料は大豆なので当たり前なのかもしれないが、豆腐ハンバーグほど大豆っぽくなく、かといってビーフは一切使用していないので肉から出てくる油はほとんどない。肉汁のようなものは肉の味わいに近づけるための調味料や香辛料だろう。さすがにビーフではないことはわかったが何の肉だろうと、まだ肉の種類を探して脳が思考を続けるかもしれない。みんな大好きハンバーグだが、たまには肉から離れて高タンパクハンバーグを食べるのもいいだろう。

デリバリーやECサイトでも

同社ではフードデリバリーサービスと公式オンラインサイトで「XMET」商品を販売する。メニュー内容は、キーマカレー1,380円(税込み・以下同じ)、汁なし坦々麺1,380円 、ラザニア1,780円 、ルーローハン1,380円 、ガパオライス1,480円、シシカバブピタパン1,380円等である。
いくつか試食したが、印象に残ったのはラザニアと汁なし担々麺だった。どちらも通常は肉を使用するメニューだが、見事にミートレスなのにまったくそれを感じさせない味わいを実現していて大変美味であった。

健康や環境、将来の資源問題を考えての代替肉需要も少なからずあるが、それでは全世界的に売れているとはいえず高い買い物になってしまう。しかしそういう意識啓発よりも先に気軽に食べてもらう努力をすることによりスケールメリットでコストが下がり、消費者に肉と大豆ミートとの選択肢を提供できるようになるのだろう。試食してみて「理屈はいくらでもあるが、まずは食べてみることからスタートしてもいいのかな」と思った取材だった。

※写真はすべて記者撮影

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