女、覚せい剤、裏金―脅迫ネタを作る「スキャンダル制作屋」に話を聞いてみた

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

半年ほど前、テレビを見ていて唖然とした温泉地として有名な群馬県草津町の町長セクハラ問題。新井祥子という50歳の女性議員が「5年ほど前に、町長室で町長と強引に肉体関係を持たされた」と突然告白しました。

訳がわからない、とばかりに相手の黒岩町長が名誉棄損で告訴したという事件でしたが、ただのジジババの不倫話のニュースに世間は呆れるばかり。町長側からすれば、少なからぬダメージを受けたと言えます。

「議員など一定の地位を持つ相手を失脚させようと思たら、そこそこ真実味のあるスキャンダルを作ればいいわけ」とは、今回インタビューしたT氏(48歳)の弁。

果たして、どのようにしてT氏は、相手に多大なダメージを与えるスキャンダルを作りあげるのでしょうか? その手口について、話を聞いてみました。

政治家たちの裏側に横たわったスキャンダル制作の仕事

丸野(以下、丸)「スキャンダル制作屋のお仕事というのはどんなものなのですか?

T氏「やっていることといえば、金や女にまつわるトラブルを起こして相手を失脚させることですわ。ネタ探しして証拠を掴んだり、まったくなけりゃ脅迫できるだけのネタを生産するということです」

丸「その仕事をはじめたキッカケは?」

T氏「元々、父が片田舎の県議会議員やってね。まぁオレもおなじみ道を歩むために、政治経済学部に入ったんですわ。父親は国政に出ようとしていたので後継者にしたかったんでしょうね。いい勉強になりましたよ。政治は経済活動のひとつだということもわかりましたし。たまたま大学の講演会に来ていた代議士先生と出会って、なんや知らんけど、秘書見習いみたいになったんがキッカケですわ。それからは、とんとん拍子で、大学卒業と共に私設秘書になりましてね

丸「すごいな」

T氏「政界のことを内側から見ることになってねぇ。公共工事の金額が大きければ大きいだけ、その地域に強い政治家にバックマージンが入る仕組みとかね。大手ゼネコンと政治家の強い癒着の関係は想像以上のもんでしたね。何年か秘書で潰していると、先生との信頼関係も強いものになる。そんなときに先生から裏稼業をおまえに任せたい、という旨の話をされたわけです」

対象者を黙らせるための裏工作

丸「どんな話だったんですか?」

T氏「先生と大手のゼネコン、その他の有力企業との癒着が表に出ないように工作する役目をやれ、と。パイプ役になれということです。手はじめに、地元の極道組織を紹介されたんですわ。彼らが実行役になってくれるらしくて……。小規模や小額工事の場合であれば随意契約できるんですが、大規模公共工事は原則競争入札という、一般競争入札と指名競争入札によって執行されるんですね。たとえば、せっかく先生が口利きをして、うまくまとまりそうな公共工事があるのに、“F社に影響力を持つ役員が、本腰で入札工作をしそうだ”となれば、その役員を潰す工作をする

丸「怖い世界ですね」

T氏「どんな手でハメるのかは、その個人の情報で判断するんですわ。ウチの先生が電話を一本入れるだけで、様々な機関から情報が入ってくるんでね。女好きならハニトラでハメる、金が好きなら裏金を渡して、そこを写真撮影する。やり方はいろいろあるんでね……。例えば、“F社の営業部を統括している役員〇〇を4本でお願いしたいのですが……”と連絡が入る。4本というのは、1本100万円という意味でね。そしたら、動きはじめる。そんな感じですわ。パイプは何人もいて、実行役から先生に結果を教えるパイプもいるわけですね。だから、(こちらは)どうなったのかを知る由もないし、それが暗黙のルールだということになるんでね。政界というのは、魑魅魍魎、恐ろしいもんでしょ?」

丸「恐ろしいですね。具体的にどんなことに関わりましたか?」

T氏「どんどん仕事をこなしていると、ほとんど実行役のような部分にまで踏み込むようになりましたね。先生とのつながりが強い大手ゼネコンの役員が依頼主で、知事が大きな公共工事落札のことを匂わせてたらしく、女と金をねだってきたと……。でも、結果としては他のゼネコンが受注してしまったので、復讐したいって……」

丸「はぁ」

T氏「さすがにウチの先生も繋がりのある役員のことに黙っていられなくなって、オレに依頼をしてきたんですわ。いろいろと調べ回してみると、愛人との飲食費はすべてゼネコン宛。キャバクラにも通いまくっている。でも、そのゼネコンに被害が及ぶとまずいから、公費横領の証拠を掴もうと……

丸「はい」

T氏「で、そのゼネコン役員に知事を紹介してもらって、知事が好きそうな美少女系の女を仕込んだキャバクラに連れていったんですわ。あとをその女に任せてみると、見事にひっかけてくれて店外デート。そこから温泉旅行へと関係が進んでいったんですわ」

丸「うまくいくもんですね」

T氏「こっそり尾行して、写真を撮りまくりました。それから、領収書を切った店で、領収書の耳を撮影。それと、知事が県庁に出した精算書を同封して、テレビ局と新聞社、市民ウォッチャーと呼ばれるオンブズマンに送り付けてやりましたわ。2ヵ月ほどで知事は失職。目も当てられんですね」

丸「すごいな」

T氏「その他には、選挙を控えた有望候補者と親しくなって、覚せい剤をカバンの中に入れて警察に通報したり、女をあてがってハメ撮り画像をネットに流したり……まあ、いろいろと考えてます」

いかがでしたか?

政界は闇が深いと聞いてはいましたが、ここまでくるとヤクザ業界など裏社会となんら変わらない―そんな風に思ったのは、私だけではないはずです。

(C)写真AC
※写真はイメージです。

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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