失職、離婚、借金etc…ネットワークビジネスにハマった奴らの無間地獄!

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

マルチ商法、別名・ネットワークビジネス――親が子から、子が孫から、無限連鎖で金を吸い上げるというピラミッド商法。すべてがそうとまでは言いませんが、それらの正体は詐欺まがいのマネーゲームがほとんど

スタート初期に参入した会員は簡単に儲かり、下の世代は身ぐるみをはがされる。このマルチ商法、人気が下火になっていたのですが、最近何も知らない善人たちの間で息を吹き返しつつあるというのです。

今回は、ネットワークビジネス歴25年の笹川敦氏(仮名/43歳)に、ネットワークビジネスの内情と参入したことによって地獄を見た者たちの話を聞いてみました。

マルチ教の信者をつくってしまう

丸野(以下、丸)「どうも。今日はネットワークビジネスのことを教えていただこうと思っていたのですが……」

笹川氏「マルチレベルマーケティング、MLMは商品が介在していれば合法的に認められます。商品は何だっていいわけです。生活用品や化粧品、健康食品、育毛剤、浄水器、プロバイダなど何でもいいわけです。ヘタすれば、味噌でも醤油でも、ひよこ饅頭でもいいと思います。ただし商品が介在しないと、ねずみ講というマネーゲームになり違法です

丸「成功するものなんですか?

笹川氏「しませんね。新規でネットワークビジネスを開業させた人間とほんの一握りの人間だけです。実は、私自身はこれらの(一握りの)人間に当たります。いわば、ねずみの親玉です。私の傘下には、数万人のディストリビューター(会員)がいて、私の収入源になっていますよ」

丸「すごいですね」

笹川氏「ウチの『H』ビジネスでは、消耗品のサプリメントと化粧品、耐久品の健康器具のダイレクトセイリング(口コミでの直販)を行っているので、継続報酬と高額報酬が同時に入ってくるんですよね。毎月、1千万円ほどの収入があり、個人で株式会社を持っています。活動をスタートして6年になりますが、毎日全国を回って、ダウンライン(下層会員)のフォローやセミナー開催などを行わなければいけないので、この手のビジネスは謳い文句の“権利収入・不労収入”とは縁遠いですね。それでもセミナーに出向けば、ペーペー販売員から羨望の眼差しで注目され、ちょっとしたスター気分を味わえます

丸「ほほう。会員をそのような状態にするコツというのはあるんですか?」

笹川氏「ええ。まずは、いいところに住んで、いい車を転がして、贅沢を見せつけることです。“あんな人になりたい!”という強い思いを持たせる、それと会社のブランディングや商品開発のストーリーを語ってマルチの信者にしてしまうのが一番の方法なんですよ。“この商品は素晴らしい”“この会社が好き”という風に洗脳すれば、当初儲けるために参入したはずなのに目的意識を見失い、彼らはアップライン(上層会員)の収入に貢献している意識がなくなってしまいます

丸「それだけの高収入を手に入れるための工夫というのはあるんですか?」

笹川氏「ウチのグループでは、新規会員に30万円分のスターターキットの購入を義務付けています。さらに多く商品を購入してもらえれば収入に直結するので、ダウンラインの前では“これでもか!”というほど、商品を使用していることを見せつけます。あくどい稼ぎ方ですが、ダウンラインから見れば、私はビジネスメンバーのスターですから……」

丸「トラブルなどはないですか?

笹川氏「いろいろとありますよ。ダウンラインは末端になればなるほど、質が落ちていきます。ですから自分を見失って、あたり構わずリクルーティングしてきます

丸「ほほう」

笹川氏「親兄弟、親戚、同僚、上司など接点がある人間だといいのですが、ひどいときにはサウナで一緒になった人や通勤電車で顔見知りになった人、出会い系で知り合った相手、自分につきまとうストーカー、認知症が入った老人ホームの入居者、ヤクザまでセミナーに連れてくるヤツもいます。取引先の社長さんを連れてきて失職した会社員もいましたしね」

丸「マジですか!

笹川氏「他にもいろいろとトラブルはあります。豆腐店を経営している奥さんは、このビジネスの信者で、豆腐を買いに来たお客さんに商品を勧めてしまったそうで、御主人が大激怒。夫婦仲が悪化した頃から、だんだんとその奥さんの様子がおかしくなってきました。商品セミナーでスピーカーをやってもらったときに、“ウチの化粧品は天然成分だけだから、飲んでも食べてもいいんですよ!”といって、ハンドクリームをぐびぐびと一気飲み。セミナー終わりに悶絶しはじめて、いきなりぶっ倒れました。脱糞までしていて……。病院での診察の結果、胃の中が化粧品でいっぱいになっていたそうです

丸「うげげげぇ……。本当に食べても大丈夫なものなんですか?」

笹川氏「そんなわけないでしょう。添加物や防腐剤などが入っているのでダメですよ。口に入れても大丈夫というのただのセールストークですよ

丸「でしょうね。その他には?」

笹川氏「育児放棄してまでビジネスに励んでいた母親もいましたね。ある日、パタリと連絡がなくなったので、自宅に様子を見に行ってみると、部屋がすごい臭いで……。部屋中在庫の山。幼い子供が2人いて、『おかあさんといっしょ』を観ながら、腐って黄色くなった米を手づかみで食べているんですよ。“お母さんは?”と聞くと、“この間から帰ってきてないの~!”と泣きはじめ……。辛抱たまらなくなって、すぐに車に乗せて近くのファミレスに連れていきました

丸「僕でもそうします」

笹川氏「実はここだけの話、私は裏で旧知の街金融と手を組んで、自分のグループメンバーに融資の斡旋をしているんですよ」

丸「えっ!」

笹川氏「その母親にも業者を紹介しましたから、借金苦で子供を捨てて逃げたのかな、と。だから、癒着がバレると逆恨みされて、包丁を振り回されたりと大変なんです。まぁただただ左団扇というわけではないんです」

欲の皮を張って、ネットワークビジネスに手を出すと、痛い目に遭うことがわかっていただけたかと思います。僕は、今から搾取されるだけの子ねずみ、孫ねずみになる気はありません。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

ウェブサイト: https://maruno-hiroyuki.com/

Facebook: https://www.facebook.com/hiroyuki.maruno.5