マンハッタンには駐車場があるが、立体駐車場が殆どだ。しかし、10年程前には平地の駐車場がまだあった。その空き地風駐車場のスペースには既に高層アパートが建てられ、写真のようにイカツク存在感を示している。
また、ミッドタウンにある小さなアパート、5階建てのビルの下には長いことグロッサリー屋が営業していて、この店はバラの花の色数が豊富で、しかもお手頃価格だったので重宝していた。
しかし、駐車場も小さなアパートもやがて高層アパートへと姿を変えてゆく。
マンハッタンのミッドタウン、エレベーターの無い小さなアパートは、隣近所の同じような小さな建物と共にやがて解体され、大きなアパートへと様変わりしてゆく。
ニューヨーク生まれの画家にエドワード・ホッパーがいる。都会や郊外の単純な風景を作風とした20世紀を代表するアメリカの画家である。ニューヨークの建物も多く作品として残した。以下↓はニューヨークのホイットニー美術館が所蔵する「アーリー・サンデー・モーニング」である。このレンガ造りの建物は今現在も残されていて、グリニッジ・ヴィレッジのブリーカー通り233番地辺りに原画風景が今も残っている。この絵との違いはいくつかの窓にエアコンが取り付けられていることと、理髪店をはじめとする店舗はレストランへと変わっている。
ホッパーの残したニューヨークの風景は、いずれこの時代に呑み込まれて行くのだろうか。
マンハッタンに高層ビルはお馴染みの光景だが、高層ビルと共に小さな建物も共存して欲しいとは思う。ただ、バスに乗り車窓から街を眺めると、小さなビルの取り壊し作業が複数目に入る。
ホッパーの生きた時代にもニューヨークには高層ビルは林立していた。しかし、『絵になる』のは、高層ビルではなく、普通の建物が巨匠には魅力的に映ったのだろう。
マンハッタンが更に近代化すると共に、20世紀の建物が壊されて行くのが寂しい。