テレ朝『報道ステーション』で楽曲の無断使用が発覚

  by あらい  Tags :  

今月初旬、デザイナー(企画屋)として活躍されているカズワタベさんが、過去にJASRACに権利を預けずにインディーズで発表した自身の楽曲が、テレビ朝日の『報道ステーション』で無断で使用されていたことを知人が発見し、その件でテレビ朝日と直接交渉に入った経緯をTwitter上で明かし、話題になっている。

報道ステーションで使用されたその楽曲は、2008年に国内インディーズレーベルから発売されたClubJazzのコンピレーションアルバムに収録された楽曲の中の『Inva na Nanthy』というタイトルの作品である模様。カズワタベ氏のTwitterによると、『報道ステーション』ではサッカーの澤登氏のコーナーで過去に何回か使用されたことが、テレビ朝日側でも確認されているようだ。テレビ朝日はカズワタベさんの問い合わせに対し、「著作権部と話しながら調査しており、今後詳細がわかり次第、きちんと権料も含めて対応させていただきたい」と丁寧に解答している。

カズワタベさん自身が冷静に対応している通り、この問題はテレビ局の番組内で使用される商用レコードの量があまりにも多く、2010年以降、制度的には使用楽曲の全曲報告の方向で進んでいるものの、現場の対応としてその量の多さに追いついていけない側面が確かにあり、今回の件も番組制作側の単純な見落としであると予測され、テレビ局側が適正な著作権使用料を過去に遡って支払えば、問題そのものは直ぐにクリアになるだろう。著作権を自己管理している場合、その使用料は概ねJASRACの定める使用料規定に準ずる金額で決着するので、今回のケースもその範囲内で決着すると見られる。

JASRACの管理楽曲の量の多さとその管理コストの間に生まれるアンバランスが引き起こす問題は、必ずしも放送の問題に限った話ではなく、他にも解決の糸口が見つかっていない問題も多い。そんな中、著作権者がソーシャルネットワークの助けを借りることで自分の楽曲の不正使用のある程度の監視ができ、見つけた無断使用に対し、使用料の支払いを著作権者が個人で直接交渉するということの実例が出てきたのは、画期的なことではないだろうか。カズワタベさんとテレビ朝日の今後の動向が注目されるのである。

東京の音楽業界の隅っこで仕事をしてきました(インディーズアーティストのもろもろ、ゲーム、ラジオの音楽制作、専門学校講師等)。2014年から某楽器メーカー勤務。

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