世代を超えて共通の話題が持てる「おやつ」でステイホームをもっと楽しく!

  by 古川 智規  Tags :  

最近の若い方はお菓子のことを「おやつ」と呼ぶかどうかは記者は知らないが、昔はおやつという言葉が普通だった。
おやつは八つ時(やつどき・十二刻で未の刻・現在の時刻では13時から15時の2時間で概ね14時前後)が由来であることは有名だが、現在では10時と15時ごろに取る間食のことをさすことが多い。昔は1日2食であり、間食はエネルギー補給の意味合いもあり江戸時代にはすでにおやつと呼んでいたようである。

さて、このおやつだが現在はスナック菓子をさす言葉にもなっており、しかしその商品も入れ替わりや新製品、または流行り廃りが激しく世代により「おやつといえばこれ」という商品が昔と比べて少ないように思える。
そんな栄枯盛衰が激しいスナック菓子でも新商品はもちろんだがロングセラーを本当に長く販売している東ハトの「おやつ」にスポットを当ててみた。ステイホームで複数世代が同じ空間と時間を共有することが多くなっている今、どの世代にも認知されている商品や最新のモノまでを発売年代別にピックアップしてみたので、おやつを食べるときの話題のネタにしていただきたい。

1970年代(昭和46年~)

記者は昭和45年(1970年)生まれだが、物心がついた時には当然だがこの年代に発売を開始した商品は存在した。それが今でもかわらず販売され続けていることがすでに驚異だ。もう何十年も前からスーパーでいつも見ている商品なので不思議だとも懐かしとも思わなかったが、よく考えてみればスナック菓子でここまでロングセラーが複数の商品にわたり発売されているのはパッケージのリニューアルやフレーバーの追加ということがあったとしてもやはり不思議だ。スナック菓子に限らず40年以上前から変わらず販売されているモノがいくつあるだろうか。この年代から発売され続けてる商品の認識については全世代に共通だと言えよう。

キャラメルコーン

東ハトといえばキャラメルコーンといっても過言ではないほどのフラッグシップだ。赤いパッケージのオリジナルは年を追ってリニューアルは受けているものの、1971年(昭和46年)から発売されていて来年で50周年を迎える。子供のころは甘くて柔らかいキャラメルコーンの底にたまる最後にしか食べることができない塩味のローストピーナッツが魅力であり、大人の味を感じたものだ。
変わらぬキャラメルコーンだが、新しい仲間も加わる。
写真左から「ビターキャラメルコーン」は焦がしキャラメルペーストをまとった今風のスイーツ感覚だ。キャラメルコーンをもう一度キャラメリゼしたような香ばしさとほろ苦さが新しい。
その右側が「アーモンドキャラメルコーン」で、伝統のローストピーナッツの代わりにクラッシュアーモンドを使用した香ばしさ満点の新しい時代のキャラメルコーンだ。底に沈んでいるのがアーモンドなのでなんとなく高級感を感じるのは記者だけだろうか。
オリジナルは前述のとおりで、その右が期間限定の「キャラメルコーン・パンプキンプリン味(ハロウィン)」である。パンプキンフレーバーはハロウィンの定番中の定番だが、プリンを加えたことに利がある。「がいこつ」3種、「おばけ」3種の全6種類のデザインがあり、同じ絵柄を探すゲームができる仕立てになっている。また、絵柄の数に応じてハロウィン限定画像がもらえるというオマケまである。色はこれまでのキャラメルコーンと比較して白くプリンを思わせるのに十分で、味もかぼちゃプリンの甘さが際立つ。
50年間変わらず愛され続けたキャラメルコーンだが、新しい仲間が増えることによりファン層が広がることだろう。

オールレーズン

オールレーズンも前述のキャラメルコーンと並ぶ代表商品で1972年(昭和47年)の発売。記者が子供のころはあまり食べなかったような気がするが祖母の家には必ずあったおやつだった。歳を重ねた今に、ようやくオールレーズンの美味しさがわかるようになり最近はよく買って食べるおやつになった。皆さんはいかがだろうか。
本品のカテゴリーはクッキーだが、分厚くて柔らかく間食にはピッタリで今でいうショートブレッドやスナックバーのはしりのような存在であろうか。
こちらも新しい味である「オールおさつ」が期間限定で登場。レーズンの代わりに焼き芋でも人気のサツマイモである安納芋をペーストにして練りこんだ日本的なおやつだ。「焼き芋パイ」と表現するのがピッタリだろうか。

ポテコ

ポテコは1973年(昭和48年)発売のポテトリングスナックだ。子供のころは必ず指にはめてみて、その指から食べるのがお約束だった。大人になると小指の先にしかはめられないので、それが何となくさみしい。
写真は伝統のうましお味。この輪を少し大きく細くしてコンソメ味にしたものが「なげわ」(同年発売開始)だ。現在ではジャガイモを使用したスナック菓子といえばポテトチップスだが、それ自体は終戦直後から発売されていて一般的に全国どこででも気軽に買えるようになったのはポテコの発売からもう少し後になってからのことだ。
ポテトチップスが軽くてサクサクという感じで表現するならば、ポテコはギュッと詰まったカリカリという感じで、食感がまるで違うので、昔からあるのだが改めて食べ比べてみるのも面白い。

