スマホ連動エアコンが発売中止
パナソニックが発表したエアコン『Xシリーズ』にはスマホ(スマートフォン・高機能携帯電話)から電源などの制御を行う機能が搭載される予定でした。しかし、新聞記事によると「電気用品安全法で禁止されている電波による電源操作という部分に抵触するので、その機能を削除して販売」とありました。
家電製品の制御に電波を使ってはいけないのか?
一年程度前に富士通ゼネラルが『ノクリア』というエアコンを販売しました。このエアコンには電波でエアコンの電源を操作するリモコンが付いています。先ほどのパナソニックの話では電波でON/OFFは禁止という事なのに何故、『ノクリア』はいいのか?と疑問に感じました。
経済産業省に問い合わせて見ました
”経済産業省 消費経済部 製品安全課”に問い合わせ、パナソニックはなぜダメなのに、富士通ゼネラルは良いのかという話を聞きました。 この話には新聞が誤解を招くような書き方と、若干の説明間違えがあるとのことです。まず、電波で電源をON/OFFが許されるものは照明器具と音響機器だけであるという部分は、電波ではなく音声での制御の間違えです。 また、エアコンの場合は電気用品安全法(PSE)に合致しているかどうかはメーカー自身が判断するため、国が管理している訳ではないので、国から圧力をかけた訳では無いとのことです。富士通ゼネラルのエアコンについては、あくまでもメーカー自信の自主認定なので、把握していないとのことでした。
PSE法は現在にマッチしていない
今回の調査で分かったことですが、情報家電が広まらない理由の一つとして、PSE法(電気用品安全法)が電源の遠隔操作を厳しく制限していることです。多くの場合は赤外線、電力線搬送波(PLC)以外での電源投入は認められていません(例外や特例もあり、詳細は付録を参照)。スマホで制御できるが、電源操作は本体で!という事であれば、情報家電では無いと言えます。 このため、ネットワークからの電源ON/OFFは重要なポイントです。 現在のPSE法は情報家電普及の障害になっていると考えられます。
PSEマークには二種類あり、外部機関の認証が必要な菱形と、メーカー自信が確認して表示知る丸型があります。エアコンは丸型なので、メーカ自信が判断します。(だからといって、何も確認していないのにPSEマークを表示することは不正表示になります。)
PSE法はお騒がせ
以前に古い家電が販売禁止になるという話がありました。理由は新しく施工されたPSE法に古い機器が適合しないためでした。 このため古い電気製品の在庫を持っているリサイクルショップが不良在庫を抱えて廃業する問題が有りました。 また、ビンテージもの、銘器と呼ばれる電気楽器も販売できなくなり、電子音楽文化を守るために、ミュージシャンの坂本龍一さんを中心にして署名運動が起こりました。電気用品安全法は古いものにも、時代を先取りするものにもやさしくない規則だと感じました。
付録:電気用品の遠隔操作について
完全に禁止されているもの(電熱線が露出しているもの)
・電気ストーブ
・サウナバス用電熱器
・スチームバス用電熱器
・電気火鉢、観賞植物用ヒーター
音声による制御が許されているもの
・電気スタンド
・家庭用吊り下げ型蛍光灯器具
・ハンドランプ
・白熱電灯器具
・放電灯器具
・庭園灯器具
・テレビジョン受信機
・ラジオ受信機、テープレコーダー、レコードプレイヤー、その他音響機器
・電灯付き家具
赤外線を利用した遠隔操作機構
電力搬送波を利用した遠隔操作機構(いわゆるPLCのこと)
※発売中止ではないという指摘に関して
この話は「なぞなぞ」に近い議論になります。正確にはスマホ電源ON機能を削除して発売を継続とありますが、私はこれは「スマホ連動エアコンの販売中止」と考えています。これを考えだすと『ふしぎの国のアリス』的な不毛な議論になるので今回は考えません。
出典など
・経済産業省 消費経済部 製品安全課 電話番号 03-3501-4707
・日本経済新聞 該当記事 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD120JF_S2A910C1TJ2000/