彼氏は「過激派」!キャバ嬢が体験したオカシな同棲生活2ヵ月間!

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

「過激派」と聞いても、今の平成生まれにはわからないと思います。ある程度の年齢の人だとしても、なんだか物騒な連中、ぐらいの感覚しかないのでは?

確かに過去に連中が起こした事件としては、殺人やリンチ、放火、建造物の爆破など許されることのない凶悪なものばかりです。物騒なイメージは拭いきれません。

しかし、連中に恐ろしい印象がつきまとう一番の理由は、連中が行っている活動が謎に包まれているから……。人間、得体の知れないものほど怖いものはありません。

今回取材をしたのは、4年前のある時期、過激派の活動家と交際をしていた神田美紀さん(仮名/31歳/キャバクラ勤務)。

彼女がそこで見た過激派の現実は、物騒というよりもどこかオカシいものでした。

(※以下の文章は、神田さんの証言をもとに当時の状況を再構成しました)

「実はオレ、〇〇派の活動家やねん」

吉村敏夫(仮名/当時38歳)と知り合ったのは2015年12月。当時勤めていた大衆キャバクラに、彼が先輩に連れられてやってきたのがはじめです。

職業は、工員。近所にある精密機器組み立て工場で働いているという彼は、以来、度々お店に顔を出すようになりました。

そんな彼とどのような流れで交際がはじまったのかについては、あまり憶えていませんが、ひとつだけ言えることは、彼のどこか淋しげな表情に私の母性が強く刺激されたといったところでしょうか。

吉村が普通の人とどこか違うのは、付き合ってすぐにわかりました。喫茶店でもベッドの中でも、彼は常に小難しいことばかり言うのです。

「資本家のせいで、俺たちの生活は脅かされている。労働者は決起して、自由を勝ち取らないといけない」

国家権力に立ち向かう思想を身につけるように……と、本もたくさん読まされました。『資本論』『都市ゲリラ教程』などの難解なものから、『ナニワ金融道』の青木雄二の本まで。

正直、さっぱり意味がわかりません。そもそもこの世に思想活動なんてものがあることさえ知らなかった私です。

ある日、吉村に連れていかれた反戦デモ行進で、こんな告白をされたときもキョトンとしてしまいました。

「実はオレなぁ、〇〇派(有名な過激左翼の一派)で活動家やってるねん」

この時、私が恋人として思ったことはただひとつ。なんだか知らないけど、どうせ活動するんならお金になる仕事くらいしたらどうなんよ。アンタ、月収14万円しかないやないの、と。

公安や警察を用心する気持ちはわかるけど……

とはいえ、一度好きになれば、トコトン相手の色に染まるのが私です。誘われるまま、彼との同棲を決意しました。

初めて彼の部屋(3DKのアジト)を訪ねて驚いたのは、他に3人の同居人がいたことです。ええ2人きりになれるんやなかったの?

彼らは〇〇派の“同志”で、職業は2人が現職の教師。1人が市役所職員。公務員が過激派っていうのは、どうなんだろう。反体制を叫びながら、国からお給金をもらっているなんて、めっちゃ矛盾してるし……。

素朴な疑問を呟く私に、顔を真っ赤にした教師が反論してきます。

「アッホか! ワシらは国家に搾取された富を取り戻す活動をしてるんや!」

う~ん、なんのこっちゃ? 首をかしげたくなるのは、それだけではありません。彼らがつくった「日常のルール」についても、常識から外れたものばかりでした。

・娯楽や贅沢は一切禁止
・外出先からは2キロ以上遠回りして帰る
・尾行されていると思ったら「痴漢だ~」と大声で叫ぶ
・水道、光熱費から居住者の人数を推測させないために、トイレを流すのは5回に1度、シャワーは週2回、冷暖房は基本使用禁止

それもそのはず、彼らが用心深くなるのもムリはありません。アジトには、警察の偽造バッジや各種武器、盗聴器など、公安や警察に知られてはマズいものが所狭しと置かれているのですから……。

ある日、市役所職員が言いました。

「そこのコンビニに新しく入った店員、公安のスパイやないかなって思うねん」

うだつの上がらなさそうな大学生バイトを彼らが尾行しはじめたのには、唖然としました。あんなつり銭を間違えるようなトンマがスパイなわけがあらへんって!

サミット妨害活動は、Twitterの書き込み

アジトでの共同生活がはじまり、私の吉村たちへの視線は日に日に冷たいものになっていきました。

それがピークに達したのは、2016年の5月、三重県で行われた伊勢志摩サミットの直前です。

「ええか、みんな! 万全の態勢で必ずサミットを我々の手で粉砕するぞ!」

吉村を先頭に、薄暗いアジトでやんやんと盛り上がる男たち。一体どんなテロ活動をするのかと、期待半分、不安半分の気持ちで見守っていた私がバカでした。

Twitterや2ちゃんねるのスレッドに、
<サミットは、戦争と貧困を強制する! 安倍晋三首相は即刻退陣せよ!>
<G7の世界支配は絶対に許さない!>

なんてことを、つらつらと書き込んでいくだけ。これが活動? 志があまりにも低くない?

そのくせ、私がマクドナルドのハンバーガーを持ち帰ろうものなら大変です。

「こんな帝国主義の食いモンやろがい! どういうつもりや!」

薄暗い押し入れの中に押し込められ、「自己批判」と呼ばれる反省を促されるわけです。そんなこと言い出したら、あんたらが食べてるパンもアメリカ産の安肉も帝国主義の産物やろがい!

アホらしくなった私が、彼らの元を去ったのはその直後。2ヵ月も我慢してしまいました。

今頃、あの人たちは一体どんな活動をしているのでしょう。過激派って、ある意味過激です。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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