一度は憧れる夢の仕事……? デリヘル送迎ドライバーは踏んだり蹴ったり

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
このコロナウイルスの影響で“超”濃厚接触せざるをえない風俗店はお客が減ってしまい、空前の危機を迎えていると言います。

近年、風俗業界では各都道府県の条例などとあわせ、店舗型の風俗店が減り、手軽な派遣型の風俗店が急増しているようです。

参入者が増え、デリヘル・ホテヘルはまさに飽和状態。かつてはモグリの業者が多数存在していましたが、現在ではちゃんと国に届け出をしている正規店が多いようです。

さて、デリヘル・ホテヘルの仕事には、オーナーを頂点として、店舗責任者(店長)、ボーイ、デリヘル嬢の他に、送迎ドライバーという重要な役割のスタッフがいます。

今回は、女の子と仲良くなれそうな送迎ドライバーの仕事に就き、手痛い目に遭ってしまった島田保さん(仮名/40歳)に、デリへルのシステムとその1ヵ月半の悲惨な体験談を伺いたいと思います。

女の子のナンパ目的じゃないだろね?

※この記事は筆者が取材した一例です。すべての店舗でこのようなシステムが取られ、こんな出来事が起こっているわけではありません。

丸野(以下、丸)「どんなキッカケで送迎ドライバーになったんですか?」

島田さん「動機は単純ですね。女の子との距離が近いドライバーになれば、モテると思ったんです。不純な妄想を膨らまして面接を受けました。幸い、ボロボロのステップワゴンを持っていたので、即採用。でも、しっかりとクギを刺されました……

丸「と、いいますと?」

島田さん「まず最初に、“こんな店で働くパターンの人間は5つ、同業者の偵察、引き抜き、副業、経営者や従業員の紹介、最後にデリヘル嬢のナンパ目的”だと。痛いところを突かれたんですが、“副業です”と誤魔化しました。女の子に手を出したら、200万円の罰金を支払うという誓約書も書かされましたね。その店は老舗のチェーン店で、抱えている女の子は20名ほど。電話も6回線ありました。店舗名と値段を変えたホームページも複数あり、メジャー風俗誌やスポーツ紙にも広告を出しています」

仕事内容は、比較的簡単

丸「仕事内容としてはどんな感じなんですか?」

島田さん「簡単ですよ。女の子たちを指定された場所へと送り届け、プレイが終わった女の子を連れ帰るというものです。昼のヒマな時間はいいですが、かき入れ時の23時からは、いちいち事務所に帰って女の子を迎えに行く時間などありません。そこで、車での待機で2~3人の女の子と同じ時間を過ごします。そこはまぁ、(当初の動機もあったので)願ったり叶ったりなんですが……。あとはチラシ配りですね。最近は厳しくなっていて、抗議の電話なんかが入りますから気を遣います。チラシに打たれた数字で誰のポスティングチラシかわかるので、電話が鳴れば数%のマージンが入ります

丸「ほほう。収入はいくらくらいなんですか?」

島田さん「収入は時給で1,100円、ガソリン代は別途です」

勤務初日に夢破れる

島田さん「出勤初日は20時出勤で朝まで。1日目はヤンキー娘の理央ちゃん(22歳/バツイチ)と清楚系の悠ちゃん(21歳/専門学生)をピックアップしました。彼女たちが用意する仕事のセットは、バスタオル、ローション、イソジン、コスプレ制服、ローター、タイマーなどの一式です。自家用車なのに、一応車の中に予備を置いておくように言われました。“初めまして! 今日からお世話になります島田です! よろしくお願いします!”と声を張ったんですが、ガン無視されました。でも、まぁ初対面なので仕方がないかなと自分を誤魔化したんですが、送迎ドライバーなんてやっぱりコマ使い程度なんですよね」

丸「流れとしては、女の子が部屋に入ったら島田さんの携帯電話に電話を入れる感じなんですよね?」

島田さん「そうです、そうです。いつなんどき不測の事態になっても、すぐに部屋へ行けるように、近隣にポスティングしながらひたすら待ちます。女の子が帰ってきて、また次の現場へ……。それの繰り返しですね。ヒマそうにスマホをいじっているので仲良くなろうと思って、“いつもこんな感じで忙しいの?”とか“女の子も車の中で食事取ったりするん?”とか話しかけたんですが、“うるさいんじゃボケ! おっさん、なにイロってるねん!(※口説いている)”なんて言われて、とりつく島もありません」

丸「そんな感じなんですか~、残念ですね」

島田さん「このときの楽しみは、女の子同士の(客とのプレイの)下ネタ話くらいでしょうか……」

まさかの事件

島田さん「勤務して1週間ほど経った頃に起こったのが、部屋に送り届けた女の子と連絡がつかなくなった事件でした。雑誌やネット広告なんかに顔出ししているユアちゃん(24歳/OL)がプレイ時間を過ぎても帰ってこなかったんです。で、“島田、お客のところに乗り込め”と……。怖さを忘れるほど必死になって、施錠されていなかったマンションの一室に飛び込むと、椅子に拘束されたユアちゃんが全裸でいました。しかも顔面は血まみれ。振り返ると、そこには目には網穴が開き、口の部分がジッパーになっているラバーマスクの男。次の瞬間、顎に強烈な衝撃が……。気がつくと、店長とケツ持ちのヤクザが突っ立っていました

丸「よく助かりましたね」

島田さん「その後、男がどうなったか知りません。そんなトラブルを皮切りに、面倒な女の子たちとの勤務が続きました。仕事の途中にことごとく覚醒剤を買いに行く女の子や、精神的に参ってしまって泣き叫びながら夜の街を全力疾走する女の子毎日車内でリストカットする女の子、過食症で車内に大量の食べ物を運んで食べては吐くを繰り返す子、愛犬のチワワを妹だと言い張って仕事をしない女の子など食えない子ばかりです。もう誘われたとしても恋愛感情なんて持てませんよ」

丸「そうですよね~」

島田さん「決定打は、虚言壁のある女の子が“僕に抱かれた”と言い出したことです。新人の子だったのでまだトラブルも起こしていなくて、僕は疑われました。で、200万円の罰金を支払えと……。やってられなくなって、そのまま店を辞めたんですが、200万円の罰金に対する連絡が鬼のように……。でも、それも数ヵ月で終わったので、その子の虚言癖のことが(お店にも)分かったんだと思います

男性の皆さん、ちょっとした興味や欲のために、その業界に入ることはオススメしません。このようなお店はお客さんとして利用した方がよさそうです。

※写真はイメージです。
(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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