かまいたちが上京したのは2018年。前年にキングオブコントで優勝したことが大きなきっかけとなった。漫才もコントも、更にロケでは持ち味を活かし、それらを引っ提げての東京行きの成功は半分見えていたと思う。
キングオブコントが大きなチャンスであったのは確かだが、数多くの賞を獲得した中で『2012年第42回NHK上方漫才コンテスト』で優勝したことが、成功の舵取りの一歩だったと思う。
このところの快進撃は止まらない。しかも松本人志が濱家をいじりだしたから、更に人気が強固なものとなる。そもそもツッコミの濱家が東京進出後、いじられキャラにまわったのは大阪時代に濱家を慕っていた後輩たちにはショッキングな出来事だったらしい。
しかし、いじられることで人気が上がり、更に注目され、それでテレビへの露出が増えるのであればいじられた方がいいに決まっている。しかも、それが松本人志がいじってくれるのなら鬼に金棒だ。
なぜ松本人志が濱家をいじりだしたか?
それは読売テレビの『ダウンタウンDX』にかまいたちが出演した際、相方山内が濱家の実家を訪問する『極貧実家と同期芸人を支えたオカン』がきっかけだったと思う。
濱家の母上は息子のNSCの金のない同期たちへ、食事やお酒を振舞っていたというのだ。ロケには天竺鼠、アキナの山名も山内に同行した。地方出身者も多い芸人の卵たちを、決して豊かではなかった濱家の母上は歓待したそうだ、心温まる話だ。
そのロケ中、良く笑い、見るからに優しそうな濱家ママの人柄が伝わり、こんな素敵なお母さまの息子であれば人気者になって当然と思える程、微笑みを絶やさない上品な濱家ママ。
しかし、その笑顔が曇った。それは濱家が松本人志と共演した際に、松本人志から「お前ホンマに嫌い」と言われてショックだったと言う。でもでも、濱家ママ、チョットだけ不安げな表情を見せたが「ちょっとショックやった」の後に、また屈託ない笑いで座卓を囲む山内、天竺鼠の二人、そしてアキナの山名のみんなを和ませた。
思い出話に花を咲かせている間にお昼がきて、濱家ママが「ご飯食べる?」とカレーを用意しており山内が喜んで見せる。どうやら濱家ママのカレーは相当美味しかったらしい。そうすると天竺鼠の瀬下が「おかあちゃんのアレも好きやった、らっきょう」と言うと、らっきょうも座卓にならび、ポテトサラダも更に並んだ。
ダウンタウンの二人はこういう場面が好きだ。誰だって優しい人は好きだ。濱家ママの優しさがダウンタウンの琴線に触れたと思う、特に松本人志には。
濱家いじりは松本人志による濱家ママへの贖罪であり、金一封でもあるのだ。
決して裕福ではなかった濱家の実家に、同期芸人たちが集い、息子の金のない仲間たちを持てなす母親の愛が15、6年を経過て、息子の憧れだった松本人志にいじられるご褒美をもらうことになった。
こういう愛情深い母親に育てられた濱家は親思いで、キングオブコントの賞金を50万円ずつ両親それぞれに渡した。何が凄いかというと血の繋がらない母親の再婚相手の父親にも同じく50万円である。
母親思いの松本人志は、同じく母親思いの濱家がカワイイのだろう。
濱家ママはあの『ダウンタウンDX』で、カナシイ顔して我が息子が松本人志に嫌われているのが「ちょっとショック」と言ってよかった!現代の日本昔ばなしみたいなもので、良い人にはすご~くいいことが起きるのだってことを教えてくれているようだ。
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