手洗いやエタノール消毒の励行による肌荒れでお悩みの方が増加中?製薬会社に聞いてみた!

  by 古川 智規  Tags :  

ウィズコロナの世の中で、欠かせないのが手洗いとエタノール消毒とマスクだろう。そろそろ半年になろうとしているが、特にエタノール消毒は店舗や飲食店に入店の際にはもはや必須事項になっている。それはそれでやらなければならないことだが、この間に少し困ったことが起きている人が徐々に増えているというのでどういうことなのか調べてみた。

エタノールは消毒に使用されるが、実は有機溶剤でもある。お酒として飲んでいるくらいだから、人体に害はほとんどないので脅すつもりはさらさらない。しかし手指を消毒する際に有機溶剤として働くのは事実であり油脂や水分を奪う。また消毒用エタノールに混合されているイソプロパノールも皮脂を溶かして奪っていく。要するに美容的にはお肌にはよろしくないということである。とはいえ消毒をしないわけにはいかないので、エタノールを使うわけだが問題は肌の弱い方だ。皮脂と水分が奪われるということは、ありふれた用語を使うと「ガサガサ」になるということである。そのような悩みを抱える方が時間の経過とともに増えてきているようだ。
面の皮(ツラのカワ)が厚いことを自認している記者も顔以外の皮膚は結構弱い方だ。指の一部の皮がはがれることはよくある。

そのあたりの事情を第一三共ヘルスケアに取材したところ「確かに新型コロナウイルスの影響でエタノールに過敏な方や、もともとお肌の弱い方にそのようなお悩みが徐々に増えてきているのは事実です。また石けんで手を洗う頻度が高くなったことからも同様のお悩みが増えてきていることは認識しています」ということで、エタノールは仕方がないにしても石けんでも油脂を奪われるので肌の弱い方には深刻な悩みであろう。
以前に記者が外国の硬水でも泡立つ(日本は軟水なので一般的な石けんやシャンプーは硬水の国に持参しても泡立たない)、製品をレビューしたが当時は外国に安心して持っていけるというコンセプトで記事を書いた。しかし当該製品は刺激のある成分を使わない製品であったことを思い出し、肌が弱い方には少しでも悩みが緩和できるのではないかと考え同社に追加で聞いてみた。

「以前に外国で使われたミノンのことですね。ミノンは全製品で極力アレルギーの原因となる物質をカットし、刺激を抑えて弱酸性という共通の思想から作られていますので、そのようなお悩みの方には向いていると思います。また今の状況だからというわけではないのですが、バリア機能を重視した保湿剤も新しく発売しましたので、お悩みの程度に応じてお使いいただけると思います」

とのことだったので、膨大な種類に及ぶミノン製品の中から、記者が愛用している製品も交えていくつかを選択したうえで、使用してみたのでレポートする。

ミノン 全身保湿クリーム・ミノン 全身保湿ミルク

本品はSPLというコレステロールの一種を配合した保湿剤で、クリームタイプとミルクタイプの2種類。どちらかの選択利用になるだろう。
コレステロールと聞いて良いイメージを持つ方は少ないだろう。確かに血中コレステロールの値で一喜一憂する方も多かろうが、実は生体維持に必須なのもコレステロールである。もちろん本品を塗布したからといって血中に溶けだしてコレステロール値が上昇なんということはないので安心していただきたい。難しいことは書かないが、生体の細胞膜には必須な成分で、結果的に人の皮膚(生体膜)のみずみずしさや、しなやかさが保たれている。エタノールや手洗いでダメージを受けた肌に直接塗り込んでしまおうというのが本品の主たる働きである。

写真ではわかりにくいと思うので、髭剃り後の顔の右半分にミルク、左半分にクリームを塗ってみた。個人の好みとお肌の状況によるので一概には言えないが、記者の感覚ではクリームタイプはいつまでもしっとりしているのでメイクをする女性にはいいかもしれないし、ミルクタイプはすぐにサラッとしてツルツルしてきたので男性の髭剃りにはこちらの方がいいのかもしれないと感じた。
本品はワセリンで保湿をし、抗炎症剤としての有効成分グリチルレチン酸ステアリルが肌荒れを防止する。
これ以降にレビューするミノンがパッシブであるとすれば、本品はアクティブな製品だと感じた。

メーカー発出のリリースだけではなく、ドラッグストアの美容部員にも話を聞いてみた。

「最近はエタノールや手洗いで夏なのにあかぎれ状態になる方も本当に多く、感染防止策を取らないわけにもいきませんので結局はケアを念入りにするしかないというのが実情です。選び方としては個人の好みですが一般論でいうと、特に乾燥するタイプの肌の方はクリームがいいと思います。そうでもない方にはさっぱり感のあるミルクの選択でいいと思います」

