今、人気の若手芸人といえば宮下草薙だろう。今時、自分たちの苗字だけで作ったコンビ名は珍しいが、やはり「間に合わせ」で考えたものらしく、良いコンビ名があれば別のものにしたいと彼らは言っている。だが改名することもできないくらい、彼らの名は浸透してしまった。
彼らの魅力は、草薙航基の「ネガティブ」マインドにある。これだけ売れて満たされてもなお、彼は不満らしく、「二重に整形することを目標に頑張ってきた」と、番組で語っていた。どうやら自分の顔がものすごく嫌いらしい。そしてもう1つが、「パニック芸」とも言える、慌てふためき、てんぱる姿だ。これが、つい笑ってしまうのである。
1月21日放送の『今夜はナゾトレ』(フジテレビ系)に相方の宮下兼史鷹とともに出た際、獣偏(けものへん)の言葉をいくつ言い当てられるかといったクイズを答えた草薙。だが、なかなか回答が思うように出ず、「うわーあのー! ドイツ(独)、うわーうーーわ~わ~わ~あー!」と絶叫。くりぃむしちゅー上田晋也から「お前、今日クイズをしに来たんじゃなくて、自分の芸風を紹介しに来たんだろ?」と言われていた。
また同月16日の『有吉クイズ』(テレビ朝日系)で分かったことだが、草薙は楽屋の床ではなく、一段下がっている溝に体を挟んで、うつぶせで寝ていることも判明。彼によると壁が近くにないと寝られないそうで、ほかに紹介された写真もすべて壁際に体を密着させて寝ていた。だが何も溝に、うつぶせに寝なくてもいいのでは……。
つい先日は多忙すぎて、気づいたらマネージャーの首を絞めていたという笑えないエピソードもネットニュースになっていたが、この『有吉クイズ』でも、相方の宮下を蹴ったり、軽くイジってきた有吉弘行にまたしても首を絞めようとしていた。こうして文章に書くと角が立つが、雰囲気的にはあくまで和やかで、放送コードに耐えられるものだ。だが宮下は、草薙のあまりの暴力性に、本気で心配していた。
ただ一方で、自分の見られ方を意外と客観的に見ているフシも見受けられる。また、同じボケを重ねる“天丼”もできたりする。いずれにしても、これまでのお笑い芸人の方程式に当てはまらないタイプの新種だ。そして、多忙でパニック→それがウケてまた多忙になりパニックに……彼のジレンマはしばらく続くようだ。