雑誌コーナーやテレビなどで五輪の余韻がまだ少し残る日本だが、今大会を1番盛り上げたと言っても過言ではないのはサッカーではないだろうか。
男子はメダル獲得を逃してしまったものの、44年ぶりのベスト4。
女子は五輪初となるメダル獲得。
この大会を見て、「僕も将来この大会に出るんだ!」「私もサッカー選手になってメダル取るの!」という夢を持った子どもたちも多くいるだろう。
親であったり、教師、コーチ等は子供が見出せたその”夢”を壊さないように、支えてあげるべきではなかいだろうか。
サッカーに取り組む子どもたちの表情は喜怒哀楽さまざま。
どの表情もあって当たり前のもの。
テレビで見たプレーを必死に真似る真剣な顔。
友達とミニゲームを楽しむ笑顔。
試合に負けて悔し泣き。
泣いてしまうことがあってもサッカーを続けるのは、やっぱり楽しいから。
勝ちたいから。テレビで見たあの舞台に立ちたいから。
喜怒哀楽すべての感情がそこにはあって、それで成長していく。
しかし先日ショッキングな映像を見た。
イギリス人の友人から送られてきたYouTubeのURL。
タイトルは”A bad coach in soccer in japan”。タイトルの時点で既に心が痛い。
その動画内では、子どもにサッカーを教えるコーチが、導の範疇を超えた方法で叱りつけていた。
子どもを蹴ったり、わざと堅いペットボトルのキャップ側で頭を何度も何度も叩きつけたり。
別の動画では子どもの顔をキャップで突き、痛くて後退すると「下がるな!」といい前に来させまた顔を突く。この繰り返し。
(いずれも同じコーチ)
出てくる言葉は「ヘタクソ」「馬鹿」「走れ」など。
その様子を見ている他のコーチ陣も一切止める気配は無い。
この状況を見て愕然とした。
「先生に殴られないように 怒られないようにプレーしなきゃ・・・」
この子どもたちはみんな恐怖と不安でいっぱいなままプレーしているんだろうと思う。
恐怖、不安が楽しみを超えてしまえば、サッカーを嫌いになるだろう。
「またサッカーの日が近づいた」そう考えながら日を越す子もいるかもしれない。
「今度はテレビで見たあの選手の真似してみよう!」とわくわくしている子もいるのに。
筆者の見た動画のコーチ陣は殴られる生徒たちを見て、表情1つ変えずに眺めていた。
心の中ではかわいそうとか、何も言えない自分に後ろめたさを感じているかもしれない。
でもそれを指摘してしまって、立場がなくなったら・・・という考えが頭の中を廻ってなにも言えないのかもしれない。
その間にも、目の前では子どもの夢が崩されているのに。
映像にあったチームの子どもたちは笑顔でサッカーする時間なんてほとんど無いのではないかと思う。
少なくとも殴る蹴るをするコーチがいる間は。
子どもが楽しく夢を追える環境は、大人たちが多少作ってやるべきではないだろうか。
今回の五輪をキッカケに様々な競技を見て、子供たちは色とりどりの夢を持ったはず。
そのワレモノの様な出来たて夢を、親や指導者は傷つけないように扱ってあげてほしい。
甘やかすのは良くないが、ただ痛みや恐怖で押さえつけるのは教育やコーチングとは言えないだろうし、そこにモチベーションも信頼関係も生まれない。
”スパルタ教育”という言葉があるが、それが”方針”としてなのであればいい事だと思う。
しかし厳しさの裏に愛情や狙いがなければそれは成立しない。
怒ること、指摘することがあっても、それを受けてまた強くなるようにバランス良く言葉や行動を考えて選んでほしい。
夢は1度壊れてしまったら、戻ることはほとんど無いから。
※映像はYouTubeで”A bad coach in soccer in japan”というタイトルです。
現在は消されてしまっていますが、”EXE’90FCJr”と検索するといくつか出て来ます。