とのことなので、アクティブ(積極的に)ケアをするに越したことはないようだ。

ミノンスキンソープ

記者が愛用する石けんである。本品には医薬部外品(薬用)のものもあるが、ここで紹介するのは化粧品カテゴリーのものである。ミノンブランドの原点ともいえる弱酸性の無着色・無香料・防腐剤フリーで低刺激性の石けんである。硬水でも泡が立つので全世界で使用可能なのは記者が実証済みである。また意図せず外国でケガをした際に破傷風を恐れて本品で洗ったが患部に全くしみることなくきれいに洗い流せたのも実証済みである。それ以降の愛用品である。
薬用ソープとの違いは有効成分の肌あれ防止成分を配合しているかどうかの違いなので、特に肌荒れが気になるようであれば医薬部外品の薬用ソープも検討するとよいだろう。
なお、化粧品カテゴリーの本品は髪を洗うこともできるので全身ソープとしての使用も可能だ。これだけ低刺激で洗い上がりがしっとりとするので、過渡に皮脂を奪うこともなく潤いを残すことができるだろう。

ミノン 薬用ヘアシャンプー・ミノン 薬用コンディショナー

前述の石けんで髪を洗うこともできるが、ツッパリ感が気になる方や、やはり髪は専用品でと考える方はこちら。どこかを触った手で顔を触らないという感染予防策は、要するにどこに付着したかわからないウイルスを自分の手で粘膜が多く集まる顔に付着させないという理由からである。手で髪を触るというのは日常の行為であり、その手で顔を触れば同じことであるので、まめに洗髪をする方も多いだろう。
ヘアシャンプー・コンディショナーどちらも硫酸系界面活性剤を使用していない、いわゆる「サルフェートフリー」である。この硫酸系界面活性剤は硫酸系という名称だが硫酸ではない硫酸塩なので実は安全性に問題はない。しかも安価で洗浄能力も高い。よって多用されるわけだが、その反面洗浄力が高いということは皮脂をごっそりと取り除く能力も高いということを意味するので、有害ではないものの肌に刺激が強いというのもまた事実である。だからといって強い洗浄力のある代替品を使えば結果は同じであり、せっかくのサルフェートフリーも無意味である。そこで本品では低刺激だが洗浄力や起泡性もマイルドなものやアミノ酸系洗浄成分を組み合わせて配合することにより、総合力で勝負しているようである。
医薬部外品としてのグリチルリチン酸2Kは肌荒れ防止剤である。

ミノン全身シャンプー 泡タイプ

本品も記者の愛用品で、毎日固形石けんで全身を洗うのはコストパフォーマンスが悪いし、髪専用品にそこまでこだわりもないため、通常は本品で全身洗浄をする。液体タイプもあるが、記者の肌にはこの泡タイプが最も合っていたので愛用している。
本品はポンプを押せば泡が直接出てくるために泡立てる必要がないのと、敏感肌の場合は泡を手に取りそのまま手洗いすることで洗浄力を得る。刺激がないのはミノンブランドに共通することなので、赤ちゃんから高齢の方まで使用することができる。目にもしみにくいので小さい子供のシャンプーデビューにも最適というわけだ。
医薬部外品としての有効成分はアラントインとグリチルリチン酸2Kである。肌荒れ防止とともに炎症肌を回復し、健常肌を維持する効果がある。

(写真はフィリピンに取材に行った際に持参した全身シャンプーのパウチタイプ)

泡タイプでない液体には、しっとりタイプと、さらっとタイプの2種類があり、それぞれ小分けされた旅行用パウチのものも発売されているので、タイプを決めるためにお試し使いするには良い選択だろう。液がかなり濃いので男性ならパウチ1回分(10ml)で髪からつま先まで洗うことができる。特に外出先から帰宅した際には、手指だけではなく全身を念入りに洗いたいという感覚は今の時期では当然のことだろう。念入りに洗えば体も手指と同じ悩みを抱える可能性があることから、全身シャンプーにも言及した。

(ミノンは海外でも女子には人気のブランド・写真は香港の美容店にあるミノンの特設コーナー)

ミノンのシリーズは一般に市場で見かける保湿剤、石けん、シャンプー、ボディソープと比較して高価なのが唯一の難点だ。小売りの現場ではどうなっているのだろうか。記者顔なじみのドラッグストア登録販売者店員に店外で個人的に忖度なく実情を聞いてみた。

「洗浄シリーズのほかに化粧品もありますので一概には言えないですが、さすがに全種は置いてないです。ですが高くても一定の需要はあるので人気商品の多くは置いてます。ミノンは指名買いの方がほとんどで、ずっと同じものを使っている感じがします。店頭で肌の悩みを聞いて芳しくないときはミノンを勧めますよ。高いですけど肌のトラブルが続くよりもいいはずなので、これは仕方がないです。もちろん症状がひどい場合はまず最初に医師の診察を受けることを勧めますけどね。もともとミノンは肌の弱い方向けという側面もありますので、トラブルを抱えている方が高くても選んだ後はだいたい指名買いになるようです」

とのことだった。
しばらくは続くであろうウィズコロナで、手洗いとエタノール消毒が続けば同様のお悩みを抱える方は今以上に多くなるだろう。感染防止も重要だが、肌のお手入れも同じように重要だ。本稿でレポートした製品はすべてを同時に使うものだけではなく、個人の状況に合わせて選択使用するものも多い。ドラッグストア等で手に取り、肌に優しい洗浄とバリアを考えてみる契機にしていただきたい。

※写真はすべて記者撮影

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