ハーベスト

1978年(昭和53年)発売のハーベストは、複層構造のビスケットである。お茶のお供としては最高の組み合わせで、サクサクとした食感と濃厚な味が大人を感じたものだった。記者の年代では子供のころよりも、むしろ大人になってからよく食べるようになった気がする。
こちらにも安納芋ペーストを練りこんだ「ハーベスト・スイートポテト」が期間限定で新登場。オールおさつとの食べ比べも楽しいだろう。

1990年代-2000年代(平成3年~)

昭和が終わり新しい時代である平成がスタートしたこの時期に発売されたおやつは記者の年代だと大学生、もう少し若い方だと子供のおやつとしてポピュラーだったかもしれない。

ビーノ

1991年(平成3年)発売のビーノはえんどう豆を原料にしたスナック菓子で、発売当初は衝撃だったことを覚えている。ちょうど大学生のころで、友人とお酒を飲む機会があれば家ではビーノが出てくるほど新しくお酒によく合うスナック菓子だった。今でもビールのおつまみに選択するほどだ。フワフワなのに詰まった感が強く、味は濃厚でドリンク必修なところがお酒のおつまみとして最適な理由なのだろう。

暴君ハバネロ

2003年(平成15年)発売の暴君ハバネロは、2000年代激辛スナックの元祖的存在で、当時世界一辛いと認定されていたハバネロを使用したことからブームの火付け役となったが、現在ではブームではないにせよ激辛系の食が広く一般化し、時代の求める辛さやウマさを加減しながら20年近く経過した現在でも販売されているロングセラーだ。
名称の由来は1世紀のローマ皇帝ネロとハバネロとを掛けたもののようだ。一般に暴君ネロと呼ばれている第5代ローマ皇帝ネロだが、後年の学術的な研究ではキリスト教迫害のために評価が低いというだけで政策そのものは失政ばかりというわけではなかったようだ。いずれにせよ無茶苦茶な恐怖政治というイメージと、殺人的な辛さというイメージを重ねたのは上手いネーミングで、以降「暴君ハバネロ」は単なる商品名ではなく多くの姉妹品を生み出すシリーズ名称として「君臨」することになる。

新商品(2020年・令和2年)

同社のおやつは現在でも期間限定の新商品やテーマを持った商品をシリーズの壁を越えて採用している。今回紹介した各シリーズの「安納芋」は2020年における期間限定商品テーマの一つでもあるのだろう。現在のおやつは世代を超えてというよりも、どの世代にも新しいものだ。大人はあまり食べないかもしれないが、子供と一緒に食べることにより今のおやつを知ることで話題も広がり新しい文化を吸収する一助になるというのは果たして飛躍した考えだろうか。

おさつパリ焼き・焼き芋味

「おさつパリ焼き・焼き芋味」は、さつまいもチップスで、食物繊維豊富な馬鈴薯が原料のいわゆるポテトチップスに、安納芋ペーストを練りこんだノンフライチップスである。
サツマイモは文字通り薩摩(現在の鹿児島県)に伝わり、そこから全国に広がったので薩摩の芋という意味でサツマイモになり、「お」を付ける女房言葉で「おさつ」になった。「おやつ」も同様に女房言葉である。
江戸時代に徳川吉宗の命により西日本で甘藷として知られていたサツマイモを栽培し、普及に努めた儒学者・蘭学者の青木昆陽は有名である。
ところで、当の伝わった薩摩ではサツマイモのことを何と呼んでいたかというと、いろいろあるが「唐いも(カライモ)」が多く、唐(中国方面もしくは南方方面)から伝わったからだとされている。
余談はさておき、本品は特に焼き芋とスイカには「塩」を振らないとダメという方にはうってつけの、塩を掛けた焼き芋味と表現しておこう。

匠旨(たくうま)・炙りチャーシュー味

匠旨(たくうま)・炙りチャーシュー味は、スティック状のカップ入りスナックである。国産黒豚の旨味が詰まった炙りチャーシュー味で、香ばしさや堅焼きのザクッとした食感が今どきのおやつだ。
スナックにしておくのはもったいないくらいの忠実に再現されたチャーシュー味なので、砕いてサラダに添えたりスープのクルトンとして入れたりと、アイデア次第で幅広く使えそうだ。

今回は東ハトの1971年(昭和46年)から2020年(令和2年)までのおやつを取り上げたが、各社から発売されてる商品にもロングセラーはあるだろう。冒頭にも述べたが、日進月歩の時代に、世代間が同じ「おやつ」で話ができることの楽しさやすばらしさ、あるいはなつかしさや新鮮さを感じることができれば、それこそがロングセラー「おやつ」の本望であろう。懐かしく新しいおやつでステイホームを楽しんでみてはいかがだろうか。

※写真はすべて記者撮影

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

Twitter: jj6tje

Facebook: jj6tje